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不幸を知った俺
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シルファの婚約者として俺は出来る限りのことをしようと心に決めていた。ただでさえ何も知らない、男の俺ではシルファに申し訳ない。
「そうは言ってもここにある書物だけじゃ心許ないなぁ……」
目の前の本棚を見上げて俺はひとりごちた。要塞の兵士に聞けばせめてこの国の情勢や軍隊のことについては知れるだろうか?そう思った俺は久方ぶりに彼らの休憩所に足を向けた。
「オチビちゃん、久しぶり」
頭を小突かれて振り向けばそこには眩い金の髪を結いもせずにだらりと垂らした狼頭が居た。
「ラウル?どうしたの?また兵士に戻ったの?」
俺がまだ小さかった頃、兵士としてここに駐屯していた金色狼のラウルだ。もう10年も前のことだが彼の見た目はインパクトが強く、一度会ったら忘れられない。
ケモノには度合いがある。どれだけヒトと混じったかで変わるとも、それは関係がないとも言われているが彼はケモノ度合いがひときわ高い。頭はほぼ狼だ。金色の髪は襟足だけ長く腰まで伸び、無造作におろしている。身体付きはしなやかな筋肉質。厚い胸板からは毛がはみ出ている。おそらく全身毛で覆われているのだろう。手足はヒトと変わらないものの爪は鋭く伸びていた。たまにこれで服を破いてしまうのだと、よく笑っていた。
「ちょっと野暮用でね。オチビちゃんにも会いたかったし」
オチビオチビとあだ名されて可愛がってもらったのも懐かしい。あれからだいぶ背丈も伸びたのにラウルはまだまだ見上げる高さだ。そういえばシルファも背は高い。同じくらいだろうか?ふと思い出して、顔が赤くなった。
「おや?雰囲気がちょっと変わったな。そうか番を見つけた?」
ラウルの言葉にあわててそのマズルを手で抑える。
ヒトは番を見つけられない。見つけられるのはケモノだけだ。ここでそれを話されるのはかなり困る。今いる兵士たちには俺がケモノであることはバレていないのだから。
ラウルはそのケモノ度合いから言っても鼻がいい。俺の中にある僅かなケモノの気配を感じ取り、なにくれとなくケモノについて教えてくれた、兄貴のような存在だ。そういえばケモノには番がいることを教えてくれたのも彼だった。あの頃ちょうどラウルの番が見つかり、それはそれは盛大な惚気とともに教えてくれたのだった。
「ちょっ、苦しい苦しい。悪かったよ」
「そういうのもわかるの?ケモノだと……」
ラウルは俺を子供みたいに抱き上げるといつものようにもふもふの毛皮を俺に撫でつけようとして、止まった。なにかあったのか?とラウルを見るとニヤリと笑って答えた。
「俺くらいになるとなんでも分かるね。お前の番が誰で今どこまで進んでるかもな」
耳元でこそこそと話されて身震いがした。ヒゲがあたるのだからそこまで近寄らずとも良いんだけど……それより誰かわかる?どこまでって……
「えっ?そ、そんなことまでわかるの?は、は、はずかし……」
言われたことを理解した俺は真っ赤になってラウルの胸毛に顔を埋めた。ううう恥ずかしい。
「まだマーキングされただけで最後まではしてないってとこか。ははっ。あいつにしては我慢強いじゃねえか」
額をぐりぐりと押し付けてラウルの胸元でぐずっていると突然後ろから誰かに引っ張られ、温もりから遠ざけられた。あわあわとラウルの方に手を伸ばすもそれも一緒くたに抱きしめられる。ふわりと香るベルガモットの甘酸っぱい香りがした。俺は身体の力を抜いて、腕の主のされるがままに身を寄せた。
「浮気か?ソラハ」
押し殺したような声が首筋に落とされて抜いていた身体の力が別の意味で緊張した。ぐるぐると喉を鳴らす勢いで絡みつくシルファの腕をぽんぽんと叩いて、顔を上げさせると思いの外近くにあったシルファの顔が今にも泣きそうで、番の力というのはここまで人を変えるんだなと、妙に冷静に思った。
「浮気じゃないです。そもそもラウルには番がいますし」
「知ってる、そういうことじゃない」
後ろからしがみついたままのシルファの腕の中でもぞもぞと体勢を変えて、なんとか向き合う姿勢になる。襟元を掴んで見上げるときょとんとした顔のシルファが可愛く見える。普段は冷静で、知性溢れる顔をしたシルファのいろんな顔を俺は見れるんだなと思うと胸がぎゅっと締め付けられる。ぱっと表情を変えてとろけるような顔で俺を見詰めてそれからぐりぐりと耳を押し付けてきた。ふわふわの耳が俺の頬を撫ぜ息が上がりそうになって、必死で抑えた。こんなところでまた腰が砕けては拙い。落ち着いたシルファは俺の頭を撫でるとそれを肩口に押し付け抱きしめる力を強めた。
「大体副団長の私を置いて先に来てるのはどういうことだ?団長」
団長?
