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.男に抱かれるなんて無理っ!絶対無理っ! 3
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異世界トリップのテンプレなら、きっとお城か何かに連れていかれるんだろうと思った。
しかし、実際は城というにはおどろおどろしい廃墟のような塔? だった。まさか、王様じゃなくて、魔王か?
入り口にはたいまつがたかれ、その周囲には、「ヒャッハー!」と叫んだモヒカン男と似たような、いかつい兄ちゃんがたむろっていた。
そいつらは俺を見て、珍獣でも見たような顔をした。
自慢じゃないが、俺は「河瀬さんって、友だちの友だちに似てるー」とよく言われるくらい、どこにでもいる普通のサラリーマンだ。
あれ、女の子が言う時って、絶対ほかに褒めるところがないから言ってるよな? 可もなく不可もない。害がない男って意味だ。
そんなことは置いといて、こんなに人に注目されることなんてはじめてだ。いや、この時は視線は感じても、それにこたえられるほどの体力はなかったが。
その塔の中もまた、がれきやら割れたガラスが散乱していて、とても人が住むような、ましてや城には見えなかった。
その最上階。ほかに比べれば格段にキレイだが、やはりどこか物々しい広間についた。
俺はモヒカンに投げ捨てられるように床に落とされた。
正直、疲れてる上に脱水状態で、怒る気にもなれない。
大勢の人たちが一斉に俺を見た。
モヒカンや上半身裸のおっさんみたいなのもいれば、じいさんやらぼろ布を巻き付けたような胡散臭い人もいた。
多分、男ばっかり。女の人は見当たらなかった。
しばらくざわついていたが、男の一声で突然空気が変わった。
「確かに白いな」
頭上から聞こえてくるのは、床まで響くんじゃないかっていうくらい低い声。ビビった俺が顔をあげると床から一段高いところに作られた、鉄やら獣の骨で作られた椅子に、ふんぞり返った男がいた。
「魔王のほうだったか……」
乾いた喉から思わず声が出る。どう見ても魔王だ。
顔には稲妻だか剣みたいなタトゥー。肩に乗っているのは獣の頭の骨? 革っぽいロングコート。
やっぱり魔王だ。
俺、生贄で召喚されたのかな?
「マオウ? なんだそれは。我が名はハオ。このチーダの首領だ。本当にお前は、アンダーウォーカーなのか?」
そっちこそ、なんだそれ、だ。
アンダーウォーカー? 地下を歩く人?
聞きたいけど、さっきのつぶやきのせいで俺の声帯は完全に枯れていた。
「儀式さえ済ませてしまえば、本物かどうかわかるかと思います」
別の男がそういうと、魔王はそれもそうだとうなずいた。
「準備をしろ」
「かしこまりました。ハオ様」
ふんぞり返ってるだけあって、ハオっていうのはとても偉いようだ。
彼の一声でまたモヒカンに持ち上げられた。
いや、俺別にちびでもガリでもないんだけど? 日本人の平均身長、平均体重なのになんでそんな猫みたいに持てるんだ?
わけのわからないまま連れてこられたのは、隣の部屋にある大きな台の上だった。
それもなんかわからん毛皮が敷かれた、清潔感のかけらもないところ。
儀式ってなんだよ。
殺されるのかな……。
怯えている間にモヒカンはいなくなって、代わりにハオが立っていた。
しかし、実際は城というにはおどろおどろしい廃墟のような塔? だった。まさか、王様じゃなくて、魔王か?
入り口にはたいまつがたかれ、その周囲には、「ヒャッハー!」と叫んだモヒカン男と似たような、いかつい兄ちゃんがたむろっていた。
そいつらは俺を見て、珍獣でも見たような顔をした。
自慢じゃないが、俺は「河瀬さんって、友だちの友だちに似てるー」とよく言われるくらい、どこにでもいる普通のサラリーマンだ。
あれ、女の子が言う時って、絶対ほかに褒めるところがないから言ってるよな? 可もなく不可もない。害がない男って意味だ。
そんなことは置いといて、こんなに人に注目されることなんてはじめてだ。いや、この時は視線は感じても、それにこたえられるほどの体力はなかったが。
その塔の中もまた、がれきやら割れたガラスが散乱していて、とても人が住むような、ましてや城には見えなかった。
その最上階。ほかに比べれば格段にキレイだが、やはりどこか物々しい広間についた。
俺はモヒカンに投げ捨てられるように床に落とされた。
正直、疲れてる上に脱水状態で、怒る気にもなれない。
大勢の人たちが一斉に俺を見た。
モヒカンや上半身裸のおっさんみたいなのもいれば、じいさんやらぼろ布を巻き付けたような胡散臭い人もいた。
多分、男ばっかり。女の人は見当たらなかった。
しばらくざわついていたが、男の一声で突然空気が変わった。
「確かに白いな」
頭上から聞こえてくるのは、床まで響くんじゃないかっていうくらい低い声。ビビった俺が顔をあげると床から一段高いところに作られた、鉄やら獣の骨で作られた椅子に、ふんぞり返った男がいた。
「魔王のほうだったか……」
乾いた喉から思わず声が出る。どう見ても魔王だ。
顔には稲妻だか剣みたいなタトゥー。肩に乗っているのは獣の頭の骨? 革っぽいロングコート。
やっぱり魔王だ。
俺、生贄で召喚されたのかな?
「マオウ? なんだそれは。我が名はハオ。このチーダの首領だ。本当にお前は、アンダーウォーカーなのか?」
そっちこそ、なんだそれ、だ。
アンダーウォーカー? 地下を歩く人?
聞きたいけど、さっきのつぶやきのせいで俺の声帯は完全に枯れていた。
「儀式さえ済ませてしまえば、本物かどうかわかるかと思います」
別の男がそういうと、魔王はそれもそうだとうなずいた。
「準備をしろ」
「かしこまりました。ハオ様」
ふんぞり返ってるだけあって、ハオっていうのはとても偉いようだ。
彼の一声でまたモヒカンに持ち上げられた。
いや、俺別にちびでもガリでもないんだけど? 日本人の平均身長、平均体重なのになんでそんな猫みたいに持てるんだ?
わけのわからないまま連れてこられたのは、隣の部屋にある大きな台の上だった。
それもなんかわからん毛皮が敷かれた、清潔感のかけらもないところ。
儀式ってなんだよ。
殺されるのかな……。
怯えている間にモヒカンはいなくなって、代わりにハオが立っていた。
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