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手とり足とり愛してあげる
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「ぅぅぅっ……っ……っく」
「ねえ、ユウくん。そろそろキスさせて」
ぼくがいつまでもぐずぐず泣いていると、篠崎さんが少しだけ困ったような声で耳元でささやく。
「篠崎さんっ………っ」
肩から顔をあげた僕の両頬をまるで壊れ物に触るような優しい手つきで包みこみ、篠崎さんの唇が僕の唇に重なった。
「……っ。……っ」
息が苦しくなるくらい、長いキスだった。
酸素を求めてぼくが口を開くと、篠崎さんの熱い舌が口内に突きこまれて、ぼくの舌に絡まった。
口元がどろどろにほどけていく。
「たくさん、泣いたね」
唇を離し、鼻と鼻がぶつかる距離で篠崎さんの視線が、ぼくの涙の跡をゆっくりとなぞるようにおりていく。
「お仕置きなんて……もぅ、いや、ですよぉ……」
すっかり甘えた気分でぼくが言うと、ぽんぽんと篠崎さんがぼくの頭を撫でる。
「ユウくんが、いい子でいれば、お仕置きなんてしないよ」
普段の篠崎さんはこんなに優しいのに。やっぱり、お仕置きをなしにするのは、無理なんだろうか。
それなら……。
ぼくが、ぼそっとつぶやいた言葉は聞こえなかったようで、篠崎さんはすぐに「なに?」と、ぼくの口元に耳をよせる。
「……ベルトは……いや、です……」
再度、思いきってつぶやく。
「なるほど。ベルト痛かった?」
ぼくは大きく首を縦にふる。
ベルトは凶器だった。しばらくあの痛さは忘れられない。
「そっかベルトは嫌か」
篠崎さんはじっと考えこむように腕を組んだ。
「ユウくん結局、四つん這いで30回終わらせられなかったもんね。あぁでも本当に私はユウくんを甘やかしすぎだね。お仕置き中は、甘やかしちゃいけないのに。膝に乗せる前だって、ついつい優しい言葉をかけたくなっちゃう。私も反省しないといけないな。ちゃんとお仕置き中は厳しく……」
「えええ。い、いいい今のままで十分です。本当に!!!!」
話が予想外の方向に進み始めて、ぼくが慌ててさえぎると、篠崎さんの唇が弧をえがく。
「そう必死になられると、逆にいじめたくなるんだよなぁ」
ぼくがなんと言葉をつづけていいのか、口をぱくぱくさせていると、篠崎さんの人差し指がぼくの唇を、ちょんっと突っついた。
「わかったよ。ベルトは、ユウくんがうんと悪い子の時だけにしようね。まあ痛い道具はベルトだけじゃないしね」
「あの、ど、道具を全部なしに、することは……」
「私の手でペンペンされるだけがいいの?」
自分の頬がじわっと熱を持ち、赤く染まっていくのを感じながらも、こくんと頷く。
篠崎さんはそんなぼくの顔をじいっと見つめたあと、とてつもなく爽やかな笑顔をつくり「却下」と、言い放った。
そうして、
「それにしてもユウくんって、本当に可愛いね」
と、言って、ぎゅぅっとぼくを抱きしめた。
ぼくの背中を掴んでいた篠崎さんの手がゆっくりと腰へと降りていって、そして、何もしていなくてもじんじんと痛みを放つお尻にそっと触れた。
「ぁ……っ」
「痛い……?」
「は、ぃっ……」
篠崎さんの指先が触れるか触れないかのところで、すぅっとお尻を撫でていたが、指を止めて
「縛ってもいい……?」
と、尋ねてきた。
なぜわざわざ聞くのかわからないまま、ぼくは断る理由もなく「はい……?」と答える。
篠崎さんは、ぼくのその返事を聞いて、早速、さきほどお仕置きのときにぼくの足首を縛った赤い縄を片手に巻いていた。
「膝立ちになって」
向かい合うように膝をついて立ったぼくのワイシャツのボタンをひとつひとつ丁寧にはずして脱がせる。そして手にした赤い縄を、ぐるりと一周ぼくの腰に巻き付けた。
そして縄の先を、ぼくの股の下にくぐらせてそのまままっすぐお尻の割れ目に沿って上へと引き上げられた。
「ん……っ」
力が入って、お尻が引きつるような妙な感覚がする。
