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どれだけ愛情を注いだら、応えてくれるだろう? ※シゲアキ視点
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昨夜も散々見た寝顔を見て、シゲアキは一息ついた。
今夜もまた眠れないことを覚悟した。
目が合ったときから、なぜかショウイチに惹かれていた。これまで何度か恋人はいたが、こんな気持ちははじめてだった。
一目惚れ、そう言ったもののそれ以上の感情がすでに芽生え始めていることに、自分でも少し驚いている。
小児性愛者ではない、はずだ。19歳であれば、成人で問題はないが、幼い風貌に頼りない姿には庇護欲をそそられる。
しかしそれ以上に感じていたのは、郷愁だった。
野暮ったい服装のせいなのだろうか。ショウイチを見ていると懐かしさを覚える。ノゾムと見た、古い映画に感じる、行ったこともない知らない土地に感じるノスタルジー。あれに似ていた。
過去からタイムスリップしたという荒唐無稽な話をすべて信じたわけではない。記憶喪失の可能性や、精神に何らかの異常をきたしている可能性もある。実は詐欺師ということだってあり得る。
それでも信じたい、信じようと思えた。
居場所がないと泣き叫ぶショウイチに嘘はなかった。
この萎びた枝は、どう育てたら青々と茂り、どんな花をつけ、根を張っていくのだろう?
どれだけ愛情を注いだら、応えてくれるだろう?
ずっと求めていたものを、ようやく見つけた悦びが、そこにはあった。
シゲアキが切り花よりも樹木を扱うのは、自分に根がないことへの裏返しだった。
シングルマザーの母親は、シゲアキを産む前も、そして産んだ後も、各地を転々としていた。出産直後に心身を喪失したことも原因だが、彼女もまた何かを切望していたのかもしれない。
シゲアキが成人するころにようやく落ち着いたが、今でも心配で毎日の連絡は欠かせない。
「ん……」
無防備に寝返るショウイチのあどけない寝顔に、年甲斐もなく滾らせてしまい舌を打つ。
ずっと欠けていたものを、ようやく見つけた。ここで焦って失いたくはない。なんとか気を紛らわすため、スマコンを起動した。
まずは、餌付けからか。明日の朝食をオーダーするとシゲアキは静かにベッドへと潜り込んだ。
背に掛かるショウイチの熱が、この部屋ではじめて他人とベッドを共にすることに気付かせ、シゲアキはまた目が冴えてしまったのだった。
今夜もまた眠れないことを覚悟した。
目が合ったときから、なぜかショウイチに惹かれていた。これまで何度か恋人はいたが、こんな気持ちははじめてだった。
一目惚れ、そう言ったもののそれ以上の感情がすでに芽生え始めていることに、自分でも少し驚いている。
小児性愛者ではない、はずだ。19歳であれば、成人で問題はないが、幼い風貌に頼りない姿には庇護欲をそそられる。
しかしそれ以上に感じていたのは、郷愁だった。
野暮ったい服装のせいなのだろうか。ショウイチを見ていると懐かしさを覚える。ノゾムと見た、古い映画に感じる、行ったこともない知らない土地に感じるノスタルジー。あれに似ていた。
過去からタイムスリップしたという荒唐無稽な話をすべて信じたわけではない。記憶喪失の可能性や、精神に何らかの異常をきたしている可能性もある。実は詐欺師ということだってあり得る。
それでも信じたい、信じようと思えた。
居場所がないと泣き叫ぶショウイチに嘘はなかった。
この萎びた枝は、どう育てたら青々と茂り、どんな花をつけ、根を張っていくのだろう?
どれだけ愛情を注いだら、応えてくれるだろう?
ずっと求めていたものを、ようやく見つけた悦びが、そこにはあった。
シゲアキが切り花よりも樹木を扱うのは、自分に根がないことへの裏返しだった。
シングルマザーの母親は、シゲアキを産む前も、そして産んだ後も、各地を転々としていた。出産直後に心身を喪失したことも原因だが、彼女もまた何かを切望していたのかもしれない。
シゲアキが成人するころにようやく落ち着いたが、今でも心配で毎日の連絡は欠かせない。
「ん……」
無防備に寝返るショウイチのあどけない寝顔に、年甲斐もなく滾らせてしまい舌を打つ。
ずっと欠けていたものを、ようやく見つけた。ここで焦って失いたくはない。なんとか気を紛らわすため、スマコンを起動した。
まずは、餌付けからか。明日の朝食をオーダーするとシゲアキは静かにベッドへと潜り込んだ。
背に掛かるショウイチの熱が、この部屋ではじめて他人とベッドを共にすることに気付かせ、シゲアキはまた目が冴えてしまったのだった。
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