世紀末な転移先で覇王に捕まりました〜この世界で生き抜くなんて無理っ！絶対無理っ！〜

.男に抱かれるなんて無理っ！絶対無理っ！ １

「無理っ！　絶対無理っ！」
「一度できたんだから、今日もできる」
「そういう問題じゃないっ！　ゴホっ！」

　もう何度叫んだだろうか？
　ただでさえガラガラののどが痛い。
　こののどの痛みだって、半分はコイツのせいだ。

　男の名前はハオ。
　どっからどう見ても魔王か覇王。
　俺の腕の倍くらいはありそうな、ぶっとい腕に、顔面はトライバルっていうのか？　浅黒い肌にタトゥが刻まれた、やたら強そうな男だ。
　実際、強いらしい。戦っているところは見たことないけれど、レンが言うには「ハオ様ひとりで、百人は倒せるっすよ！」だそうだ。
　いや、無双シリーズじゃないんだから。そんなわけないだろ？

「と、とにかく！　俺はその、アンダーウォーカーっていうやつじゃないしっ！　男にヤられる趣味もねぇ！」
「いや、間違いない。マナはアンダーウォーカーだ。手にしたものに、世界を授けるという伝説の……」
「だからなんなんだよ！　その中二設定！　世界なんて知らねぇからっ！　それに俺には河瀬学かわせまなぶっていうちゃんとした名前があるんだから、女の子みたいに略すなっ！　とにかく、どけ！　俺は病み上がりなうえに、お前のせいで疲れてるんだから寝かせてくれっ！」

　俺は最強だというハオの手を跳ねのけて、与えられたベッドの上で汚い布切れに包まった。
　ちょっと肩を落として帰る姿に、言い過ぎたかなと一瞬同情しかけたが、無理無理っ！　
　あんなこと、もう二度とやりたくない！