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練習
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窓から見える青空から目をそらして障子を閉め、机の引き出しから髪ゴムを探して肩にかかる髪をできるだけ高い位置で束ねた。隆文が押入れから敷布団だけ出し、布団の上に大きなバスタオルを広げている。
僕は自分で押入れから枕を取り出して胸に抱く。
「どうぞ、布団の上に横になっててください」
そう言い残して部屋から出て行く隆文の後ろ姿を見ながら、バスタオルの敷かれた布団の上にごろんと横になる。
このまま何も考えずに眠ってしまいたい。
もう全部、やめてしまいたい。
そう頭のなかに浮かんだ自分の思いに自分で怖くなって、手のひらでわざと強く腫れたお尻に触れる。痛みにきゅっと目をつむって、瞼の裏に秋彦の姿を思い浮かべる。
僕は秋彦のために生きるんだ。秋彦の役に立つ人間でいなきゃいけないんだ。
「憐さん。傷に触れたら痛いでしょう?」
手首を握られて、お尻から手を剥がされる。
隆文は僕の足元に置かれた黒い箱の横に湯気のたちのぼっている洗面器を置き、箱の中からローションのチューブを手に取った。
「待って。初めに指で慣らすのは僕がやるから…」
「いいえ。大丈夫です」
起き上がりかけた僕の肩をそっと戻して隆文が言う。
いいよ慣れないことしないで、と言いかけて、隆文と初めて会った日のことを思い出す。バイブを抜かれた後、慣れた手つきで後ろを弄られて……。
「楽な体勢でいいですよ」
僕が黙り込んだのを、始めていいという合図だと受け取った隆文がそう促す。僕は両手で枕を抱えたままうつ伏せになって膝を立てる。
「もう少しだけ、足を開いてもらえますか」
こんな状況でも相変わらず冷静な声。
これも全部、秋彦のためだから。
そう自分に言い聞かせて、大きく足を開く。パチン、とチューブの蓋をあける音がしたあと、とろっとしたローションのついた指が蕾に触れる。
隆文の指先がゆっくりと蕾の周りを撫でるように円をえがき、散々焦らされたあと、ずる、と指がはいってくる。
「………っ」
じわじわと挿入された指が内壁の一点を撫でるように押しては離れる。
お腹の下の方がきゅっと締まって、身体がじわじわと熱くなってくる。隆文の様子が気になって枕を抱えた腕の下から姿を盗み見た。
隆文は平然とした表情で、一度するりと指を抜くと再度大量のローションを三本の指の上にのせる。
二本の指が押しあてられ穴が広げられて、ぐるぐるとローションを塗りこむように指でかき回された。
「………ん…、」
指の束がずるずると奥へと挿し込まれて、我慢していた声が漏れる。隆文の表情が一瞬、ほっとしたように柔らかくなる。自分の意思とは関係なく奥の方で、きゅっ、と隆文の指を締め付けてしまう。
「…ぁ、……っ」
「憐さん…もう少し力を抜きましょうか」
話しかけてきた隆文と目が合いそうになって、慌てて枕に顔をうずめる。きちきちに締め付けている三本の指がゆっくりとだが強引に、内側を押し広げるように動く。
「………っ」
身体にじんわりと汗が滲んできているのがわかる。声を押し殺すのに精一杯で、息が苦しい。
「ん、ぁ…っ」
中を擦る指の動きに合わせて、突然内腿をゆっくりと撫でられる。こわばっていた身体からがくがくと力が抜けていく。肌に触れる、柔らかい指の感触。
その指でもっと別の場所も、触ってほしい……。
「だいぶ、緩んできましたね」
そう言うと同時に、ずるり、と指が引き抜かれて「…あ……っ」と、声が漏れる。
押し広げていたものがなくなって、蕾がヒクついているのが自分でも分かった。震える蕾に、わずかに濡れた温かい布が押し付けられて腰がびくっと跳ねる。
「…や、……」
「垂れたローションを拭いているだけですよ。腿が汚れたら気持ちが悪いでしょう」
蕾の周りをするりと拭われる。
