幸福を知らない俺は不幸も知らない

三谷玲

文字の大きさ
5 / 10

近付いた二人

しおりを挟む
 砂浜は気付けば日が落ち、辺りは暗闇に包まれていた。
 シルファの指が一本、俺のアナルに居る。探るような指付きで浅いところを抜き差ししたり、内部の壁をなぞるようにぐるりと回したり、かと思えば奥をとんとんと突くようにと自由に動かく指に俺は翻弄され、ペニスからぽたりぽたりと雫が垂れる。時折掠めるイイところを自ら差し出すとまだだと言わんばかりに指がすり抜ける。

「んやっ、しるふぁぁ、いじ、わる……んっ」
「意地悪なのはソラハだよ。ずっと俺の上で腰揺らして、俺のはお預け?」

 そう言ってシルファが腰を突き出した。俺の零した汁で汚れたシルファの長ズボン。その下にあるシルファのペニスが俺の会陰を突いた。恐る恐るそこを見ればズボンを突き破る勢いで勃ち上がっているのがよく分かる。指を咥えたままの俺のアナルがきゅっと締まった。

「欲しい?」

 項をぺろりと舐めたシルファに問われて、俺は答えもせずに彼のズボンに手をかけた。つたない手付きでボタンを外してそこだけ取り出せばぶるんという音が聞こえる勢いでシルファのペニスが顔を出した。すでに立派なシルファのソレに手を添える。むき出しのペニスはしゅっとしたシルファにはそぐわない大きさだった。片手では一周出来ない程の太さ、先端は尖っており雁は浅いものの、長さはとてつもなく長い。
 少し湿ったそこをゆっくりとなぞるとシルファが声を上げた。

「っっく……ソルハ、あぁいいよ」

 シルファの低く掠れた声を耳元で捉えると、気が良くなった俺は自分のペニスとシルファのペニスを両手で一緒に握った。

「あっ……これ、いいっ♡しるふぁのっ、あっつい♡」

 腰を前後させて擦り付けるとシルファの息も上がる。アナルに挿れられた指が激しくなって俺の動きも連動して、ぐちゃぐちゃと音を立て始めた。いつの間にかシルファの指が二本に増えて俺のアナルを拡げるように開いた状態で抜き差ししていた。力が入らなくなって2つのペニスを握っている手が動かせなくなる。すると今度はシルファが下から腰を突き上げてきた。

「しるふぁあ、おれ、でちゃう、もぉでちゃう、あっあっ♡」
「俺も、出る。一緒に……はっ」

 一気に駆け上がる射精感に堪らず手を握りしめてしまった。キツくなった手の中で2つのペニスが同時に弾けた。どぷっと飛び出た精液が二人の上半身を汚した。俺のペニスが萎えるのに対し、シルファのそれは萎えることなく精液をとくとくと流し続けている。射精後の脱力感で緩みそうな手をシルファの手が上から握り込んだ。

「……はぁっはぁっ、もう少し、このままで。俺らの射精は長いんだ……はぁ」

 シルファの吐き出す精液がたらりと流れ落ちる。俺のペニスから会陰、アナルに到達するとその精液をすくい取ったシルファの指がまた俺のアナルに挿れられた。俺の内壁に擦り込むようにした動きが俺を刺激して俺のペニスがぴくりと動いた。

「もうちょっと我慢して。今日はこれ以上はしないから……」

 抜ける指を引きとめるようにアナルが締まった。名残惜しいのはシルファだけではなくて俺もだと身体が教えてくれる。
 それでも射精したことで冷静になると、自分の痴態を思い出し俺は身を竦めた。シルファが出し切ったのか添えられていた手が離される。毛布を使って俺の身体を拭う。その間俺はこの毛布はもう使えないなとどうでもいいことを考えていた。

「送ろう」
 
 そう言っておざなりに身支度を整えたシルファが俺の手を引いて立ち上がらせた。が、腰が抜けた俺がふらつくとシルファがさっと抱えあげて俺はシルファの首に手を回した。

「ありがと、ございます」
「それ、止めないか?敬語」

 シルファのしっぽが俺の膝をぺしぺしと叩く。

「さっきまで敬語じゃなかっただろ?ラウルにだって……」

 さっきまでと言われて先程までの行為を思い出しかけて、頭を振った。思い出したら拙い。ただでさえ抱えられた腕に熱を与えられているのに。

「いや?俺よりラウルのほうがいい?」

 頭を振ったことで否定と取られて、もう一度首を振って答える。

「シルファだって俺って言ってる。いつも私って言うのに……」
「あ……そうか。じゃあお互いにこれからは自然に話そう?」

 巻き付いたシルファの首元でうんと頷くとシルファが頭を撫でて帰路に着いた。
 ここから本屋敷まで俺を抱えたままで帰るのだろうか?と考えていると思いのほか早く着いたぞとシルファの声が聞こえた。顔を上げて見るとそこは俺の根城の要塞の塔の前だった。

「なんで?」
「屋敷の部屋、ソラハの匂いが薄かった。ここはソラハの匂いが濃いんだ。ラウルと話して気付いたけど……ここがソラハの本当の住処、だね?」

 さすがケモノと言うべきか、匂いでわかってしまうものなんだな。俺が口を尖らせるととシルファがそこに口付けた。

「違う、今のはそうじゃないっ」

 キスが欲しくて尖らせたわけじゃないのにとシルファの胸をバンバン叩く。全く効き目がなさそうなそれにシルファは笑った。

「ははっ。ソラハがどんな顔してようと、どんな時だろうと俺はいつでもキスがしたい。だからほら」

 しっぽで俺の背中をぽんぽんと叩いて今度は俺からしろとでも言うのか口を尖らせるシルファに、仕方がないなぁと言いながら軽く、ちゅっと口付けた。

「もう、ここでいいよ。ありがとう。シルファはどうするの?」
「ここからなら走れば一時間で宿舎に帰れる。少し身体を使っておかないと今夜は眠れそうにないからな」

 ここから走って?ケモノってそんなに走れるの?驚く俺にシルファが笑う。

「ほら、もう遅いから、おやすみソラハ」

 額にキスをしたシルファにお返しにと同じところにキスをして俺はシルファを見送った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

オメガのブルーノは第一王子様に愛されたくない

あさざきゆずき
BL
悪事を働く侯爵家に生まれてしまった。両親からスパイ活動を行うよう命じられてしまい、逆らうこともできない。僕は第一王子に接近したものの、騙している罪悪感でいっぱいだった。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

Sランク冒険者クロードは吸血鬼に愛される

あさざきゆずき
BL
ダンジョンで僕は死にかけていた。傷口から大量に出血していて、もう助かりそうにない。そんなとき、人間とは思えないほど美しくて強い男性が現れた。

世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました

芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」 魔王討伐の祝宴の夜。 英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。 酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。 その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。 一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。 これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

【短編】売られていくウサギさんを横取りしたのは誰ですか?<オメガバース>

cyan
BL
ウサギの獣人でΩであることから閉じ込められて育ったラフィー。 隣国の豚殿下と呼ばれる男に売られることが決まったが、その移送中にヒートを起こしてしまう。 単騎で駆けてきた正体不明のαにすれ違い様に攫われ、訳が分からないまま首筋を噛まれ番になってしまった。 口数は少ないけど優しいαに過保護に愛でられるお話。

処理中です...