「お前に団長って呼ばれるの、気持ち悪っ……いやだってお前が婚約したって言うからさぁ。まさかオチビちゃんだとは思わなかったけどな」
ケラケラと笑いながらラウルが話すとシルファのお説教が始まった。
「金輪際私の婚約者に気軽に触れるな。大体お前はいつも思いつきで行動する!だから第3師団は野蛮だの粗野だのと言われる羽目になるんだ。もう少し考えて行動してもらわないと……」
あれから度々本屋敷で逢ってるがこんなにシルファがしゃべるのを聞くのは初めて逢った時以来のような気がする。
週に一度はシルファが俺を訪ねて本屋敷を訪れる。俺はあそこで暮らしている事になっていて、ほとんど使っていない部屋でシルファを待つが、挨拶をするとすぐ、シルファが外に出ようと促してくる。辿り着くのは大抵あの応接間のパティオ。俺が勝手に使える部屋はなく、シルファを通せそうな部屋といえばあそこしかなかった。
あの長椅子に二人で腰掛け、二言三言言葉を交わすと、シルファはしばらく黙った後、俺にキスをする。
息が出来ないくらいに口付けられて、くらくらしたところでシルファの指が項を擦る。それに反応した俺の口元でシルファがくすりと笑う。ぺろりと唇と溢れた涎を舐め取ると今度はその項に痕を付け、襟元のボタンを外していく。顕になった肩に鎖骨にキスを振らせて、かぷりと齧る。今俺は服を脱いだら身体のあちこちにシルファの噛み跡があるだろう。
そうなるともう俺には抵抗する力は残っておらず、シルファの好きなようにさせている。まだ少し肌寒い季節に上半身を剥かれ、寒さにか、口付けにかぷくりと勃った乳首をまたかぷりと噛む。小ぶりの犬歯が先端を擽って、俺は声をあげる。
パティオの壁に声が反射して俺の耳に戻ってくる。高く、甘い、女みたいな嬌声に煽られて、もっと欲しいとシルファの頭を抱え込む。ぺちゃぺちゃと舐める音とはっはっと切れる荒い息。
番の力と知っていながら今だけは俺のシルファだ。
俺は与えられる肉情に初めて人の温もりに飢えている自分を知った。父はもちろん、早くになくなった母の温もりも知らずにいたから今までは平気でいられた。知らないからこそ俺は自分が不幸だとは思わなかった。
でも知ってしまって初めて、自分が不幸だと、寂しいんだと知った。
「そうは言ってもここにある書物だけじゃ心許ないなぁ……」
目の前の本棚を見上げて俺はひとりごちた。要塞の兵士に聞けばせめてこの国の情勢や軍隊のことについては知れるだろうか?そう思った俺は久方ぶりに彼らの休憩所に足を向けた。
「オチビちゃん、久しぶり」
頭を小突かれて振り向けばそこには眩い金の髪を結いもせずにだらりと垂らした狼頭が居た。
「ラウル?どうしたの?また兵士に戻ったの?」
俺がまだ小さかった頃、兵士としてここに駐屯していた金色狼のラウルだ。もう10年も前のことだが彼の見た目はインパクトが強く、一度会ったら忘れられない。
ケモノには度合いがある。どれだけヒトと混じったかで変わるとも、それは関係がないとも言われているが彼はケモノ度合いがひときわ高い。頭はほぼ狼だ。金色の髪は襟足だけ長く腰まで伸び、無造作におろしている。身体付きはしなやかな筋肉質。厚い胸板からは毛がはみ出ている。おそらく全身毛で覆われているのだろう。手足はヒトと変わらないものの爪は鋭く伸びていた。たまにこれで服を破いてしまうのだと、よく笑っていた。
「ちょっと野暮用でね。オチビちゃんにも会いたかったし」
オチビオチビとあだ名されて可愛がってもらったのも懐かしい。あれからだいぶ背丈も伸びたのにラウルはまだまだ見上げる高さだ。そういえばシルファも背は高い。同じくらいだろうか?ふと思い出して、顔が赤くなった。
「おや?雰囲気がちょっと変わったな。そうか番を見つけた?」
ラウルの言葉にあわててそのマズルを手で抑える。
ヒトは番を見つけられない。見つけられるのはケモノだけだ。ここでそれを話されるのはかなり困る。今いる兵士たちには俺がケモノであることはバレていないのだから。
ラウルはそのケモノ度合いから言っても鼻がいい。俺の中にある僅かなケモノの気配を感じ取り、なにくれとなくケモノについて教えてくれた、兄貴のような存在だ。そういえばケモノには番がいることを教えてくれたのも彼だった。あの頃ちょうどラウルの番が見つかり、それはそれは盛大な惚気とともに教えてくれたのだった。
「ちょっ、苦しい苦しい。悪かったよ」
「そういうのもわかるの?ケモノだと……」
