三鍵の奏者

春澄蒼

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第四章 地下に眠る太陽のカケラ

番外編 ラークとヘロンの待ち時間

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《アスカ村にて/王都に行ったカイトとフェザントを待つ時間》


「飛距離を伸ばすにゃ、やっぱり長くしないと」
「でもこれ以上は、ラークにはキツイよな」
「持ち運ぶにもなー」
「矢の方を改良してみるか?」
「よし、やってみるか」

「……忙しいのに、ごめんなさい……」
 隅っこで小さくなって謝るラークに、アスカ村の武器職人は「なーに言ってやがる!」と頼もしい笑顔を向ける。

「これは俺たちにとっても仕事さ。お前さんは依頼主なんだ」
「そうそう!村の恩人でも、しっかりお代はいただくよ!」
「それに……こんな難しい依頼、腕が鳴るってもんだ!」
「言えてらぁ!がはははっ!!」

 屈強なドワーフ二人に、がしがしと頭を撫でられて、ラークは少しだけ背が縮んだ気がした。
 だがその言葉には、顔を明るくする。


 その後も、何度も何度も作り直しては、ラークが試し、そしてまた改良を重ねて……三人は理想の弓を追い求めた。


***
「へぇ~!で、これがその新しい弓?」
 ヘロンの手にあるのは、どちらかと言えば小型で、山が二つ連なったような形をしている。

「うん、まだ試作品だけど」
 ラークはそれを受け取って、びんっ!と弦を鳴らした。

「おっ!ラークが持ったら、なんかしっくりくる!」
「なにそれ?」
「俺が持つとさ、なんか小ちゃいなーとか、変な形!とか思ったけど……ラークに似合うって感じだな!」
「よく分かんない感想……」

 二人はアスカ村の南の山に来ている。ここで試し射ちのついでに狩りをするつもりだった。

「あっ、ラーク!アレアレ!!」
「どれ?」
「あの木のてっぺん!赤い実がある!!」
「……まぁいっか。最初は動かない的からで」

 矢をつがえたラークは、ヘロンの要求に応えて、十メートルほどの高さにある木の実に狙いをつける。

 グッと引くと、その力が全て正しく伝わったように、弓がしなる。弓と自分が一体になったような、安心感と気持ちよさがあった。

 シュン!!

 ラークの思い描いた通りに、矢は飛んだ。実を傷つけることなく枝から切り離して、「おっ……とっと!」落ちてきたところをヘロンが上手に捕まえる。

「完璧!」
 にやっと笑ったヘロンは、その実を手の平の上でポンポンッと跳ねさせながら、「今度は……」

 ヘロンの指差した先には、一羽の鳥。
 無言で狙いを定めるラーク。

 バシュッ!

「あっ!」
 少し下に逸れた矢は、鳥が止まっていた枝に突き刺さった。命拾いした鳥は、大慌てで羽ばたいて空に消えていった。

「う~ん……ちょっとズレちゃった」
「でも前より威力は上がってる感じだな!かる~く引いてるみたく見えるのに!」
「すっごくんだ。やっぱりここの職人さんはすごいや」

「矢もさ、なんか普通のと違うよなっ!」
「そう!この矢羽をね、風をつかんでグンッ!って飛んでいくように考えてもらったんだ」
「風かぁ!あっ、そうだ!!いいこと考えた!!」
「え、なに?」
「ラークのさ、妖精の笛!」
「えっ?!」
「あれでさ風を呼んで、こう……!自由に矢を飛ばしたり!できないかな?!途中で方向変えたり?!」
「えぇっ!?そんなことできるかな……?」
「やってみようぜ!!」

