原石の欠片たち

三谷玲

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正反対の兄と弟

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 小さい頃、父さんが再婚して同じ歳の義理の兄が出来た。義理だから当然似てない。
 俺は平均より低い身長、筋肉はつきにくく、色が白い。
 義兄は背が高く、ムキムキで、浅黒い。
 初めて会った頃からなにかもが正反対で、比べられもした。
 どうしたって叶わないところで争っても意味がない。
 俺は勉強だけは負けないように頑張った。
 その甲斐あって県内有数の高校に進学出来たが、義兄はスポーツ推薦でやはり同じ高校に進学した。
 秀でているところが違うから比較されることは減ったものの、義兄目当てに近付いてくるクラスの女子たち、中には男子もが増えたのは腹が立つ。
 お膳立て? するわけないだろ、あんなの。
 俺の方がよっぽど優秀なのだ。

「ただいま……」

 少し気落ちした声で帰宅の挨拶をすると、リビングから義兄が顔を出した。

「おかえり。どうした? 何かあったのか?」
「ちょっとね……。それより義母さんたちは?」
「今日結婚記念日だから二人でお泊まりだって。伝えるの忘れてたって置き手紙があったよ」

 知ってる。二人でデートしてくるよう仕向けたのは俺だから。そして、俺は妹が欲しい。

「もう一人弟が出来たら嬉しいんだけどなぁ」

 ほらやっぱり。義兄ならそう言うと思ってた。
 弟? 冗談じゃない。

「今日さぁ……」

 夕飯を食べた後、ソファで寝ころびながら今日の出来事を語る。クラスの女子から取り囲まれて嫌がらせを受けたと。実際はこの義兄目当ての女子たちにしつこくせがまれただけだが、俺にとっては嫌がらせだ。
 しょんぼりとした顔で語れば心優しい義兄は俺の頭を撫でた。
 
「よしよし、辛かったね、えらいえらい」
「もうやだっ!」

 小さい頃からこうして甘えさせてくれる義兄。同じ歳なのに兄ぶって精一杯背伸びする。

「そっか、ほら抱っこしてあげるから、ね?」

 どんなに義母を好きでもこんな甘え方が出来なかった俺は、一度義兄にそのことを吐露した。その時義兄は、じゃあ俺に甘えたらいいよ、と手を広げた。
 それ以来ずっと、義兄に甘えるときは抱っこされるのが常だ。
 幼児退行したように甘えて抱きつき、頭をグリグリと押し付けて義兄の匂いを存分に嗅ぐ。
 鍛えられた身体から甘いボディソープの匂い。
 褐色の肌に映える白いTシャツ。

「おっぱい…」

 その下にある乳首を的確に捕らえ、口に咥える。
 小さい頃からさんざん吸ってきた義兄の乳首は男とは思えないくらいに乳輪から盛り上がり、今にもミルクが溢れてきそう。

「そんな、舐めても、おっぱいはっ、出ないよっ、あっ♡」

 咎めながらも俺を抱く手は離れない。むしろ、快感を逃すためかシャツがキツく握り締められてるのが伝わる。
 ちゅうちゅうと吸いながら先を舌で押しつぶすと義兄の声があがる。

「あ、んっ♡」

 いつもはここら辺で止めてるが、今日は違う。
 このあと義兄は自室へ入り、オナニーするつもりだったろうが、そんなことはさせない。
 いまだに俺が子供の頃のように甘えていると勘違いしている義兄は、俺とは違い本当に心根の優しい純朴だ。
 小さい頃から虎視眈々と義兄を堕とそうと企んできた俺とは大違いだ。
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