原石の欠片たち

三谷玲

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教えるのが仕事

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同じ教職を取ってたやつらには哀れまれた。男子校なんて可哀想に、潤いがねぇなと。せっかくの雰囲気イケメン、イケボがもっいねぇと。

 バカだなぁ。思春期の女子より男子の方が楽に堕とせるのに。

 女子からすればおっさんでも男子からすりゃせいぜいお兄さん。上手いことやりゃ憧れられるってのに。

 女子よりゆるゆるなんだよ、男子は。



 数人試した結果、かなり効果があったので今日は一番お気に入りの少年を呼び出した。

 平均的な背丈、顔は整っていてニキビ一つないつるりとした肌。少しやんちゃはしているものの根は良い子なのだろう。担当している古文の授業はきちんと聞いてる。

 適当な理由で生活指導室に呼び出した。もっもとらしいことを話した後、雑談に入ると思春期らしい不安と悩みを打ち明けられた。

 彼女とのセックスが上手く行かなかったと。

 鴨が葱背負ってやってきた。



「そっか、でもさ、セックスって女の子とじゃなきゃ出来ないわけじゃないだろ?」

「そうっすけど、やっぱり好きな子と……」

「そうだっけ? セックスは誰としたって気持ちがいいし、特に男同士のは最高だって、先生教えただろ?」



 普通ならこの段階で避けられるだろう。しかし俺の声には力がある。ちょっといい声だなと、自分でも思ってた。けど、それだけじゃなかった。

 俺が何か言うと大抵のヤツは信じる。

 嘘は言ってない、嘘は。

 授業の際にこつこつとみんなに聞かせてきた。



ーーー古来から日本では男同士の交わりが一般的だった

ーーー男同士でもセックスしていいんだ

ーーーむしろそのほうが自然なんだ



 肩を抱き耳元で囁く。



「先生は、君と最高のセックスが出来ると思うけど、嫌かな?」

「嫌、じゃないっす……」

「じゃあ服、脱げるね」



 少年が自ら服を脱ぎ座ったままの俺に全てを明け渡す。

 好奇心と恥じらいの混ざった表情がたまらない。

 もうすでに股間は期待で膨らんで、肌は興奮で赤みが差している。

 目の前で揺れる乳首を舐めた。触れたことも感じたこともなかったのだろう、薄い反応。



「ほーらだんだん気持ちいいね?」

「……うっ」



 俺の一言でそこは一気に感度が増したのだろう。まだ戸惑いながらだが甘い声色で啼いた。



「ここを、こうされると、ね?」

「……んっ♡」



 舌先で先端を舐めて尖らせた乳首に甘噛みする。感じ始めた彼は俺の頭を抱えるように腕を回した。もう一押し。



「ほら、言ってごらん」

「……やっ…」



 拒絶のような言葉の割に彼の手に力が入り俺の髪をかき抱く。音を立てて吸いながら、彼の尻をわし掴む。俺の胸元に当たるペニスが主張してきた。



「言ったらもっと気持ちよくなるよ?」

「……もっと…?」



 ここで大事なのは自ら求めさせること。人は自分が決めたことには従順になりやすい。

 ゆるゆるとした愛撫は焦燥感を煽り、その先を求めたくなるモノだ。



「きも、ちいいっす……♡あっ♡きもちいいっ♡」



 声に出したら気持ちがいい、そう教えたから言葉にしたことでリミッターが外れた。



「な? 気持ちいいだろ?」

「はいっ♡きもちいいっす♡もっと、もっと気持ちよくなりたいっす♡せんせ、教えて?」

「あぁ、もちろん。先生は教えるのが仕事だから」

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