薄い布ごしに隆文の指を感じて、それだけで声をあげてしまいそうになる。こんな程度でよがってるなんて、淫乱だと思われていないだろうか。
隆文の指が離れて、ほっと息をつく。
「憐さん。どれを使いますか?」
枕元で声がして、顔をあげると隆文が箱の中から、ディルドをつまんでみせる。
「どれでもいい……。一本なら、どれでも挿れられる」
「わかりました」
と、頷いた隆文は、黒くて硬そうなディルドを選びとった。
「先にこれを挿れてから、次にシリコンの比較的柔らかいのを挿れましょう」
僕は返事をせずに目をそらして、枕に片頬をのせる。
二本挿れるのは怖い、なんてもう言いだせない。
それに、これが出来るようにならないと秋彦に捨てられて……。
「憐さん、考え事をするのはやめましょうか」
蕾に、硬い玩具の先があてられて、ぐいっとそのまま勢いよく突っ込まれる。
「ひ、ぁ……っ」
硬いディルドが、指でどろどろに溶かされた内側をずるずると滑るように進む。一気に奥深くまで挿れられたかと思うと、ぐ、ぐっと小刻みにさらに奥へ奥へと突かれる。
「ん、…んっ」
「苦しくはないでしょう?」
ディルドの動きがやんで、隆文が決めつけるような口調で尋ねる。
「へい…き…っ」
「このまま指一本なら…ほら、すぐに入りますよ」
指先が滑るように侵入する。
「……ぁっ…」
強めに広げるように内側を押されて、腰が砕け落ちそうになる。
「痛くはないですか」
僕が小刻みに頷くと、隆文が「それなら」と続ける。
「もう一本、挿れてみましょう」
両腕で枕を強く握りしめ、なんとか力は抜こうと意識をむける。
つ、と蕾に指とは違う太いものがあたる。
「…っ…」
わずかに腰が前へと逃げた。
「ごめん…な、さい…っ」
咎められたわけでもないのに、反射的につぶやいてしまう。
きゅ、っと蕾が縮こまって、突っ込まれたままの硬いディルドをさらに締め付ける。
「ゆっくり挿れるので、大丈夫ですよ」
逃げた腰を引き戻されて、再度、押し当てられる。そのまま、く、っと先っぽが押し広げるように入ってきた。
「…ぁ、ぃ、…ぃやぁっ……!」
押し広げられていく恐怖に、汗が一気に冷たくなって、とっさに払い落とすように右手を後ろに回してしまう。
「憐さん……もしかして怖いのですか?」
隆文に右手首を掴まれる。
「ちが…っ、平気……っ」
掴まれた手を振りほどこうとしたが、隆文は手を離さず、そのまま僕の身体はぐるんと仰向けにひっくり返された。
「な、に…っ」
仰向けになって晒された汗の垂れた顔を真正面から隆文に見つめられて、頬がさらに熱くなった。
僕ほどではないけれど隆文もなぜか汗をかいていて、眉をきゅっとよせるのが見えた。
「少し、方法を変えましょう。憐さん、その枕離してください」
隆文は僕が左手で握り続けていた枕を取り上げて、僕の頭の下へ滑り込ませると、さらに枕の上にタオルを重ねて軽く僕の首をたたせる。
そのまま隆文は僕の両足を持って大きく開いて膝を曲げる。
「膝裏を両手で抱えられますか」
静かに尋ねられて従ってしまう。
「そのまま待っていてください」と、隆文は一度立ち上がると、机の上から大きめの置き鏡をもってくる。
「なんで、鏡……っ?」
「自分で見えていたら、想像しているより怖くないものですよ」
と言って隆文は僕の股の下にその鏡を置く。鏡には大きく開いた両太腿と、黒いディルドを咥え込んだ蕾が映り込んでいる。
「ぃや…っ!」
足を抱えていた手を離し、両足を閉じて鏡をつま先で押し倒す。畳にがしゃんと鏡が倒れる音がしたが、隆文はそちらには目をくれず僕の身体に覆いかぶさるように顔を寄せ、いきなり僕の額の汗を拭う。
「嫌なら…ここで、やめておきますか」
目の前にある隆文の両目が優しくゆるむ。胸の奥から何かが込み上げてきて、ぶわっと両目から涙が溢れ出す。
「やめない…っ、やめないっ……っ」
やめたい。こわい。もうやりたくない。思わず縋ってしまいそうになる言葉を飲み込む。