 こうして狩りを忘れた二人は、暗くなるまで新しい弓に夢中になって、迎えに来たマイナに怒られたのだった。




******
《ヴェルドット国にて/遺跡に行ったカイトとアスカの帰りを待つ時間》

「もう、ヘロン!!いい加減に帰ろうよー!」
「なーに言ってんだよ?まだ来たばっかりじゃねぇか!」

 不安そうにキョロキョロするラークに、ヘロンはいつの間に買ったのか菓子を渡して、強気にそう返す。


「……カイトには『待機』って言われたのに……」
「いいじゃん、少しくらい!そのカイトがこーんなに待たせるのが悪い!!」

 カイトがアスカを連れて地下遺跡へ向かってから、五日経っている。じっとしていられないタチのヘロンにしては、五日もよく持った方だろう。

 その溜まった鬱憤を晴らすように、ヘロンはラークの制止も聞かずにちょこまかと動き回る。

 二人は食料の買い出しを任されて街へと出て来たはずなのに、そんなの後回しとばかりに、ヘロンは街の散策に勤しんでいた。


 武器屋や宝飾店を冷やかし、買い食いして、行き交う街の人に話しかけ、また買い食いして──……たっぷりとラークを付き合わせたヘロンは、「最後に」と小高い丘を目指した。

 人通りの多い市場からは外れたそこは、展望台になっていて、街が一望できる。


「さすがに海は見えねぇなー」
「……当たり前だよ。どれだけ離れてると思ってるの」
「アスカ村はどっちかなぁ?」
「さぁ?」
「前の時も何回かヴェルドットに来たけどさ、この辺りは初めてだよな」

 ヘロンの言う『前の時』は、一行が初めてアスカ村を訪れた時のことだ。病が蔓延する村を救い、フェザントが仲間になって、マイナが村に残ることになった、あの時。

 アスカ村に長期滞在することになった一行は、村の復興のために手を貸した。

 ヴェルドットとの国境に位置するアスカ村は、村人だけが知る坑道を使えば、厳しい山越えをせずともこの国へと抜けられる。
 そうしてラークもヘロンも、村人やフェザントのお供として、ヴェルドットに何回か買い物に行ったのだ。


 一行がヴェルドットに足を踏み入れたのは、その時が初めてだった。


「……なぁ、ラーク」
「なに?」
「カイトさ、いつの間にか普通にヴェルドットに出入りしてるよな?」
「え……?」


 一行が、それまでこの東の大国に縁がなかったのは、ただ単に用がなかったというだけではない。

 決定権を持つカイトが、この国を避けてきた故の結果だった。


「前ん時はぜっっったいにヴェルドットには行かなかったのに」
「うん……それに今回も、アスカ村に入る経路を、わざわざ遠回りになっても川沿いの道にして……フェザントがいるんだし、ヴェルドット側の坑道を使えたのに……」

「どういう心境の変化だろう?しれーっと行ったよな?」
「あの時から、だよね?アスカの両親に会うために……」
「ヴェルドットを避けることより、アスカのことを知る方が、カイトにとってはよっぽど重要だったってことか?」
「う~ん……っていうか、そもそもなんでカイトは、ヴェルドットを避けてたんだっけ?」

 ラークの今さらな疑問に、ヘロンも首をひねる。

「昔なんかあった、みたいなこと言ってたよな……」
「うん。それで、もしかしたら面倒なことが起きるかもしれないから、行かない方がいい──みたいな感じだった」
「そうそう!俺はそれ聞いた時、『うわっ、カイト前になんかやらかして、ヴェルドット出禁になったのかー?!』って思ったんだけど!」
「出禁って……も、もしかして……悪いことした、とか?」

 どもったラークは、カイトの似顔絵が描かれた手配書が、そこかしこにあるんじゃないかと、今さらながらキョロキョロし始める。

「あっ、そうか!!」
「なっ!……っなに!ヘロン?!」

 不安になった時にいきなり大声を出されて、ラークは思わず飛び上がった。

「いやさ、カイトももしそう思ってたなら、ヴェルドットを避けてて、でも今になって平気になった理由が分かる気がしてさ!」
「ど、どういうこと?」

「つまりさ、悪いことかどうかは知らねぇけど、カイトは前にヴェルドットでなにかして、そのせいで自分が手配されてると思ってて──」
「だから避けてた?」
「そ!でも、大丈夫ってことを、ヘイレンから聞いたとしたら?」
「ヘイレンから……?」
「ヘイレンの情報網なら、ヴェルドットの憲兵からも情報集まるだろ?そんで、カイトは自分が手配されてないって確信できたから──」
「そっか……!カイトがヴェルドットに行ったの、ヘイレンと会ってからだっだもんね?!」
「カイトは心境が変化したんじゃなくて、状況が変わったのを知ったから、ヴェルドットに行けるようになったってことだーー!!」


