悪役令息アナ゠ルゥに転生したので、婚約者を奴隷にします

没落男娼白目エンドは嫌です

　さて、ビッチになった主人公シリ・アーナ。総合パラメータも上がった状態になると王太子ペニ゠スゥから「面白いやつ」認定され好感度マックスとなる。そのまま寝室に連れ込まれ、前戯もキスもなくいきなり挿入。三人とのセックスのおかげで、シリ・アーナの尻穴はすんなり受け入れてしまい、ぺ二゠スゥの巨根による遠慮ない抜き差しにもよがってしまうのである。翌朝には婚約破棄イベントが発生し、王太子妃として金のたまごを産むことになる。

　これが攻略対象四人とのハピエンルートだ。
　ゲーム性よりもドスケベを見るための、簡単シナリオになっている。
　しかし、この『たまたま』にはトゥルーエンドがある。
　タイトルを思い出してほしい。『たまむしいろのたまご』である。
　ペニ゠スゥの金のたまご、ニック・ケインの銀のたまご、マーラ・デッカの赤いたまご、チン・コウの青いたまご。
　攻略対象それぞれの色を産むことになるシリ・アーナだが、もちろんそれは『たまむしいろ』ではない。
　最後の王太子ルートでランダムアクシデントが発生すると、四人の攻略対象から求愛されるようになる。
　これでトゥルーエンドの逆ハールートに入った。
　ここで間違えてはいけないのが、誰か一人の好感度を上げてしまうと、たちまち拉致監禁ハピエンになってしまう。
　四人を平等に愛さなければ、『たまむしいろのたまご』は産まれないのである。
　攻略対象たちは、自分の色のたまごを産んで欲しいのですれ違うたびにシリ・アーナを犯す。場所も時間も問わない。
　続けて二度会ってしまうと、それだけで運命だ、愛の力だと言ってハピエンに持ち込まれてしまう。
　四人とのセックスを順番に二周できたら、晴れて『たまむしいろのたまご』を産んでトゥルーエンドとなるのである。
　この『たまむしいろのたまご』が、将来魔王を倒す勇者となるという第二シーズンがあるのだが、それは割愛する。

　さて、このゲームの中での悪役令息アナ゠ルゥがどこで出てくるのかというと、ランダムアクシデントだ。
　彼は、ペニ゠スゥの婚約者で、ニック・ケインの従兄弟で、マーラ・デッカの親友で、チン・コウのホストファミリーだ。
　プレイヤーである主人公シリ・アーナが攻略者と性交中、偶然、アナ゠ルゥと遭遇し、「は、破廉恥な！」と声を掛けられ強制終了させられる。
　アナ゠ルゥもたまごを産める男なのだが、この世界で唯一と言っていいほど、性に対してお堅い考えを持っている。結婚までは貞操を守るべきという新興宗教にハマり、その教えを守っている。それなのに王太子の婚約者になったのは、彼の家が子だくさんな『コダクサーヌ公爵』家だからだ。
　このところサンラーン王国ではたまごの生まれる数が減ってきており、少子化問題が深刻になっている。王家にいたっては子どもは王太子ひとり。テコ入れのためにコダクサーヌ公爵の血筋を入れる必要があった。
　最初はアナ゠ルゥに邪魔されるたび、最後までヤらせろと彼を嫌うプレイヤーだが、トゥルーエンドを狙い始めるとアナ゠ルゥが出てくるのを心待ちにしてしまう。見慣れてしまった濡れ場の途中で、アナ゠ルゥが出ると天使に見えるため、「アナル天使」とあだ名がつくほどだ。

　天使というだけあって、アナ゠ルゥの容姿は非常に魅力的だ。淡紫色の髪に泣きぼくろの可憐な少年が、顔を赤らめ「は、破廉恥な！」と叫ぶ姿はまさに天使である。

　その「アナル天使」が俺……。
　前世からは似ても似つかない姿になった自分に戸惑いしかない。なんせ、前世の俺は生まれながらのゴリラ顔、それに見合った筋肉だるま。なのにアナニー狂いのゲイなのだ。内弁慶が過ぎて、ハッテンバに足を運ぶ度胸もなく、悲しくエロゲーで抜く毎日。
　なんで死んだかはわからないが、お宝コレクションを見た両親には、申し訳なく思う。いっそ全部一緒に火葬して欲しい。
　もしかして、本当に『たまたま』といっしょに火葬してくれたから、転生できたんじゃないだろうか……？　いや、棺桶に燃えないものは入れられないから、それはないか。
　そんなことより、悪役令息アナ゠ルゥである。少子化が深刻化しているサンラーン王国で、貞節を尊び、主人公と攻略対象を邪魔する彼は異端だとして断罪されてしまう。まぁこの新興宗教が第二シーズンの魔王による、サンラーン王国への妨害であったことは、いまはどうでもいい。
　断罪されたアナ゠ルゥは、たまごが産める貴重な存在のため、男娼として城の内外問わず、孕まされ続けて、最後は色とりどりのたまごに囲まれて白目を剥いて死ぬのである。

　いくらアナニー狂いだとしても、その最期は避けたい。お宝コレクションを見られるよりも、キツイ最期だ。