原石の欠片たち

三谷玲

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まな板の上の鮪(後)

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 あれ? さっきまで僕の下にあったはずの彼の顔が目の前に。いつの間に?

「で、何がお前を不安にさせた?」
「だって、回数、減ったっ! マグロ、だと乗り気じゃないって」

 僕の顔を両手で掴んで、目を逸らすことも許されず、ありのままを伝えた。
 だって、回数減ったじゃん。

「回数が減った? 毎晩こうして、抱いてるのに?」
「減ったよ! だって、ゴム、減ってないじゃん」

 そうだよ。前はしょっちゅう買ってきてたのに、最近全然そんなことない。この間買ったのがまだ残ってる。
 ということは回数減ってるってことだろ?
 僕は何度もイってるけど、彼は一回しかイってないことが多くなった。僕じゃイけなくなったのかも。
 考え出したらまた涙が出てきた。

「それが回数減ったって思った理由? お前は本当に馬鹿だな」
「ちが、うの? ぐすん。だって、僕じゃ、気持ちよく、ないから、イってないん、じゃ、ぐす」

 ポロポロ零れる涙は全部吸い取ってくれて、しゃくりあげる僕の背中を撫でてくれた。

「お前で気持ち良くないことなんか、ない。けどまぁ、お前がそんなに俺を欲してるなら、手加減はしない」

 撫でていた手が僕のお尻を割り拡げられる。もう何にも入らないくらいにぴっちりしてるそこに指が擽ると、僕のお尻がうずうずした。

「自分で準備したのは偉いけどな、お前のここはもっと拡げてやらないと、お前が辛いだけなんだぞ?」
「そうなの? でも、気持ちいいよ?」
「俺は、お前が心底気持ち良くなって欲しいんだ、俺なしじゃいられないくらい、もっと、な」

 そう言うと拡げたお尻に突き刺すちんこをゆっくり引き抜いた。ギリギリまで抜いて、またゆっくり埋めて。
 繰り返し繰り返ししてると、僕のお尻がぎゅうって引き締まって、でも、もっと奥に欲しくて緩んで。

「ほら、分かるか? 俺が欲しいって強請ってるのが」
「ん、ほしい♡」
「こっちも好きだろ?」

 キスしていた顔を下げると今日は一度も触れられていなかった僕の乳首にちゅうっと吸い付いて、それだけで軽くイってしまう。

「あぁっ♡ちくび、だめぇっ♡」
「そうか? 中が痙攣してる。嬉しい証拠だ」

 ペロリと舐めてまた吸い付いて何度も繰り返して今度は反対側。そこを舐められると感じすぎるからだめって思うのに、もっとして欲しいって身体が勝手に差し出すように胸を突き出しちゃう。

「またイっちゃうから、だめ、僕ばっか、イっちゃう♡」
「イきたくないなら、ここ抑えてやるから」

 僕のちんこをぎゅっと握られて射精を止められる。
 我慢出来ない僕のためにしてくれるけどこれされると今度は中ばっかりでイっちゃう。

「もぉむりぃ」
「もうちょい付き合え」

 奥に当たるのも、手前を擦られるのも気持ちがいい。
 乳首は舐められすぎて感覚が曖昧で、ただただ気持ちいい。

「あっ、あぁっ♡いっしょにしちゃ、やぁ♡」
「好きなくせに」
「そこれ、しゃべん、ないでっ♡」

 喋るたびに歯が当たって、それがまた新たな刺激になって中が締まって……の繰り返し。
 僕ばっか、気持ちいい。

 気付けばいつも通りに僕がベッドの上に横たえられていて、これではやっぱりマグロなんじゃ?

「ダメぇ、マグロ、いやぁっ」
「馬鹿だな、こういうのはマグロって言わねえの」
「んっ♡マグロ、じゃない、のっ?あんっ♡」

 セックスのときに動かないのがマグロじゃないのかな?

「まぁお前は鯉だな、まな板の上の鯉。俺がちゃんと料理してやるから、そのまま美味しくいただかれてろ」
「美味し? 僕、美味しいの?」

 彼は僕の喉仏にがぶりと噛み付いてにやりと笑った。

「大トロより、うめぇ」

 やっぱりマグロじゃないか!!!
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