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.女に襲われるなんて無理っ!絶対無理っ! 7
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リノはお土産にいつもよりさらにやわらかいパンと石けんをくれた。
石けんは畑で育てているハーブを混ぜているらしく、いい匂い。自然派のお店に売ってそうな素朴な色と形だったが、ありがたかった。
あの俺が腹を壊した汚れた水でも、十分キレイになるって聞いて安心。顔にも使えるって。
風呂は無理でも少しは衛生面が改善される!
落胆していたレンは、男の子に慰められていた。
ここに来てはじめて子どもを見た。
といってもたぶん、小学校高学年くらい。すでに、身長は俺とそんなに変わらないけど、まだ体つきは隣のレンよりは細い。
「レンにはまだ早いって言っただろ?」
「ハル~! でももう十五歳だぞ? 子ども作れるようになって、イオに勝ったのにさぁ」
ふたりの会話に口を挟むつもりはなかったけど、さすがに声を上げずにはいられなかった。
「十五歳!? レンってそんなに年下だったの?」
「は? マナ様だってそんな変わらないだろ?」
「いや、俺二十七歳なんだけど」
その場にいた全員が絶句した。
いや、童顔でもなんでもないからな?
普通の普通。
日本人が、海外で若く見られるとか、そういう感じか?
最初に我に返ったリノが「アンダーウォーカーは若く見えると聞いていたけれど、これは驚きだね」ってつぶやいた。
「お前らが老けすぎなんだよ! まさかジジまで三十代ってことはないよな?」
「安心しな。あれはたしか今年五十歳になる、ジジイだよ」
「それでも、俺が思ってるより若いけどな。苦労してるから、かなぁ……。ハオだって二十歳って聞いて驚いたし」
なんだっけ? 人生五十年って信長だっけ?
人生が短いから早くおとなにならなきゃいけないのかも。
簡単に死ぬもんな……。
俺の人生、あと半分もないのかも。
やだやだ!
そりゃ前だって仕事しかない生活で、やりたいことなんてなんもなかったけどさ。
それは残りの人生まだまだあると思ってたから……。
三十歳くらいで結婚して、子ども作って、普通の家庭を持ってさ、そんで、孫に看取られて死ぬもんだって、漠然と思ってた。
でも、ここでそんな生活絶対無理っ!
まず家族ってもんがなさそう。
男と女は別々で暮らしてるし、女の人強すぎだし。
子ども作るのだってその女の人の許しがないと出来ないって、さっきの様子じゃ俺は落第だろ?
まぁこれまでだって、彼女はいないし、結婚なんてまだまだだったけどさ。
ほんとこの先俺、どうしたらいいの?
石けんは畑で育てているハーブを混ぜているらしく、いい匂い。自然派のお店に売ってそうな素朴な色と形だったが、ありがたかった。
あの俺が腹を壊した汚れた水でも、十分キレイになるって聞いて安心。顔にも使えるって。
風呂は無理でも少しは衛生面が改善される!
落胆していたレンは、男の子に慰められていた。
ここに来てはじめて子どもを見た。
といってもたぶん、小学校高学年くらい。すでに、身長は俺とそんなに変わらないけど、まだ体つきは隣のレンよりは細い。
「レンにはまだ早いって言っただろ?」
「ハル~! でももう十五歳だぞ? 子ども作れるようになって、イオに勝ったのにさぁ」
ふたりの会話に口を挟むつもりはなかったけど、さすがに声を上げずにはいられなかった。
「十五歳!? レンってそんなに年下だったの?」
「は? マナ様だってそんな変わらないだろ?」
「いや、俺二十七歳なんだけど」
その場にいた全員が絶句した。
いや、童顔でもなんでもないからな?
普通の普通。
日本人が、海外で若く見られるとか、そういう感じか?
最初に我に返ったリノが「アンダーウォーカーは若く見えると聞いていたけれど、これは驚きだね」ってつぶやいた。
「お前らが老けすぎなんだよ! まさかジジまで三十代ってことはないよな?」
「安心しな。あれはたしか今年五十歳になる、ジジイだよ」
「それでも、俺が思ってるより若いけどな。苦労してるから、かなぁ……。ハオだって二十歳って聞いて驚いたし」
なんだっけ? 人生五十年って信長だっけ?
人生が短いから早くおとなにならなきゃいけないのかも。
簡単に死ぬもんな……。
俺の人生、あと半分もないのかも。
やだやだ!
そりゃ前だって仕事しかない生活で、やりたいことなんてなんもなかったけどさ。
それは残りの人生まだまだあると思ってたから……。
三十歳くらいで結婚して、子ども作って、普通の家庭を持ってさ、そんで、孫に看取られて死ぬもんだって、漠然と思ってた。
でも、ここでそんな生活絶対無理っ!
まず家族ってもんがなさそう。
男と女は別々で暮らしてるし、女の人強すぎだし。
子ども作るのだってその女の人の許しがないと出来ないって、さっきの様子じゃ俺は落第だろ?
まぁこれまでだって、彼女はいないし、結婚なんてまだまだだったけどさ。
ほんとこの先俺、どうしたらいいの?
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