 想像で語っていたはずが、いつの間にか二人の中では、これが真実になっていた。そして正解を見つけたという、おかしな達成感で盛り上がったのだ。


***
 勝手にすっきりした気になった二人は、日が暮れていることに気づくまで、おしゃべりに夢中になっていた。

 そして、本来の目的を思い出したはいいが、慌てていたために、頼まれていた品を買い忘れ、待っていた仲間にこっぴどく怒られることとなったのだった。




******
《アスカ村にて/大人たちを待つ時間》

 ヴェルドットの王女の元にいるカイトを迎えに、ユエが村を飛び出した、その少し後のこと。

「まさかクレインとジェイに続いて、カイトとユエも、なんてなー」
「……カイトとユエは、まだどうなるか分からないよ」
「ま、そりゃそうだ」

 ラークとヘロンはアスカ村の外れをブラブラと歩いていた。

「クレインとジェイもはっきりすりゃあいいのに!その方がこっちも気を使いやすいよなー」

 ヘイレンとフェザントを引っ張って退場したユエに続いて、恥ずかしいセリフを吐いたジェイが逃げ出して──

「つーか、アイビスはなんでこと色恋になると、あんなに鈍感なんだ?」

 鈍感なアイビスが、それ以上クレインを居た堪れなくする前に、二人は助け舟を出した。
 両親と村の長老のところにいた、アスカに会いにアイビスを連れ出したのだ。

 アイビスがラサージェ夫妻と長老と、小難しい話をしている横で、二人はアスカに、これまでの旅の話を聞かせた。アスカは目を輝かせて夢中になって聞いていたが、あまりに興奮したことと、色々なことがやっと終わってホッとしたからか、しばらくして舟を漕ぎ出した。

 二人は横になったアスカに「また」と手を振って、話し込んでいたアイビスは置いて、先に長老の家を後にしたのだった。


 大人たちに気を使った子ども二人は、すぐにはフェザントの家にもマイナの家にも帰らずに、夫婦の時間、恋人の時間を過ごさせてあげようと、こうして時間を潰しているのだ。


「旅の間なんか、二人っきりになれないもんなー。俺たち、いい仕事してるよなっ?!」
「……クレインは嬉しくないんじゃないの?」
「はあ?!どうしてだよ?」
「だって……クレインはジェイと二人になると、なんか……気まずそうだもん」
「ラーク、分かってねぇなー!あれは照れてるだけだって!」

 クレインとジェイの関係の変化に、先に気づいたヘロンは得意げにそう決めつけている。
 ラークはまだ半信半疑……というよりは、まだジェイの片思いの段階なのではないか、と疑っているようだ。

「ラークも見ただろ?!ベレン卿の館で、クレインの部屋に入ってくジェイを!それも夜中!ほとんど毎晩!!」
「そう、だけど……でも」
「あれは絶対ヤってたんだって!!」
「っ!もうヘロン!!そういう言い方やめてよっ!!」

 あけすけなヘロンの言葉に、ラークは顔を赤らめる。

 もちろんラークにも、そういう知識はある。だが、それを具体的にはまだ想像できないし、ましてや仲間たちのそういう行為を想像するなど……恥ずかしいよりも申し訳ない気持ちになるらしい。