「リラックス、リラックス」
篠崎さんが私の両肩から腕にかけてゆっくりと撫でる。
ふうっと息をついた瞬間、いきなりぎゅうっと、お尻の右の膨らみを押しつぶすように縄が腰から太ももにかけて縄が一直線に押しつけられた。
「い……っ、た……ぃっっっ」
思わず声が漏れる。
じわっと両目に涙の膜が張った。
篠崎さんはそれでも真剣な顔で、ぼくの太ももに縄を回す。そうしてお尻の左の膨らみにも縄が押しつけられて、ぼくはお尻はがっちりと縛られていた。
「……っ………っ」
縄が食い込んでいる感覚と、肌に残された痛みがじんじんとお尻の奥に染み入ってくるようで、いつの間にかギュッと両目を閉じていたぼくの頬を撫でて、篠崎さんが
「鏡、見てごらん」
と、促した。
目を開けて、首を回して鏡を振り返る。
赤く腫れたぼくのお尻を真っ赤な縄が十字にぎゅっと締め上げている。その画は思わず見惚れてしまうほどに、官能的だった。
「いいでしょう」
そう言って、篠崎さんがぼくのお尻を縛った縄に手を伸ばした。
ずりっとお尻の膨らみに食い込んだ縄が引き動かされて、肌を引っ掻かれた痛み、と別にゾクゾクとしたものが背骨を一気に抜けた。
「ひぃ……っ」
思わず高い声が漏れる。
「気持ちいい?」
即座に篠崎さんが尋ねながら、ずり、ずりっと、縄を動かす手を止めない。
ぞくぞくっ、ぞくぞくっと、震えが走って、全身が発熱する。痛くて、涙がこぼれてくるのに、縄の感覚がそれを乗り越えて快感が、ぼくの脳を支配する。
「気持ちいいよね?」
「ぃぃっ……、はぃ……っ……」
それまで何とか立ち続けていたぼくは限界に達して腰が砕けて、前に倒れ込んだ肩を篠崎さんがふんわりと抱きとめられた。
ああ自分は、もうすっかり篠崎さんに囚われてしまっているのだ。
永遠に、逃れられない。
抱き起こしたぼくの顔を覗きこむようにして、篠崎さんが満足そうな顔で笑う。
「ユウくん。これからも、手とり足とり愛してあげるからね」
ぼくは、ただ惚けた顔で頷いた。
「ねえ、ユウくん。そろそろキスさせて」
ぼくがいつまでもぐずぐず泣いていると、篠崎さんが少しだけ困ったような声で耳元でささやく。
「篠崎さんっ………っ」
肩から顔をあげた僕の両頬をまるで壊れ物に触るような優しい手つきで包みこみ、篠崎さんの唇が僕の唇に重なった。
「……っ。……っ」
息が苦しくなるくらい、長いキスだった。
酸素を求めてぼくが口を開くと、篠崎さんの熱い舌が口内に突きこまれて、ぼくの舌に絡まった。
口元がどろどろにほどけていく。
「たくさん、泣いたね」
唇を離し、鼻と鼻がぶつかる距離で篠崎さんの視線が、ぼくの涙の跡をゆっくりとなぞるようにおりていく。
「お仕置きなんて……もぅ、いや、ですよぉ……」
すっかり甘えた気分でぼくが言うと、ぽんぽんと篠崎さんがぼくの頭を撫でる。
「ユウくんが、いい子でいれば、お仕置きなんてしないよ」
普段の篠崎さんはこんなに優しいのに。やっぱり、お仕置きをなしにするのは、無理なんだろうか。
それなら……。
ぼくが、ぼそっとつぶやいた言葉は聞こえなかったようで、篠崎さんはすぐに「なに?」と、ぼくの口元に耳をよせる。
「……ベルトは……いや、です……」
再度、思いきってつぶやく。
「なるほど。ベルト痛かった?」
ぼくは大きく首を縦にふる。
ベルトは凶器だった。しばらくあの痛さは忘れられない。
「そっかベルトは嫌か」
篠崎さんはじっと考えこむように腕を組んだ。
「ユウくん結局、四つん這いで30回終わらせられなかったもんね。あぁでも本当に私はユウくんを甘やかしすぎだね。お仕置き中は、甘やかしちゃいけないのに。膝に乗せる前だって、ついつい優しい言葉をかけたくなっちゃう。私も反省しないといけないな。ちゃんとお仕置き中は厳しく……」
「えええ。い、いいい今のままで十分です。本当に!!!!」
話が予想外の方向に進み始めて、ぼくが慌ててさえぎると、篠崎さんの唇が弧をえがく。
「そう必死になられると、逆にいじめたくなるんだよなぁ」
