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天降る天使の希い
雨の月 その三 ♡
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舜櫂が側仕えとなり、ソルーシュの後宮生活は緩やかにすぎていた。
もちろん、蒼鷹との仲も順調だ。
わずか三日の蜜月期間だったが、ソルーシュと蒼鷹は互いのことを話し合い、何度も身体を重ねた。
おかげで少しは共寝も慣れたつもりでいたが、蒼鷹はいつもソルーシュを翻弄した。
ソルーシュよりも細い身体のどこにそんな体力があるのか、何度も果てた身体に楔を打ちつけ、もう無理だと啼くソルーシュに「もう少しだけ」と囁く声は、ソルーシュの身体をさらに熱くした。
「ソルーシュは、どこもかしこも敏感だな」
背後から覆いかぶさる蒼鷹の手が項から背骨へとおりてくる。
筋肉と筋肉の間を指が辿ると、ソルーシュの菊座がぴくりと反応した。
「くす、ぐったいです」
「本当に?」
ソルーシュの短く切りそろえられた銀髪から覗く耳朶のきわに触れる蒼鷹の唇から、熱い吐息が流れ込む。
その間も指はゆっくりと背骨をなぞる。
天鵞絨の肌触りを楽しむようにことさら丁寧に触れられ、ソルーシュは痺れを切らした。
「そう、よう……もう……ふぁっ♡」
降参しようと声をあげると、蒼鷹の指に力が入った。
腰の中心あたりを押され、鼓動が高まった。
「命門という、陽の気を高めるツボだ」
ツボ? とソルーシュは聞き慣れない言葉に頭を巡らす間もなく、蒼鷹はそこを中心に腰をつかんだ。
ギリギリ届く指の先端が腰骨に触れる。
「ふ、あっ♡ あ、そうよう、そこ、いい……っ♡」
「本当にどこもかしこも、敏感だな」
もう出し尽くしたと思っていたソルーシュの陰茎がぴくりぴくりと首をもたげ、先端から白濁が滲み出ていた。
ソルーシュは無意識に教え込まれた呼吸で、蒼鷹を誘う。
ふぅと長く息を吐き、飲み込んだ蒼鷹を奥へと招き、短く吸い込んで締め付けた。
「このままでも、イけそうだな……ふぅ……んっ」
穏やかな快楽がふたりを包んで、やがて白く塗りつぶした。
ぐったりと寝そべるソルーシュの身体を清めてから、蒼鷹が寝台に潜り込んできたのは、夜もだいぶ更けた時間。
絹糸のように柔らかい黒髪から香る匂いに、ソルーシュは無意識に顔を寄せ、その温もりを抱きしめて深い眠りについた。
蜜月を過ぎてすぐのこと、蒼鷹を抱きしめて眠っていることにはじめて気づいたとき、ソルーシュはとても恐縮し、しばらくは離れて寝てはどうかと提案した。
『なぜ? 夫婦で抱き合って眠って何が悪い?』
『ですが、苦しくはないですか? ……寝づらいとかありませんか?』
『むしろ、誰かに抱かれて眠ることなどなかったから、安心できて心地が良い。なんなら毎晩この腕の中で眠りたいくらいだ』
蒼鷹は、この年までこんなに安眠したことはないのだと、眉を下げて笑った。
その晩ソルーシュはサルーとの懐かしい夢を見ていた。
子どものころの一番幸せな記憶だ。
日中はふたりで荒れ地を駆け巡り、狩りを楽しんだ。
乾いた砂は身体を震わせて落とし、こっそりとハレムの離れに戻り、小さなパンと狩りの成果であるうずらを焼いて、ふたりで分けた。
その晩はひどく寒く、硬い寝台で何重にも巻きつけた毛織物とサルーの温もりだけが頼りだった。
身を寄せ合って眠る。
それだけで、ソルーシュは幸せだった。
