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.争いごとなんて無理っ!絶対無理っ! 7
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「サイっ! これ、血っ! こんなに、たくさんっ! 無事なのか? なぁ、ジジは? ほかのみんなは?」
「だいじょうぶですよ……。それより、マナ様、どこかに隠れられますか?」
「隠れるって、どこに!?」
「無理ですよねぇ……。なんとか押さえてはみますが、いざとなったら逃げてくださいね?」
それっていよいよ危ないってことじゃ。
それにこの血。こんな大量に出血しててだいじょうぶなわけがない。
生ぬるくて、どろりとしていて正直、触れるのも見るのもキツイ。
逃げろと言われても、この部屋の入口はここしかない。鉄の閂はそう簡単に破れることはないだろうけど……。
俺は部屋の中を一周して、逃げ場なんてないことを悟る。
いざとなったら窓から下りられないかとも考えたが、はめ殺しの窓の外に足場はなかった。
「ヘダのモノになるしか、手はないのか」
諦めかけたときだった。
「マナ様! 逃げてっ!」
サイの叫び声とともに、鉄の閂ごと扉が吹っ飛んだ。
「は? うそだろっ!?」
飛んだ扉の残骸が、俺の後ろにあった窓を突き破り、鉄の閂はくの字に折れ曲がって、転がった。
爆発でも起きたのか?
俺はついさっきまで閉ざされていた扉のほうを見た。
そこには、頭から赤い血を滴らせ、悪魔のような形相で荒い息を吐く、獣がいた。
「ぎゃあぁぁぁっ!!! なに? なんなのっ!?」
大きな角を持つ獣はドス、ドスと大きな足音を立てて近づいてくる。
なんだよこいつ。襲ってきたのはヘダだけじゃなかったのか?
「く、来るなっ! 来ないでっ! 無理っ! 俺なんて食っても、美味くないからっ! っ痛!」
後ずさると、足元に散らばったガラスを踏んでしまった。
痛みでうずくまる。
その間にも獣はどんどん近づいてきていた。
もう、無理っ!
飛び降りるしかない。
俺は這いつくばったまま、割れた窓のほうへと向かった。
腕にも腹にもジャリジャリとガラスがすれて、小さな傷を作っていく。
痛みよりも、恐怖が勝っていた。
逃げなきゃ。
俺のワンピースに、赤いシミが広がっていく。
俺はようやく窓の桟までたどり着き、身体を起こした。
この高さから落ちたら確実に死ねる。
なぜか、ほっとして、身体から力が抜けた。
ぐらりと傾いた俺の身体は、そのまま窓の外へと……。
「……マナっ!」
落ちることなく腕をつかまれた。
宙ぶらりんの状態で、足元にはなにもない。ずいぶんと下の方にがれきで作られたちいさな小屋が見える。
あれ? いま誰か俺の名前呼んだ?
ぐいっと引っ張りあげられて、抱えられた。顔にはぬるぬるとしたものが、べったりついて、気持ち悪い。
しかもなんか生臭くて、吐きそう。
ていうか、無理っ! 吐くっ!
「だいじょうぶですよ……。それより、マナ様、どこかに隠れられますか?」
「隠れるって、どこに!?」
「無理ですよねぇ……。なんとか押さえてはみますが、いざとなったら逃げてくださいね?」
それっていよいよ危ないってことじゃ。
それにこの血。こんな大量に出血しててだいじょうぶなわけがない。
生ぬるくて、どろりとしていて正直、触れるのも見るのもキツイ。
逃げろと言われても、この部屋の入口はここしかない。鉄の閂はそう簡単に破れることはないだろうけど……。
俺は部屋の中を一周して、逃げ場なんてないことを悟る。
いざとなったら窓から下りられないかとも考えたが、はめ殺しの窓の外に足場はなかった。
「ヘダのモノになるしか、手はないのか」
諦めかけたときだった。
「マナ様! 逃げてっ!」
サイの叫び声とともに、鉄の閂ごと扉が吹っ飛んだ。
「は? うそだろっ!?」
飛んだ扉の残骸が、俺の後ろにあった窓を突き破り、鉄の閂はくの字に折れ曲がって、転がった。
爆発でも起きたのか?
俺はついさっきまで閉ざされていた扉のほうを見た。
そこには、頭から赤い血を滴らせ、悪魔のような形相で荒い息を吐く、獣がいた。
「ぎゃあぁぁぁっ!!! なに? なんなのっ!?」
大きな角を持つ獣はドス、ドスと大きな足音を立てて近づいてくる。
なんだよこいつ。襲ってきたのはヘダだけじゃなかったのか?
「く、来るなっ! 来ないでっ! 無理っ! 俺なんて食っても、美味くないからっ! っ痛!」
後ずさると、足元に散らばったガラスを踏んでしまった。
痛みでうずくまる。
その間にも獣はどんどん近づいてきていた。
もう、無理っ!
飛び降りるしかない。
俺は這いつくばったまま、割れた窓のほうへと向かった。
腕にも腹にもジャリジャリとガラスがすれて、小さな傷を作っていく。
痛みよりも、恐怖が勝っていた。
逃げなきゃ。
俺のワンピースに、赤いシミが広がっていく。
俺はようやく窓の桟までたどり着き、身体を起こした。
この高さから落ちたら確実に死ねる。
なぜか、ほっとして、身体から力が抜けた。
ぐらりと傾いた俺の身体は、そのまま窓の外へと……。
「……マナっ!」
落ちることなく腕をつかまれた。
宙ぶらりんの状態で、足元にはなにもない。ずいぶんと下の方にがれきで作られたちいさな小屋が見える。
あれ? いま誰か俺の名前呼んだ?
ぐいっと引っ張りあげられて、抱えられた。顔にはぬるぬるとしたものが、べったりついて、気持ち悪い。
しかもなんか生臭くて、吐きそう。
ていうか、無理っ! 吐くっ!
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