12 / 70
.風呂に入れないなんて無理っ!絶対無理っ! 2
しおりを挟む
それで今朝も貢物らしき果物を持ち、俺の機嫌を伺い、ヤろうとするハオを拒んだわけだ。
「まったくなにが不満なんさね。ハオ様の子種を欲しがるオンナはわんさとおるさに……」
「男の俺がもらっても仕方ねぇだろ?」
「男でも女でも、ハオ様を欲しがるやつぁ、オンナさね」
あ、そういこと。
つか、俺は別に欲しがってないし!
「じゃあ、ジジの息子もあいつのオンナだったりすんの?」
これは軽いイヤミだ。
「レンのやつぁ無理さね。わしに似ちまったもんだから、ハオ様の好みじゃないさね」
レンっていうのは、ジジの息子だ。最初に俺を見つけたモヒカン頭。見つけた褒美がもらえたらしく、昨日お礼に来た、わりと律儀なやつだった。
まぁ、お礼と言っても「あざーっす!」みたいな感じだけど。そこでこのふたりが親子とわかり、俺はめちゃくちゃ驚いた。だって全然似てない。モヒカン男ことレンは、細身だけど背が高くて、俺を持ち上げるだけの腕力はある。
ひきかえ、ジジのほうは小男でハゲ頭。歯抜けの汚い笑い声。似てるのは細い目くらいだ。
……もしかしてあのモヒカンはハゲ隠しなのか?
その時にまだハオが俺を手に入れてないと知ると、あの無双発言を聞かされたのだ。
この世界、力こそすべてだ。
非力な者は強者に従うことで、なんとか生き抜いているらしい。たとえば、年老いたジジは下働きとして。見目が良ければオンナとして。本物の女の人は、子作りのため、大事にされている。
強い子どもを産むために、強い者だけが手に入れられる戦利品みたいな扱いだ。
この塔の隣には闘技場があって、夜な夜な試合が行われ、勝利者には女性との性行為が許される。
相手が好みでなければ女性に断る権利もある。
レンがいるってことは、ジジも昔その闘技場で勝ったことがあるわけだ。全然そんなふうには見えないけど。
そうやって守られていても、女性は子どもを産むと死んでしまうことが多く、絶対数は少ない。
「俺だってあいつの好みでもないだろ」
「マナ様はアンダーウォーカーでさぁ。ハオ様がどうしても手に入れたかったモノを、みすみす見逃すわけがないさね」
「だから俺は違うって」
「違かろうが、なんだろうと構いやしませんさ。ハオ様は覇者になるために生まれてきたお方さね。その白い肌がそばにおれば、他の地の者も従わざるを得ん。アンダーウォーカーってのは、それほど重要なんでさぁ」
覇者になるために生まれてきた……?
「まったくなにが不満なんさね。ハオ様の子種を欲しがるオンナはわんさとおるさに……」
「男の俺がもらっても仕方ねぇだろ?」
「男でも女でも、ハオ様を欲しがるやつぁ、オンナさね」
あ、そういこと。
つか、俺は別に欲しがってないし!
「じゃあ、ジジの息子もあいつのオンナだったりすんの?」
これは軽いイヤミだ。
「レンのやつぁ無理さね。わしに似ちまったもんだから、ハオ様の好みじゃないさね」
レンっていうのは、ジジの息子だ。最初に俺を見つけたモヒカン頭。見つけた褒美がもらえたらしく、昨日お礼に来た、わりと律儀なやつだった。
まぁ、お礼と言っても「あざーっす!」みたいな感じだけど。そこでこのふたりが親子とわかり、俺はめちゃくちゃ驚いた。だって全然似てない。モヒカン男ことレンは、細身だけど背が高くて、俺を持ち上げるだけの腕力はある。
ひきかえ、ジジのほうは小男でハゲ頭。歯抜けの汚い笑い声。似てるのは細い目くらいだ。
……もしかしてあのモヒカンはハゲ隠しなのか?
その時にまだハオが俺を手に入れてないと知ると、あの無双発言を聞かされたのだ。
この世界、力こそすべてだ。
非力な者は強者に従うことで、なんとか生き抜いているらしい。たとえば、年老いたジジは下働きとして。見目が良ければオンナとして。本物の女の人は、子作りのため、大事にされている。
強い子どもを産むために、強い者だけが手に入れられる戦利品みたいな扱いだ。
この塔の隣には闘技場があって、夜な夜な試合が行われ、勝利者には女性との性行為が許される。
相手が好みでなければ女性に断る権利もある。
レンがいるってことは、ジジも昔その闘技場で勝ったことがあるわけだ。全然そんなふうには見えないけど。
そうやって守られていても、女性は子どもを産むと死んでしまうことが多く、絶対数は少ない。
「俺だってあいつの好みでもないだろ」
「マナ様はアンダーウォーカーでさぁ。ハオ様がどうしても手に入れたかったモノを、みすみす見逃すわけがないさね」
「だから俺は違うって」
「違かろうが、なんだろうと構いやしませんさ。ハオ様は覇者になるために生まれてきたお方さね。その白い肌がそばにおれば、他の地の者も従わざるを得ん。アンダーウォーカーってのは、それほど重要なんでさぁ」
覇者になるために生まれてきた……?
1
お気に入りに追加
177
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

【完結】薄倖文官は嘘をつく
七咲陸
BL
コリン=イェルリンは恋人のシルヴァ=コールフィールドの管理癖にいい加減辟易としていた。
そんなコリンはついに辺境から王都へ逃げ出す決意をするのだが…
□薄幸文官、浮薄文官の続編です。本編と言うよりはおまけ程度だと思ってください。
□時系列的には浮薄の番外編コリン&シルヴァの後くらいです。エメはまだ結婚していません。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる