原石の欠片たち

三谷玲

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イけない男の子

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 友達が見ていたアダルトな動画。
 ふいに見せられてドキドキした。みんなは霰もない女性のイヤらしい姿にドキドキしてたけど、ボクは別の意味でドキっとしていた。
 子供のころから一緒に住んでたオジサン。
 母さんの恋人だった人に悪戯されていたボクの性知識はみんなよりも上だと思う。
 だって今日の動画、アダルトって言っても女の人一人で、ちょっと際どい水着でぬるぬるローション使ってセクシーなポーズで誘ってるヤツだったから。
 アレくらいならオジサンに悪戯されていた時のボクもヤらされてたことだった。
 あの程度のシーンでみんな顔赤くしてちょっと前屈みになってて、思春期ってこういうことなんだって初めて知らされた。

 ボクがドキっとしたのはその瞬間。
 オジサンがいなくなってから、そういうことはしてないのはもろんだけど、オナニーだってしてない気がする。
 三ヶ月前くらいに母さんにバレてオジサンは出て行った。
 母さんがボクのことを守ってくれたのだと喜んだのは最初だけ。
 オジサンがいなくなってから母さんはボクを叩いた。

『この淫売! 母親の恋人寝取るなんて、最低!』

 それ以来いちども口を聞いてないけど、それはもともとだったからあまり気にしてない。
 でもさすがに寝取ったなんて酷い言い草だ。
 ボクだって好きでオジサンと寝たわけじゃないのに……。

 この三ヶ月、性的なことは避けていたけど思春期だからおちんちんは勃つ。けど、どうしてもそれを触ることが出来なかった。
 オジサンを思い出しそうで怖いのだ。
 あんな程度の動画で勃起させるのは無理だけど、女の人の卑猥な姿にぴくりとも反応しないのはマズいんじゃないか?
 そう思ってボクはあの時ドキっとしたのだった。

 いつものように母さんは新しい男を探しに夜の街へと出掛けていったので、ボクはオジサンが残していったアダルトDVDをテレビで流した。
 母さんもどちらかと言えば童顔だけど、パッケージを見る限りオジサンはロリコンだったようだ。
 幼い顔立ちの女優さんがちょっと腹の出たおっさんに攻め立てられる様子が延々と流れる。
 見てたら少し興奮して勃起したのでボクはほっとした。

「良かった……この年でインポになってたらどうしようかと思った」

 年相応のおちんちんを握って扱けばそれなりの大きさに成長して安堵した。
 けど、それは一向に訪れる気配がない。

「んっ、んっ…どうして…」

 イけないのだ。
 扱けば気持ちがいいのに、射精感がこみ上げてこない。
 なんなら握りすぎて痛いくらいで、おかげでせっかく大きくなったのに萎えかけてしまった。
 もっとちゃんとDVDを見て興奮しないとダメなのかもと食い入るように見て、はたと気付いた。

 男がAVを見るのってそれを自分がしたいから、だよな。
 今、ボクは何を見て興奮してるんだ?
 あのAV嬢に突っ込みたいか?

 違う……。

 あのAV嬢みたいに太くて硬いおちんちんを突っ込んで欲しい。
 奥までゴツゴツと突いて、抉って、中にたっぷりと……。

 気付いた時にはボクの指はお尻の穴にすっぽりとおさまっていた。
 男優さんと同じタイミングで抜き差しするとまるであのおっさんにかき回されてる気分に、萎えてたおちんちんが再び元気になっていた。

「あっ♡オマ○コ、気持ちいいっ♡もっと、もっと欲しいのっ♡おちんちん、おちんちん欲しいよぉ」

 AV嬢よりも大きな声で喘ぐとより気持ち良くて、オジサンに教えられたとおりに卑猥な言葉が次から次へと溢れ出す。
 右手はお尻に、左手で乳首を弄る。
 もうおちんちんでイくことなんてどうでもよくなって必死でオジサンの動きを真似して中を掻き乱した。

「あ、うっん、足りないっ、ボクの指じゃ全然足りないっ」

 涙がポロポロ零れはじめる。
 何かないだろうかとチェストを探る。

 出てきたのは、一枚の名刺。

 ボクはスマホを手に取り慎重にタップした。

「オジサン……?そう、ボク。今夜、母さん居ないんだ、だから……」

 どうせ寝取ったことになってるんだから、構わないよね?

 
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