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泡沫の詩
しおりを挟むロアの舌を十分に堪能している間に、私の後孔はすっかり準備を整え終わっていた。あまり自分ですることはなかったが、これなら挿入は可能だろう。
ロアのすべてを支配したいと思って、私は彼を押し倒した。これもあまり自分ではしたことがないことだった。
ロアの陰茎は口淫と私の痴態だけで、さきほどよりもそそり勃っていた。
さすがに一気に挿入するには潤滑剤が足らない。
ゆっくりと腰を下ろして迎え入れると、呼吸が苦しくなった。
ロアの手が私の太ももに触れて、挿入を阻もうとした。
「童貞のくせに人の心配している場合か?」
私は一気に腰を下ろした。さすがにキツく、声が漏れる。
「ん――っ♡ くっ、はっ」
一瞬頭が真っ白になる。
しかも、すべてを咥えこんだところでロアの陰茎はさらに硬さを増していた。ドクドクと血流を感じられるくらいだ。
危うく余裕を失うところだった私がロアを見ると、ロアは両腕で顔を隠して必死に耐えていた。今この男に快楽を与えているのが自分だと思うと、私は落ち着きを取り戻した。
私の中で果てるときにはどんな顔をするのか見たい。
ロアの腹に手を置き、顔を覗くようにして前後すると、その時はすぐにやってきた。
「イ、くっ♡ カーティス、イくっ……あぁっ♡」
聞き取れないほど小さな声でロアは喘ぎ、あっという間に私の中に注ぎ込んだ。
涙を浮かべて口を開いてだらしのないイキ顔を晒したロアはすぐに青ざめた。
早いことを悔やんでいるのだろうか?
「これで動きやすくなったな」
むしろここからが本番だから、もう一度勃たせろと、締め付けて、ゆるゆると動かすと簡単に勃ち上がった。
私のなすがままのロアがかわいかった。
触れて欲しくて胸を反らせると、ようやく指が触れた。
あまりにも繊細に触れるものだから、ビクリとした。
官能を誘うでもなく、がっつくわけでもなく、ただ触れるだけ。
なのに私の敏感な先端は硬く尖って、彼の指に触られ
たがった。
もっと触れて欲しいと押し付けようとしたときロアが口を開いた。
「バカだな」
一瞬、自分のことを言われたのかと思って体が固まった。
「なに、が?」
私が問うと、カーティスは私を抱き寄せた。ふたりをつないでいたものがぬるりと抜けると、体からも力が抜けてしまった。
体を反転させられて、ロアが私を見下ろした。
支配していたはずのロアに支配されて、少し怖いと思った。
もしかしたら彼は私を欲していないのかと思ったが、そんなことはなくゆっくりとまたつなぎ直された。
ふぅと満足げな声をあげたロアが私に口づけた。
「僕なら、鉄の檻に閉じ込める。そこに宝物などあるとはわからないような、粗末な檻に。石炭の煙で隠して、僕にしか見えなくする」
ロアがこんなに長く喋ったのははじめてだった。
まるでルナマリアの詩のようで、いや、ルナマリアはロアなのだから、だから……。
「……っ、急に、饒舌になるな……」
求められていると思うと胸が熱くなり、顔が赤くなるのが分かった。ルナマリアの愛の詩はこれまで読んだことはなく、それが私あてだと思うと途端に恥ずかしくなった。
ロアは私から一切目を離すことはなかった。
彼の動きは逐一私を悦ばせた。
フェルナンドに教えられた自分のいいところを突かれると、自然と声が上がる。そうするとロアは重点的に先端でそこを掻くようにしてこすりつけてくる。
息が続かない私を見ると、今度はゆっくり奥に押し込まれ、彼を締め付けてしまう。
抜かれてしまうのではないかと思うほど、退かれて思わず足を絡めてもっととねだった。
ロアに私の意思が通じているかのように、今度は激しく突き上げられて、腰が持ち上がって胸を突き出した。
枕を掴んで、耐えようとしていると心配そうに覗き込んできて、大丈夫だと言うように喉元にキスを落としてくる。
我慢しなくていいのだと言われているようで、私は自分の陰茎に手を伸ばした。
ロアも限界が近いのか、ストロークはどんどん早くなる。私もそのスピードに合わせて陰茎を上下させた。
私を押し潰すようにして覆いかぶさるロアの体に先端が触れた。
目がチカチカして、私は絶頂を迎えた。
白濁の散ったその体にロアが口づけを落としてくる。
私の後孔が震える。
ずっと快感を感じていて、収まることを知らない。
長い間のようなあっという間のようなその快感はロアが私の中に吐き出すまで続いていた。
私は欲しい物を手に入れたのだと思った。
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