 ヘロンはそんなラークの心情を理解して、これ以上追い詰めることはやめた。


 ラークに合わせて、もう少し易しい話題に切り替える。

「カイトかぁ……ユエはまた、めちゃくちゃ難しいとこいったよなー」
「……そう、かな……」

 強い同意が得られると思っていたヘロンは、その微妙な返しにびっくりして、まじまじとラークの顔を見つめてしまった。

「なに……?」
「や、だって……なんかラーク、ユエならカイトをどうにかできるって思ってるみたいな……」

 珍しくモゴモゴと歯切れの悪いヘロンは、見慣れたはずの仲間の顔が、どこか大人びていることに気づいて、ハッとする。

 毎日見ていたはずなのに……変化は少しずつ積み重なっていたのだ。


「……ラーク、お前はいいのかよ?」
「……なにが?」
「カイト、ユエに取られちまうかもよ」


 あえてヘロンは、意地悪な聞き方でラークを試す。

「取られるって……カイトは元々僕のモノじゃないし……」
 ヘロンは眉根を寄せて、至極当然のようにそう返した。

 試したつもりが、反対に試されているような気になって、ヘロンは自分でも分からずに焦りが強くなる。

「だ、だってさ!ラークはカイトのこと、好きだろっ?」
「そりゃあ、好きは好きだよ」
「な、なんだよ、それっ」
「好きにも色々あるでしょう?」

 恋愛方面に関しては奥手だと思って侮っていたラークが、いつの間にか一足飛びに自分を追い越していったように思えて、ヘロンは正体の分からないモヤモヤに包まれた。

「な、なんだよ……お前はカイトのこと好きなんだって思ってたからさ!だから俺が、女の人のことで騒いでても、お前は無関心なのかなーって……」
「だってあれは……僕、あんまりヘロンに共感できないもん」
「なんでだよーー!!」

 一瞬で調子を取り戻したヘロンは、親友のあまりにそっけない言葉に地団駄を踏む。


「ヘロンこそさ、『運命の人を探してる』とか言うけど……それって本気なの?」
「本気も本気!!すっげぇマジメだって!」

 さらに、自分の人生の目的とも言うべきことを疑われ、いきり立つ。

「『運命の人』って、どうやって分かるの?」
「そりゃあ!!こう、ビビビッ!!ってくるんじゃねぇの?!」
「会ってすぐに、そんなこと分かるのかなぁ……」
「やっぱり、『特別』って分かるもんじゃねぇの?!」
「ヘロンって、手当たり次第って感じなんだもん」
「どこに出会いが転がってるかなんて、分かんねーだろ?!」
「年上の綺麗な女の人ばっかりだし……」
「年の差なんて関係ねぇ!!」
「僕にはヘロンが、可能性のない相手に玉砕しにいってるようにしか見えないよ」
「なんだとーー!!」


 微妙に憐れまれているような気がして、ヘロンは憤慨する。
「俺はっ!本気なのっ!!」
「はいはい」
「うがっ!!なんだそのテキトー!!じゃあさ!お前はどうなんだよ?!」
「僕?」
「カイトじゃないならさ、どんな人が好みなんだよっ?!」
「えぇ~?!」


 付き合いも長く仲も良い二人であったが、そう言えば、とヘロンは思う。そう言えば、ラークにこんなこと聞くのは初めてだ、と。


「好み……?」
「そうだよ!俺は『綺麗なお姉さん』!!お前はっ?!」
「うーん……」腕を組んだラークは早々に諦めて「分かんない」とヘロンの期待を裏切る。


「分かんないってなんだよ!ズルいぞ、お前だけ言わないなんて!」
「ズルいって……ヘロンが勝手に言ったんじゃん。僕が聞いた訳じゃないもん」
「がーーー!!少しくらいあるだろっ?!年上だとか、男か女か、とかっ!」
「男か女か……って……」