額の汗を拭っていた隆文の指が何故だかわずかに震えながら、僕の涙を拭う。
「続けて、いいんですね?もう、嫌だと言っても止めませんよ」
唾をのんで頷くと隆文が身体を引いて、僕の両足をまた大きく開く。僕が両目の涙を強く拭うと「開いておいてください」と、再度、膝裏を持たされた。
「もう少しだけ、頑張りましょう」
と、隆文が鏡を同じ場所にたてる。
「これは、苦しくはないですね?」
突っ込まれたままの黒いディルドを、隆文が握ってわずかに揺らす。
「…っ、……」
「憐さん。ちゃんと、鏡を見てください」
「ぁぁ…っ…」
ずるずる、と数センチ、黒いディルドが引き抜かれて、そこに隆文がローションを垂らす。どろどろになったディルドが、またゆっくりと蕾の中に押し挿れられていく。
「辛いのも全部忘れられるくらい、気持ちよくなりましょうね」
深く押し込まれたあと、今度は勢いよく引っ張られる。
「ん…、っ…ぁ…っ」
少しずつスピードを上げながら、抜き挿しされて内側がぐちゃぐちゃになっていく。ディルドを咥えた蕾からどろどろと染み出したローションを隆文が手ぬぐいで拭いつつ、ディルドを動かす手は止めない。
「ぁ…っ、ぁぁっ…っ」
「まだ締め付けてはダメですよ」
抜き挿しを繰り返していたディルドを今度はかき回すように動かされる。
「や、ひぃぁ…っ、あっ、ぁっ……っ」
段々と大きな円を描くように回されて、蕾が大きく押し広げられているのが見える。
「あっぁ…っ、やだ…回すの…っ、やだ…っひっぁぁっ…」
膨らんだペニスから、とろとろと透明な液が溢れ出す。ぐるぐると回されていたディルドが、ぐっと突っ込まれて隆文がやっと手を止める。
「ほら、ずいぶん緩くなっているでしょう」
そう言って、隆文が左手にディルドを持ち替え、右手の人差し指と中指を蕾に突っ込んで、入り口を横に大きく引っ張るように開く。
「ぁぁっっ……!」
「奥まで見えてしまいそうですね」
「やだっ、やだぁっ……」
「大丈夫ですよ。すぐにここにもう一本挿れて、いっぱいになります」
隆文は右手を離し、ゆるゆると左手でわずかに黒いディルドを動かしながら、肌色のディルドを手に取る。
そのディルドを一度、洗面器にいれてタオルで水を拭ってから、
「見てください。先は少し細いでしょう?」
と先っぽを蕾に押し当てる。
するとそのまま、つ、と数センチ簡単に入りこむ。
「……ん…っ」
肌色のディルドがゆっくりと突き込まれていくのが見える。ぎちぎちの入り口を押し広げて、徐々に太くなっていくディルドを自分の穴がずぶずぶと飲み込んでいく。
「ぁ…っ、ぁっ…ああっ…」
「ほら、もう半分入りましたよ」
押し広げられるわずかな痛みと、強い圧迫感。
「く…苦しぃっぃっ……っ」
「ここまで挿れられれば、大丈夫です。最後まで挿れてみましょう」
「あぁぁっ…あああぁぁっ……」
あと半分、を一気に突き挿れられる。奥の奥まで異物が突き込まれ満たされている。二本のディルドの持ち手だけが蕾の入り口を押し広げて並んでいた。
「ちゃんと、挿れられましたね」
「あぁっ……ぁぁっ…っう、動かさない、で…っ」
こんなにいっぱいで苦しいのに、動かされたらどうなってしまうかわからない。
「大丈夫ですよ。今日は、ここまでにしておきましょう」
隆文がそう頷いたことで、心からほっとして膝を抱えていた両手が緩む。閉じかけた足を、隆文の両手が抑える。
「ただ、苦しそうなこちらは最後までしておきましょう」
そう言った隆文が、いきなり大きく口を開けてとろとろと液を垂れ流していたペニスの先っぽを咥える。
「え…っ、ぁっ……っ」
舌でどろりと溢れ出ていた透明な液を舐めとられ、そのまま今度はずるずると裏筋を舐め下ろされる。
「ぁぁぁっっ…っ…」
後ろにはディルドを二本突っ込まれ、両足は隆文の手に押さえつけられているせいで、身動き一つとれない。
「あっぁぁっ…あぁぁぁっっっ」
