世紀末な転移先で覇王に捕まりました〜この世界で生き抜くなんて無理っ!絶対無理っ!〜

三谷玲

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.女に襲われるなんて無理っ!絶対無理っ! 8

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 夕飯までの間、ユウの生徒手帳を読んでいたらハオに連れ出された。

「寒いからこれを着ていろ」

 って渡されたのは毛皮のマント。ハオのだったら絶対サイズ合わないと思っていたらちゃんと、俺用サイズだった。
 淡い焦げ茶のふわっふわの毛は、なんでできてるのかわからないけど、やわらかくてあったかい。
 で、連れて行かれたのは塔の外。
 いつも夜中ヒャッハー!連中がたむろしている広場だった。
 真ん中には大きな焚き火があって、キャンプファイヤーみたいだ。

「お祭りかなんか?」
「昨日の狩りの成功を祝う。獣への敬意と感謝もこめてな」
「へぇ……」

 そこに運び込まれたのはおっさんふたりがやっとの様子でかついできた、シカの頭だった。

「でかっ! なにあれ! 山の主なんじゃないの? あんなの狩って怒りとか買わない?」
「俺の生まれる前からいると言われているオオジカだ。誰も狩れなかった大物だぞ」

 たしかに顔はシカだ。けど、あれって山の神かなんかで、傷つけたら化け物になって人襲ってくるヤツじゃない?
 ハオは自慢げに笑ってるけど、俺褒めてないからね? びびってるんだよ?
 横からサイが説明してくれた。

「あれのおかげで、森の木が減っていたのですよ。オオカミたちも怖がってシカを狩らなくなっていましてね。ハオ様に早く狩るようお願いしていたのですが、なかなか重い腰をあげてくださらなくて」
 
 たしか日本でもオオカミが絶滅して、シカが増えすぎ問題、テレビで見たことあるな。
 ここにはいるみたいだけど、そのオオカミもビビるシカかよ。

「なのに行ったら一発でしとめてきたと。お前、ちゃんと仕事しろよな」
「クククッ。これを狩ればマナ様がお喜びになるとお伝えしたらすぐでしたよ」
「なんで?」
「それはもう、マナ様にすこしでも早くご自分のものになっていただきたいからに、決まってます」

 どうだ? と言わんばかりのハオに見つめられる。なんだその顔。子どもかよ。
 もしくは猫。昔飼っていた猫が、庭のセミ持ってきて褒めろって顔。
 ありがた迷惑なやつ……。
 けどなんか憎めない。

「べ、別にシカなんて、欲しくないんだけど?」
「でも、仕事をしない男には興味はないでしょう?」
「そりゃまぁ……って男にも興味はねぇよ!」

 あやうくサイの口車に乗せられるところだった!

「こんなことで、俺はお前のモノになんかならないからな!」
「そうか。サイ、次は何をすればいい?」
「そうですねぇ……」

 って俺を堕とすための作戦、ここでしないで!

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