 以前は、男同士の恋愛を不思議に思っていたヘロンも、仲間たちのことがあって、自然と受け入れるようになっていた。

 ラークはヘロンのそんな変化に気づいて、さっきよりも真剣に考える素振りを見せて、

「……僕は、相手がどうかっていうよりも先に、自分がどうかって考えちゃってたんだよね……」
「どういう意味だよ?」
「だってさ、僕はもうこれ以上背が伸びないでしょう?」
「?それ、なんの関係があるんだよ?」
「いつまでも子どもみたいで……こんな僕なんかを恋愛の対象として見る人なんていないんじゃないかな……って。だから今まで、どんな人が好みかなんて考えたこともなかったの。だから分かんないの」


 ヘロンはもしラークが、現在形で今の話をしたなら、烈火のごとく怒っただろう。「そんな卑屈なこと考えるんじゃねぇ!!」と。

 だがラークは、すでに過去形にして消化していた。そんな成長をひとりで遂げてしまったラークが、ヘロンには少しだけ眩しく見えて「……じゃあ、これから考えろよ」と未来に話を向ける。


「今までにも『この人キレイだなー』とか、『かっこいいなー』とか思ったこと、あるだろ?」
「そりゃあ、あるけど……」
「それが好みだよ!」
「でも僕、一番はユエだと思うんだよね」
「はぁ?!ユエ?!」
「うん。今まで会った中で一番の美人は、ユエ」
「……じゃあラークって、ユエが好きなのか?!」


 短絡的なヘロンに、ラークはジト目を向けてから、しょうがないなぁとでも言うようなため息をついて、その質問を受け流す。


「それで、僕が一番かっこいいと思うのは、カイト」
「えぇっ?!じゃあやっぱりお前、カイトのこと好きなんじゃん!!」

「だからぁ!好きにも色々あるんだって。ユエもカイトも好きだし、かっこいいとも綺麗だとも思うけど、それがそのまま恋愛の『好き』にはならないのっ!」
「えぇーー?!意味分かんねぇ……」

「もう!ヘロンだって、ユエのこと綺麗だとは思うでしょっ?!」
「う……それは、まあ……」
「じゃあ、ヘロン、ユエのこと好きなのっ?!」
「えぇっ?ユエ、男じゃん?!」
「男同士だってありなんでしょう?」
「考えたことねえ……!」
「なら考えてっ!」


 ラークに考えさせるはずが、いつの間にかヘロンがウンウンと悩んでいる。


「うー……ユエかぁ…………なんつーかさぁ……俺じゃムリって感じ?手に負えないっつーか、手に余るっつーか」
「っそれ、分かる!『手に負えない』……僕もそんな感じ!!」


 全く噛み合っていなかった二人が、ここにきて初めて同意した。

「ユエもだけど、カイトもそうだよね。そんじょそこらの人じゃ釣り合わないし、ましてや僕たちじゃあ……」
「そう思うとさ、あの二人はお似合いに思えてくるよなー」
「えっ?」
「カイトとユエ!さっきまでは、ユエでもカイトはムリだって思ってたけど、じゃあユエ以外で、誰がカイトの相手できるんだって話!」
「そう!そうなんだよね。僕の中で『一番かっこいい』カイトと『一番綺麗』なユエ、だからさ、なーんか自然と、二人が並んでる姿がしっくりくるんだよねー」


「しっくり!!分かる!!俺ん中ではさ、クレインとジェイもやっぱり、『この二人』って感じなんだよ!」
「ああ!そう言われると確かに……クレインの隣にジェイ以外はおかしいよ!」
「だろっ?!んでさ、クウェイルの隣にはメイだし、マイナの隣にはゲルトだよなー」
「それで、マイナの腕の中にはダヤン!!」
「そうでなくっちゃなっ!」


 それじゃあアイビスは?フェザントは?ヘイレンは?ベレン卿は?────二人は神経衰弱でカードをめくるように、色々な人を組み合わせていく。


 では、自分の隣には誰が……?


 だが他人ばかり想定して、肝心な自分たちのことは最後まで議題に上がらずに、二人はこの話題を終えることとなる。

 二人が再びこの問いに向き合うのは、もっとずっと先のこと──。

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