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.風呂に入れないなんて無理っ!絶対無理っ! 3
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「覇者ってなんなの?」
「見えやすかね? あの双子山」
俺がいるのは塔の最上階。あの魔王の間の隣りにあるハオの寝室だ。
魔王の間、以外の三方向はかろうじてガラスの残る大きな窓がある。ジジはそのうちのひとつを指さした。
見えるのは、名前の通りふたつの頂を持ち、両方の山頂からもくもくと噴煙を上げる大きな山だった。
「わしらが住んでるのは、チーダ。この塔から東。山脈の手前までがハオ様の土地でさぁ」
次は反対方向の窓を指差す。山脈は双子山より大きく長い。
「どちらの山も人が越えることは出来ねぇ、壁のようなもんさね。とくに双子山は南北に流れ出る溶岩で行く手を遮られててとてもじゃないが、近寄れねぇ」
見える範囲はほとんとが荒れ地だ。山のふもとに木々がすこし残っているが、緑というより灰色に近い。
西、東ときて残るは北だった。
そこもまたすぐそばまで山が迫ってくるような景色が広がっていた。
「北の山はまだ人が住めるところが残っておるさね。ここは、チーダの地を守る最前線さね」
たしかに東に比べればまだ青さがあった。それでも学の知る世界とは比べ物にならないくらい、荒れ果てていた。
「なら南は?」
「南は酸の海さね」
「酸の海?」
「人はおろか、木も鉄も溶かしてしまうおそろしいところさね……」
そう言ってジジは両腕で自分を抱く仕草をした。本当におそろしいのだろう。
この世界が地球のような星なのか、平面かは知らないけれど、人が住めるのは今見えている範囲だけのようだ。
もしかしたらあの山々の向こうや海の先にも人がいるかもしれないけれど……。
「じゃあ、ここから西にはハオとは別の偉い人がいんの?」
「そうさね。やつらは略奪ばかり繰り返す無法者の集まりでさぁ。かつてはひとつの国としてまとまっておりやしたがね」
「それをひとつにするのが、覇者ってことか」
「ハオ様は産まれたときから強いお子さね。ダワラから逃げてきた父親が、命からがら連れてきた。それでも泣きもせず笑いもせず。こんな強い子どもは見たことがない。チーダの当時の首領が引き取り覇者になるべく育てた、大事なお子さね」
「その首領は?」
「そりゃ。死んださ。だからハオ様が首領さね」
「病気?」
「首領になるには前の首領を殺すのが、当然。いまから五年前、まだ十五になったばかりのハオ様は闘技場での決闘で、お勝ちになった。それはもう見事な槍さばきで――」
育ての親を殺した……? 十五歳で……?
「って、五年前に十五ってことは、あいつ今二十歳なのっ?」
「そりゃそうさね」
「まさか、年下……っ!」
見えないっ! 絶対年上三十歳はいってると思ってたのに!
「見えやすかね? あの双子山」
俺がいるのは塔の最上階。あの魔王の間の隣りにあるハオの寝室だ。
魔王の間、以外の三方向はかろうじてガラスの残る大きな窓がある。ジジはそのうちのひとつを指さした。
見えるのは、名前の通りふたつの頂を持ち、両方の山頂からもくもくと噴煙を上げる大きな山だった。
「わしらが住んでるのは、チーダ。この塔から東。山脈の手前までがハオ様の土地でさぁ」
次は反対方向の窓を指差す。山脈は双子山より大きく長い。
「どちらの山も人が越えることは出来ねぇ、壁のようなもんさね。とくに双子山は南北に流れ出る溶岩で行く手を遮られててとてもじゃないが、近寄れねぇ」
見える範囲はほとんとが荒れ地だ。山のふもとに木々がすこし残っているが、緑というより灰色に近い。
西、東ときて残るは北だった。
そこもまたすぐそばまで山が迫ってくるような景色が広がっていた。
「北の山はまだ人が住めるところが残っておるさね。ここは、チーダの地を守る最前線さね」
たしかに東に比べればまだ青さがあった。それでも学の知る世界とは比べ物にならないくらい、荒れ果てていた。
「なら南は?」
「南は酸の海さね」
「酸の海?」
「人はおろか、木も鉄も溶かしてしまうおそろしいところさね……」
そう言ってジジは両腕で自分を抱く仕草をした。本当におそろしいのだろう。
この世界が地球のような星なのか、平面かは知らないけれど、人が住めるのは今見えている範囲だけのようだ。
もしかしたらあの山々の向こうや海の先にも人がいるかもしれないけれど……。
「じゃあ、ここから西にはハオとは別の偉い人がいんの?」
「そうさね。やつらは略奪ばかり繰り返す無法者の集まりでさぁ。かつてはひとつの国としてまとまっておりやしたがね」
「それをひとつにするのが、覇者ってことか」
「ハオ様は産まれたときから強いお子さね。ダワラから逃げてきた父親が、命からがら連れてきた。それでも泣きもせず笑いもせず。こんな強い子どもは見たことがない。チーダの当時の首領が引き取り覇者になるべく育てた、大事なお子さね」
「その首領は?」
「そりゃ。死んださ。だからハオ様が首領さね」
「病気?」
「首領になるには前の首領を殺すのが、当然。いまから五年前、まだ十五になったばかりのハオ様は闘技場での決闘で、お勝ちになった。それはもう見事な槍さばきで――」
育ての親を殺した……? 十五歳で……?
「って、五年前に十五ってことは、あいつ今二十歳なのっ?」
「そりゃそうさね」
「まさか、年下……っ!」
見えないっ! 絶対年上三十歳はいってると思ってたのに!
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