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.風呂に入れないなんて無理っ!絶対無理っ! 7
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「そ、そんなもので誤魔化されないからな!」
「だが披露目をしなければ、お前はこのまま外に放り出されることになる。ひとりで生きていけるならそれでもいいだろう」
く……っ! できないと分かってるからこんなことを言うんだ。くやしいくやしいくやしいっ!
どうせ俺は非力だよ。この世界でひとりで生きていくなんて、とてもじゃないけど無理だ。
ここを出たらあっという間に餓死か脱水で死ぬだろう。その前にあのヒャッハー!達に襲われて……。
考えただけでもおぞましい。
汚いし臭そうだし、まだハオのほうがマシ。
マシってだけだけどな!
なんで、男だらけだと臭くなるんだろう?
会社に缶詰になったときも、なんかむわっと臭ってたんだよな。社内にいるときは慣れたからか気にならなかったけど、外に出たら自分から獣みたいな臭いがして……。
「風呂、風呂に入りたい……」
この世界に来る直前も、俺は風呂に入るために深夜暗い道を歩いていたんだ。あの日で三日入れなかったんだからすでに一週間は風呂に入ってない計算になる。
「フロ? なんだそれは。サイ、知っているか?」
ハオはなにそれって感じで聞き返してきた。風呂ないのか……。
「たしか沸かした水に浸かる儀式だったかと」
「儀式? 儀式なんかじゃねぇよ! 毎日風呂に浸かって疲れを癒やして、身体を洗う。生活の一部だ! だからお前ら汚くて臭いんだよっ!」
儀式なんてそんな、大層なもんじゃないだろ? 風呂なんてローマ時代にだってあったのに!
こうなったら、どうやっても風呂を用意させてやる。
「披露目の儀式には出てやる。その代わり風呂は用意してくれ! 守ってくれなかったら、そのときこそ俺はここから出ていくからな!」
俺はハオに首根っこをつかまれたまま、タンカをきった。
言った! 言ってやったぞ!
ここを出る方法も、出てからどうしたらいいかもわからないけど、きっと脅しになるはず。
アンダーウォーカーがいなきゃ、覇者になれないっていうなら俺は必要なはずだろ?
鼻息荒い俺に、ハオは「わかった」とだけ言うと俺を下ろした。
「サイ。そのフロというのを用意しておけ」
「かしこまりました、ハオ様」
勝った!
「だが披露目をしなければ、お前はこのまま外に放り出されることになる。ひとりで生きていけるならそれでもいいだろう」
く……っ! できないと分かってるからこんなことを言うんだ。くやしいくやしいくやしいっ!
どうせ俺は非力だよ。この世界でひとりで生きていくなんて、とてもじゃないけど無理だ。
ここを出たらあっという間に餓死か脱水で死ぬだろう。その前にあのヒャッハー!達に襲われて……。
考えただけでもおぞましい。
汚いし臭そうだし、まだハオのほうがマシ。
マシってだけだけどな!
なんで、男だらけだと臭くなるんだろう?
会社に缶詰になったときも、なんかむわっと臭ってたんだよな。社内にいるときは慣れたからか気にならなかったけど、外に出たら自分から獣みたいな臭いがして……。
「風呂、風呂に入りたい……」
この世界に来る直前も、俺は風呂に入るために深夜暗い道を歩いていたんだ。あの日で三日入れなかったんだからすでに一週間は風呂に入ってない計算になる。
「フロ? なんだそれは。サイ、知っているか?」
ハオはなにそれって感じで聞き返してきた。風呂ないのか……。
「たしか沸かした水に浸かる儀式だったかと」
「儀式? 儀式なんかじゃねぇよ! 毎日風呂に浸かって疲れを癒やして、身体を洗う。生活の一部だ! だからお前ら汚くて臭いんだよっ!」
儀式なんてそんな、大層なもんじゃないだろ? 風呂なんてローマ時代にだってあったのに!
こうなったら、どうやっても風呂を用意させてやる。
「披露目の儀式には出てやる。その代わり風呂は用意してくれ! 守ってくれなかったら、そのときこそ俺はここから出ていくからな!」
俺はハオに首根っこをつかまれたまま、タンカをきった。
言った! 言ってやったぞ!
ここを出る方法も、出てからどうしたらいいかもわからないけど、きっと脅しになるはず。
アンダーウォーカーがいなきゃ、覇者になれないっていうなら俺は必要なはずだろ?
鼻息荒い俺に、ハオは「わかった」とだけ言うと俺を下ろした。
「サイ。そのフロというのを用意しておけ」
「かしこまりました、ハオ様」
勝った!
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