ぼくがなんと言葉をつづけていいのか、口をぱくぱくさせていると、篠崎さんの人差し指がぼくの唇を、ちょんっと突っついた。
「わかったよ。ベルトは、ユウくんがうんと悪い子の時だけにしようね。まあ痛い道具はベルトだけじゃないしね」
「あの、ど、道具を全部なしに、することは……」
「私の手でペンペンされるだけがいいの?」
自分の頬がじわっと熱を持ち、赤く染まっていくのを感じながらも、こくんと頷く。
篠崎さんはそんなぼくの顔をじいっと見つめたあと、とてつもなく爽やかな笑顔をつくり「却下」と、言い放った。
そうして、
「それにしてもユウくんって、本当に可愛いね」
と、言って、ぎゅぅっとぼくを抱きしめた。
ぼくの背中を掴んでいた篠崎さんの手がゆっくりと腰へと降りていって、そして、何もしていなくてもじんじんと痛みを放つお尻にそっと触れた。
「ぁ……っ」
「痛い……?」
「は、ぃっ……」
篠崎さんの指先が触れるか触れないかのところで、すぅっとお尻を撫でていたが、指を止めて
「縛ってもいい……?」
と、尋ねてきた。
なぜわざわざ聞くのかわからないまま、ぼくは断る理由もなく「はい……?」と答える。
篠崎さんは、ぼくのその返事を聞いて、早速、さきほどお仕置きのときにぼくの足首を縛った赤い縄を片手に巻いていた。
「膝立ちになって」
向かい合うように膝をついて立ったぼくのワイシャツのボタンをひとつひとつ丁寧にはずして脱がせる。そして手にした赤い縄を、ぐるりと一周ぼくの腰に巻き付けた。
そして縄の先を、ぼくの股の下にくぐらせてそのまままっすぐお尻の割れ目に沿って上へと引き上げられた。
「ん……っ」
力が入って、お尻が引きつるような妙な感覚がする。
「リラックス、リラックス」
篠崎さんが私の両肩から腕にかけてゆっくりと撫でる。
ふうっと息をついた瞬間、いきなりぎゅうっと、お尻の右の膨らみを押しつぶすように縄が腰から太ももにかけて縄が一直線に押しつけられた。
「い……っ、た……ぃっっっ」
思わず声が漏れる。
じわっと両目に涙の膜が張った。
篠崎さんはそれでも真剣な顔で、ぼくの太ももに縄を回す。そうしてお尻の左の膨らみにも縄が押しつけられて、ぼくはお尻はがっちりと縛られていた。
「……っ………っ」
縄が食い込んでいる感覚と、肌に残された痛みがじんじんとお尻の奥に染み入ってくるようで、いつの間にかギュッと両目を閉じていたぼくの頬を撫でて、篠崎さんが
「鏡、見てごらん」
と、促した。
目を開けて、首を回して鏡を振り返る。
赤く腫れたぼくのお尻を真っ赤な縄が十字にぎゅっと締め上げている。その画は思わず見惚れてしまうほどに、官能的だった。
「いいでしょう」
そう言って、篠崎さんがぼくのお尻を縛った縄に手を伸ばした。
ずりっとお尻の膨らみに食い込んだ縄が引き動かされて、肌を引っ掻かれた痛み、と別にゾクゾクとしたものが背骨を一気に抜けた。
「ひぃ……っ」
思わず高い声が漏れる。
「気持ちいい?」
即座に篠崎さんが尋ねながら、ずり、ずりっと、縄を動かす手を止めない。
ぞくぞくっ、ぞくぞくっと、震えが走って、全身が発熱する。痛くて、涙がこぼれてくるのに、縄の感覚がそれを乗り越えて快感が、ぼくの脳を支配する。
「気持ちいいよね?」
「ぃぃっ……、はぃ……っ……」
それまで何とか立ち続けていたぼくは限界に達して腰が砕けて、前に倒れ込んだ肩を篠崎さんがふんわりと抱きとめられた。
ああ自分は、もうすっかり篠崎さんに囚われてしまっているのだ。
永遠に、逃れられない。
抱き起こしたぼくの顔を覗きこむようにして、篠崎さんが満足そうな顔で笑う。
「ユウくん。これからも、手とり足とり愛してあげるからね」
ぼくは、ただ惚けた顔で頷いた。
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初めましてのコメントありがとうございます♪
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