原石の欠片たち

三谷玲

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こんなの知らない

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 自分の性指向が男でしかも受け入れる側だと気付いたのは割と早いほう。就職で都心に出てきたおかげで相手に困ることはなくなった。
 今日も一夜の相手を見つけていざ、というところでばったり同僚に出くわした。
 互いに相手が男だったし、まぁ気まずい気分ではあるがそこは大人だからスルーだろ?と思っていたら、気付けば今日の相手が同僚に、変わっていた。

「こっち側だったとは……」
「いやいやなんでお前とすることになってんの?」

 今日のお相手は俺らが知り合いとわかると、修羅場はイヤだと同僚の相手を連れてどこかに行ってしまった。
 修羅場になどなるわけがないのに。

「まぁいいや、俺バリネコなんだけどいい?」
「……あぁ」
「んじゃ、支度してくわ」

 男でも使えるラブホだから支度するのに十分な設備。
 惨事にならないようにしっかりと準備して風呂場を出ると同僚は同じ位置に立ったままだった。

「おい、しねぇの?」
「……いいのか?」
「嫌なら止めるけど?」

 同僚のジャケットの隙間から手を差し込んで、社内の女子たちが噂してる鍛えられた身体をなぞる。
 されがままの同僚の顔を見上げる。
 いつもは女子がきゃあきゃあ騒ぐスマイル王子が怖い顔をしていた。

「嫌じゃ、ない」
「そんな怖い顔してんのに?」

 まぁいいや。
 どうせやることは同じだ。
 肉欲を満たしてくれたらそれでいい。

 ベッドに寝転び足を開いて誘う。
 ジャケットを脱いで足の間に陣取る同僚。
 やっとその気になったようだ。

 言わなくても俺のちんこを咥えて玉を転がす。
 まだ服を着たままの同僚を脱がそうと動くと止められた。

「俺に全部任せてくれないか?」
「自信あんの?」
「さっきの奴よりは」

 さっきの奴がどれほどのテクニックの持ち主か知らないがいいだろう。
 手荒く突っ込まれるだけよりはこうやって優しくされるほうがいい。

「ん、それ、きもちい」
「ここか?」

 尿道を舌先でつつかれながら玉を緩く揉まれる。
 気持ちのいい愛撫に腰を上げ自ら尻を開いた。

「こっちも」

 戸惑うことなく同僚の指が挿ってくる。
 男にしては綺麗で細く、長い指。
 何度か前後して確認出来たのか、二本に増やされる。
 ちんこへの愛撫とは違い、拡げることに専念するような動きがもどかしい。 

「ね、まだ?」
「もーすこし」

 そう言って両手の指で拓くと今度は舌を使って縁周りを解していく。
 シャワーで念入りに洗ったし、解したからいいけど、挿れて出すだけならもう十分のはず。

「もぅいいだろ?」
「まだだって」
「もういいから、はやく」

 見せつけるように高く腰を上げる。

「はぁ、分かったよ。知らないからな?」

 痺れを切らした俺が叫ぶと同僚はやっと身体を起こしてチャックを下ろした。
 まだ触れてもないそこが見ただけで大きくなってるのがわかる。
 こいつ、前戯だけで勃たせられんのか、すげぇな。
 ってあれ?半勃ち?
 俺の尻に擦り付けながら扱き出すと、さらに大きさを増し、硬くなった先端が会陰を突いた。

「ひっ」

 嘘だろ、こんなサイズ見たことない!

「いわんこっちゃない。でももう遅い」
「かはっ」

 ひけそうになった腰を掴まれ真上から突き刺すとさんざん解したはずの俺のアナルにぎっぎちになる。
 一気に満たされた欲だが、これはヤバい。
 こんなの知らない。

「さすがに、動かないでいてやる」
「あり、がとう?」

 それなりに経験してそれなりにしてきたけど、このサイズは知らない。
 先端から前立腺、そして最奥まで一度に埋められて身動き一つ出来やしない。
 同僚のちんこから脈が伝わる。
 どくりどくり。
 落ち着くための深呼吸すら、振動でどうにかなりそうなのに、同僚が話し始める。

「ずっと、お前のこと……」

 出逢いから始まって最近の仕事の話、如何に俺が同僚を魅了してきたかなんてことを巨大なちんこを埋めたまま、延々と語り出した。

 そんなの知らない。

 埋められた肉に溺れるのと、同僚からの怒涛の愛の言葉。
 俺が堕ちる先は……。
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