そんなソルーシュの数少ない幸せな記憶が見せる夢の中で、掻き抱いた温もりが不意に消えた。
「……サルー……?」
もちろん、蒼鷹との仲も順調だ。
わずか三日の蜜月期間だったが、ソルーシュと蒼鷹は互いのことを話し合い、何度も身体を重ねた。
おかげで少しは共寝も慣れたつもりでいたが、蒼鷹はいつもソルーシュを翻弄した。
ソルーシュよりも細い身体のどこにそんな体力があるのか、何度も果てた身体に楔を打ちつけ、もう無理だと啼くソルーシュに「もう少しだけ」と囁く声は、ソルーシュの身体をさらに熱くした。
「ソルーシュは、どこもかしこも敏感だな」
背後から覆いかぶさる蒼鷹の手が項から背骨へとおりてくる。
筋肉と筋肉の間を指が辿ると、ソルーシュの菊座がぴくりと反応した。
「くす、ぐったいです」
「本当に?」
ソルーシュの短く切りそろえられた銀髪から覗く耳朶のきわに触れる蒼鷹の唇から、熱い吐息が流れ込む。
その間も指はゆっくりと背骨をなぞる。
天鵞絨の肌触りを楽しむようにことさら丁寧に触れられ、ソルーシュは痺れを切らした。
「そう、よう……もう……ふぁっ♡」
降参しようと声をあげると、蒼鷹の指に力が入った。
腰の中心あたりを押され、鼓動が高まった。
「命門という、陽の気を高めるツボだ」
ツボ? とソルーシュは聞き慣れない言葉に頭を巡らす間もなく、蒼鷹はそこを中心に腰をつかんだ。
ギリギリ届く指の先端が腰骨に触れる。
「ふ、あっ♡ あ、そうよう、そこ、いい……っ♡」
「本当にどこもかしこも、敏感だな」
もう出し尽くしたと思っていたソルーシュの陰茎がぴくりぴくりと首をもたげ、先端から白濁が滲み出ていた。
ソルーシュは無意識に教え込まれた呼吸で、蒼鷹を誘う。
ふぅと長く息を吐き、飲み込んだ蒼鷹を奥へと招き、短く吸い込んで締め付けた。
「このままでも、イけそうだな……ふぅ……んっ」
穏やかな快楽がふたりを包んで、やがて白く塗りつぶした。
ぐったりと寝そべるソルーシュの身体を清めてから、蒼鷹が寝台に潜り込んできたのは、夜もだいぶ更けた時間。
絹糸のように柔らかい黒髪から香る匂いに、ソルーシュは無意識に顔を寄せ、その温もりを抱きしめて深い眠りについた。
蜜月を過ぎてすぐのこと、蒼鷹を抱きしめて眠っていることにはじめて気づいたとき、ソルーシュはとても恐縮し、しばらくは離れて寝てはどうかと提案した。
『なぜ? 夫婦で抱き合って眠って何が悪い?』
『ですが、苦しくはないですか? ……寝づらいとかありませんか?』
『むしろ、誰かに抱かれて眠ることなどなかったから、安心できて心地が良い。なんなら毎晩この腕の中で眠りたいくらいだ』
蒼鷹は、この年までこんなに安眠したことはないのだと、眉を下げて笑った。
その晩ソルーシュはサルーとの懐かしい夢を見ていた。
子どものころの一番幸せな記憶だ。
日中はふたりで荒れ地を駆け巡り、狩りを楽しんだ。
乾いた砂は身体を震わせて落とし、こっそりとハレムの離れに戻り、小さなパンと狩りの成果であるうずらを焼いて、ふたりで分けた。
その晩はひどく寒く、硬い寝台で何重にも巻きつけた毛織物とサルーの温もりだけが頼りだった。
身を寄せ合って眠る。
それだけで、ソルーシュは幸せだった。
そんなソルーシュの数少ない幸せな記憶が見せる夢の中で、掻き抱いた温もりが不意に消えた。
「……サルー……?」
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