ラウルは俺を子供みたいに抱き上げるといつものようにもふもふの毛皮を俺に撫でつけようとして、止まった。なにかあったのか?とラウルを見るとニヤリと笑って答えた。
「俺くらいになるとなんでも分かるね。お前の番が誰で今どこまで進んでるかもな」
耳元でこそこそと話されて身震いがした。ヒゲがあたるのだからそこまで近寄らずとも良いんだけど……それより誰かわかる?どこまでって……
「えっ?そ、そんなことまでわかるの?は、は、はずかし……」
言われたことを理解した俺は真っ赤になってラウルの胸毛に顔を埋めた。ううう恥ずかしい。
「まだマーキングされただけで最後まではしてないってとこか。ははっ。あいつにしては我慢強いじゃねえか」
額をぐりぐりと押し付けてラウルの胸元でぐずっていると突然後ろから誰かに引っ張られ、温もりから遠ざけられた。あわあわとラウルの方に手を伸ばすもそれも一緒くたに抱きしめられる。ふわりと香るベルガモットの甘酸っぱい香りがした。俺は身体の力を抜いて、腕の主のされるがままに身を寄せた。
「浮気か?ソラハ」
押し殺したような声が首筋に落とされて抜いていた身体の力が別の意味で緊張した。ぐるぐると喉を鳴らす勢いで絡みつくシルファの腕をぽんぽんと叩いて、顔を上げさせると思いの外近くにあったシルファの顔が今にも泣きそうで、番の力というのはここまで人を変えるんだなと、妙に冷静に思った。
「浮気じゃないです。そもそもラウルには番がいますし」
「知ってる、そういうことじゃない」
後ろからしがみついたままのシルファの腕の中でもぞもぞと体勢を変えて、なんとか向き合う姿勢になる。襟元を掴んで見上げるときょとんとした顔のシルファが可愛く見える。普段は冷静で、知性溢れる顔をしたシルファのいろんな顔を俺は見れるんだなと思うと胸がぎゅっと締め付けられる。ぱっと表情を変えてとろけるような顔で俺を見詰めてそれからぐりぐりと耳を押し付けてきた。ふわふわの耳が俺の頬を撫ぜ息が上がりそうになって、必死で抑えた。こんなところでまた腰が砕けては拙い。落ち着いたシルファは俺の頭を撫でるとそれを肩口に押し付け抱きしめる力を強めた。
「大体副団長の私を置いて先に来てるのはどういうことだ?団長」
団長?
「お前に団長って呼ばれるの、気持ち悪っ……いやだってお前が婚約したって言うからさぁ。まさかオチビちゃんだとは思わなかったけどな」
ケラケラと笑いながらラウルが話すとシルファのお説教が始まった。
「金輪際私の婚約者に気軽に触れるな。大体お前はいつも思いつきで行動する!だから第3師団は野蛮だの粗野だのと言われる羽目になるんだ。もう少し考えて行動してもらわないと……」
あれから度々本屋敷で逢ってるがこんなにシルファがしゃべるのを聞くのは初めて逢った時以来のような気がする。
週に一度はシルファが俺を訪ねて本屋敷を訪れる。俺はあそこで暮らしている事になっていて、ほとんど使っていない部屋でシルファを待つが、挨拶をするとすぐ、シルファが外に出ようと促してくる。辿り着くのは大抵あの応接間のパティオ。俺が勝手に使える部屋はなく、シルファを通せそうな部屋といえばあそこしかなかった。
あの長椅子に二人で腰掛け、二言三言言葉を交わすと、シルファはしばらく黙った後、俺にキスをする。
息が出来ないくらいに口付けられて、くらくらしたところでシルファの指が項を擦る。それに反応した俺の口元でシルファがくすりと笑う。ぺろりと唇と溢れた涎を舐め取ると今度はその項に痕を付け、襟元のボタンを外していく。顕になった肩に鎖骨にキスを振らせて、かぷりと齧る。今俺は服を脱いだら身体のあちこちにシルファの噛み跡があるだろう。
そうなるともう俺には抵抗する力は残っておらず、シルファの好きなようにさせている。まだ少し肌寒い季節に上半身を剥かれ、寒さにか、口付けにかぷくりと勃った乳首をまたかぷりと噛む。小ぶりの犬歯が先端を擽って、俺は声をあげる。
パティオの壁に声が反射して俺の耳に戻ってくる。高く、甘い、女みたいな嬌声に煽られて、もっと欲しいとシルファの頭を抱え込む。ぺちゃぺちゃと舐める音とはっはっと切れる荒い息。
番の力と知っていながら今だけは俺のシルファだ。
俺は与えられる肉情に初めて人の温もりに飢えている自分を知った。父はもちろん、早くになくなった母の温もりも知らずにいたから今までは平気でいられた。知らないからこそ俺は自分が不幸だとは思わなかった。
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