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第十四話

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「大丈夫ですか? セーフワードは覚えてますよね?」
「忘れてない、大丈夫だ」

 ソファを汚したくないと、伊織の手を引いて寝室に招き入れた。白いリネンは汚れたら取り換えればいいが、革のソファはそうはいかない。下手なシミは取りづらいのだ。

「怖くなったらすぐに言ってくださいね。俺も、今日はもう我慢できるかどうかわからな――」
「ごちゃごちゃうるさいな。大丈夫って言ってるだろ?」

 この期に及んで、躊躇いを見せる伊織に理が喝を入れる。

「心配なんですよ」
「伊織に任せたら、大丈夫なんだろう? ほら、早く」

 我慢できないのは理も同じだ。
 早く、この男のモノになりたい。
 命令されて、甘やかされたい。
 怖いなんて思う暇もないくらいに、愛されたい。
 繋いでいた手が強く握られる。

「わかりました。じゃあ跪いて・・・
「ん、こう?」

 片足ずつ床に膝をつく。
 こうして見上げると、一気に小さな子どもになった気分がする。ああ、理はいま子どもだ。褒められたくて仕方がない、子どもだ。

「そう、上手ですね。理は男と経験は?」
「ない。でも、多分、平気」

 大丈夫だ。男としたことはないが、男とする妄想ならしたことがある。尻で気持ちよくなる方法を調べれば、そういった情報は嫌でも目に入る。
 だからこれからしなければいけないことは分かってる。
 伊織は下着ごとチノパンをずり下ろすと、長大なものが顔を出した。

「なら、舐めて・・・
「わかった……。下手でも怒るなよ?」
「怒りませんよ。理に怒ることは、絶対ないですから、安心してください」

 はじめて自分以外の男のモノに触れた。不思議だ。不快感はまるでない。きっとこれが出来れば、伊織はまた褒めてくれるだろう。
 手を添えて、裏側に舌を這わせた。
 来る前にシャワーを浴びてきたのだろう。メンソール系のボディソープの匂いがした。

「うん、いいですね、上手にできてます。ゆっくりでいいから咥えて、舌で、理が気持ちいいって思うところを舐めて、ふふ。ほんと尿道好きなんですね。俺も好きです。かわいい顔がさらにかわいくなってきましたたね。溶けちゃいそうだ」

 言われた通りに口に迎え入れる。全部は入りそうにないので、先端だけを咥える。舌を押し当てるのは、つるりとした亀頭の、さらにその先。少しくぼみのある場所に舌先で愛撫する。
 すればするほど、伊織のモノは大きくなって、理を撫でる手の力が強くなる。

 気持ちがいい。
 もっと大きくしたら、もっと褒めてくれる。
 歯が当たらないように口を開いて、もっと奥まで咥えこむ。息が苦しいのも忘れて、理が必死に頭を動かすと、伊織の手がさらに強くなる。

「ん、っ……、んんっ、あっ」

 あとちょっとですべてを包み込めると思ったところで、くぽっという音とともに離された。

「そんな寂しそうな声出さないで。理のちんちんはどうなってますか? 見せて・・・

 膝立ちになった理の中心はとっくに膨れ上がっていた。
 立ち上がりハーフパンツを脱ぎ捨てる。
 さらにぐっと上を向いたそこに伊織の視線が注がれて、気付けばベッドに押し倒された。

「どうして欲しかったんでしたっけ? 言って・・・

 寝転ぶ理にまたがった伊織の目が理を離さない。むき出しになった太ももを撫でて、命じられる。
 旅館に泊まった夜のことを思い出す。

「さわって、ぎゅってして」

 太ももからゆっくりと這う手が、理の中心を強く握った。

「い……っ」

 きつく握られるだけで、イきそうになる。痛いのに、気持ちいい。
 小さく開いた口からは、は、はっと息が漏れる。

「それだけで、足りますか?」
「たり、ない……、もっと」
「もっと、なに? 理のしたいことは何でもしてあげるから、言って・・・
「こっち、も触って」

 期待してすでに勃ちあがったそこを見せつけるようにTシャツをたくしあげて、胸を反らす。
 伊織の目が一瞬そこへと注がれて、また理の目に戻る。
 握ったままの手はそのままに、もう片方の手が心臓の上を撫でる。
 焦らすような動きに、理が目で訴えると、伊織は唐突に先端に触れた。

「乳首、好きなんでしたね。摘まみやすい大きさになって、エッチな乳首だ。そんなに好きなら、今度ここにクリップでも挟んでみましょうか? ぎゅってされるのが好きなんですもんね?」

 親指と中指が理の乳首を強く挟む。クリップを連想させるほど強くつままれ、人差し指が顔を覗かせる乳頭の先端をぐっと押しつぶした。
 同時に、握られた陰茎も同じように先端をぐりぐりと抉られる。

「いっ……、たい、いおり、それ、いい、っ! あ、だめ……っ、一緒にしたら、また、イっちゃう……っ」

 絶え間なく与えられる快感に、理が泣き言を言うと、伊織は頬に口付けた。

「いいですよ、好きなときにイって」

 何度も何度も顔中に口付けて、射精を促す。
 命じられれば、本当にすぐにでもイきそうだ。

「だ、め……、いおり、と、イきたい」

 伊織の手が止まる。

「理は本当にかわいいんだから、困るよなぁ」

 本当に困ったというように、伊織の眉が下がる。とたん、理は不安になる。

「困る? 理は悪い子? ああ……っ、ごめんなさい、ごめんなさいっ! いい子にするから、だからっ――」

 ああ、伊織を困らせてしまった。慌てて起き上がろうとする理を伊織の大きな身体が包み込む。
 背を撫でられ耳元に熱い吐息が注ぎ込まれる。

――大丈夫、悪くない。は、悪くない。

 あの時と同じだ。
 倒れたときに何度も何度も理をなだめてくれた、あの言葉だ。
 安らぎと興奮が同時に押し寄せて、肩の力が抜けていく。

「あぁ違いますよ、いい子だって言ってるんです。俺を困らせるかわいいいい子だって。こんなにいい子にはご褒美をあげないといけませんね」
「ご褒美……?」

 濡れた頬を伊織の手が撫でる。

「そう、ご褒美。乳首だけでイけるようにしてあげましょうか? それとももっと欲しいものがあるなら、俺に教えて・・・

 もっと、欲しいもの。そうださっきからずっと欲しくてたまらないものがある。

「……伊織、が、欲しい」

 腹に当たっている伊織の陰茎に手を添える。咥えたときよりもさらに大きくなっている気がした。


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