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.争いごとなんて無理っ!絶対無理っ! 1
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「食わないんでさぁ?」
「ジジが食べなよ……。俺、食欲ない」
風呂騒動から二日。
このパンだって、きっとミハラの人たちが必死で汲んだ水で育てた麦から作られているんだ。
そんなだいじで貴重な水を無駄にした俺が、食えるわけがない。
シシ肉だって、ジジはご馳走だって言ってたけど、こんだけ緑の少ない土地だ。
獣だって多いわけがない。
「いただけるもんは、いただきまさぁね。でも、マナ様が、食わんとわしが叱られるんでさぁ」
「俺があげたって言うからいいよ」
「では、遠慮なく。さすがハオ様に献上されるパンなだけあって、やわらかいでさぁな」
俺には硬いパンだって、ジジにはやわらかいんだ。
まだ半月も経ってないけど、俺すごい贅沢させてもらってたんだろうな。
このボロ布の布団だって、麻のワンピースだって……。
はぁ……。なんでこんな世界にトリップしちゃったんだろう。
せめてひとりで生きていける世界なら。
窓の外をぼんやり眺める。
ミハラはここから西にすぐのところにあるらしい。赤く枯れた大地に一段と暗い、南北に細い道のようになっているのが、川らしい。
どんだけ深いのか、想像もできない。
「ハオ様なら心配いりませんさね」
「心配なんてしてないっ!」
「マナ様の元気がないからって、はりきって狩りに行かれましたけど、今度はなにを獲って来られますかねぇ。わしはシカが食いたいでさぁ」
俺の反論を無視したジジは、よだれをたらさんばかりに顔をゆるめた。
あれ? シカ……?
「シカって、あのシカ? 角が生えてて目がきょろっとしてる」
「あのというのがわかりゃーせんが、角ならハオ様のイスに使われてまさぁ。ほれ、背の方にあるアレ」
ハオのイスって、魔王のイスみたいなやつだよな。
ぼっこぼこの鉄パイプとか動物の骨でできたやつ。そういや、背もたれのところはみよーんと長いのがあった気がする……。
でも形までは覚えてない。
「見てくるっ!」
「マナ様?」
だって、気になるんだよ。
俺の知ってる鹿かどうか!
「ジジが食べなよ……。俺、食欲ない」
風呂騒動から二日。
このパンだって、きっとミハラの人たちが必死で汲んだ水で育てた麦から作られているんだ。
そんなだいじで貴重な水を無駄にした俺が、食えるわけがない。
シシ肉だって、ジジはご馳走だって言ってたけど、こんだけ緑の少ない土地だ。
獣だって多いわけがない。
「いただけるもんは、いただきまさぁね。でも、マナ様が、食わんとわしが叱られるんでさぁ」
「俺があげたって言うからいいよ」
「では、遠慮なく。さすがハオ様に献上されるパンなだけあって、やわらかいでさぁな」
俺には硬いパンだって、ジジにはやわらかいんだ。
まだ半月も経ってないけど、俺すごい贅沢させてもらってたんだろうな。
このボロ布の布団だって、麻のワンピースだって……。
はぁ……。なんでこんな世界にトリップしちゃったんだろう。
せめてひとりで生きていける世界なら。
窓の外をぼんやり眺める。
ミハラはここから西にすぐのところにあるらしい。赤く枯れた大地に一段と暗い、南北に細い道のようになっているのが、川らしい。
どんだけ深いのか、想像もできない。
「ハオ様なら心配いりませんさね」
「心配なんてしてないっ!」
「マナ様の元気がないからって、はりきって狩りに行かれましたけど、今度はなにを獲って来られますかねぇ。わしはシカが食いたいでさぁ」
俺の反論を無視したジジは、よだれをたらさんばかりに顔をゆるめた。
あれ? シカ……?
「シカって、あのシカ? 角が生えてて目がきょろっとしてる」
「あのというのがわかりゃーせんが、角ならハオ様のイスに使われてまさぁ。ほれ、背の方にあるアレ」
ハオのイスって、魔王のイスみたいなやつだよな。
ぼっこぼこの鉄パイプとか動物の骨でできたやつ。そういや、背もたれのところはみよーんと長いのがあった気がする……。
でも形までは覚えてない。
「見てくるっ!」
「マナ様?」
だって、気になるんだよ。
俺の知ってる鹿かどうか!
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