隆文が上下に何度も舐めるたびに、どくどくとペニスがはち切れそうなほど膨らんでいく。
ぬるり、と上へ舐めあげた隆文が一度顔をあげたとき、隆文の口からだらだらと唾液が溢れているのが見える。
その唾液を拭うこともせず、隆文はそのまままた先っぽからペニスを咥えた。
「んあぁっっ…あぁぁっ」
大きく舌が回されて先っぽを刺激されると、腰が浮き立つ。もうあと少しも我慢していられない。
隆文が今度は咥えたまま、喉の奥へと突き込むように口全体で舐め下ろした。
「あぁああっぁっ…あぁぁあっっぁっあぁぁっ」
上下に唇で吸い上げるように動かされて、頭が快楽で埋め尽くされていく。
じゅるじゅる、と先走り汁と隆文の唾液が混ざりあう音に煽られる。
そして咥えられたペニスの先が隆文の喉の奥へ突き当てられた。
「………っっぁぁぁあぁああっッッ!」
飛び出た精液が隆文の口内に溢れかえって、ぼたぼたっと腹の上に落ちる。
心臓がどくどくと脈打ち、滝のような汗が目にかかる。顔をあげた隆文が軽く上を見上げて口に含んだものを、ごくんと飲み込んだ。
僕は自分で押入れから枕を取り出して胸に抱く。
「どうぞ、布団の上に横になっててください」
そう言い残して部屋から出て行く隆文の後ろ姿を見ながら、バスタオルの敷かれた布団の上にごろんと横になる。
このまま何も考えずに眠ってしまいたい。
もう全部、やめてしまいたい。
そう頭のなかに浮かんだ自分の思いに自分で怖くなって、手のひらでわざと強く腫れたお尻に触れる。痛みにきゅっと目をつむって、瞼の裏に秋彦の姿を思い浮かべる。
僕は秋彦のために生きるんだ。秋彦の役に立つ人間でいなきゃいけないんだ。
「憐さん。傷に触れたら痛いでしょう?」
手首を握られて、お尻から手を剥がされる。
隆文は僕の足元に置かれた黒い箱の横に湯気のたちのぼっている洗面器を置き、箱の中からローションのチューブを手に取った。
「待って。初めに指で慣らすのは僕がやるから…」
「いいえ。大丈夫です」
起き上がりかけた僕の肩をそっと戻して隆文が言う。
いいよ慣れないことしないで、と言いかけて、隆文と初めて会った日のことを思い出す。バイブを抜かれた後、慣れた手つきで後ろを弄られて……。
「楽な体勢でいいですよ」
僕が黙り込んだのを、始めていいという合図だと受け取った隆文がそう促す。僕は両手で枕を抱えたままうつ伏せになって膝を立てる。
「もう少しだけ、足を開いてもらえますか」
こんな状況でも相変わらず冷静な声。
これも全部、秋彦のためだから。
そう自分に言い聞かせて、大きく足を開く。パチン、とチューブの蓋をあける音がしたあと、とろっとしたローションのついた指が蕾に触れる。
隆文の指先がゆっくりと蕾の周りを撫でるように円をえがき、散々焦らされたあと、ずる、と指がはいってくる。
「………っ」
じわじわと挿入された指が内壁の一点を撫でるように押しては離れる。
お腹の下の方がきゅっと締まって、身体がじわじわと熱くなってくる。隆文の様子が気になって枕を抱えた腕の下から姿を盗み見た。
隆文は平然とした表情で、一度するりと指を抜くと再度大量のローションを三本の指の上にのせる。
二本の指が押しあてられ穴が広げられて、ぐるぐるとローションを塗りこむように指でかき回された。
「………ん…、」
指の束がずるずると奥へと挿し込まれて、我慢していた声が漏れる。隆文の表情が一瞬、ほっとしたように柔らかくなる。自分の意思とは関係なく奥の方で、きゅっ、と隆文の指を締め付けてしまう。
「…ぁ、……っ」
「憐さん…もう少し力を抜きましょうか」
話しかけてきた隆文と目が合いそうになって、慌てて枕に顔をうずめる。きちきちに締め付けている三本の指がゆっくりとだが強引に、内側を押し広げるように動く。
「………っ」
身体にじんわりと汗が滲んできているのがわかる。声を押し殺すのに精一杯で、息が苦しい。
「ん、ぁ…っ」
中を擦る指の動きに合わせて、突然内腿をゆっくりと撫でられる。こわばっていた身体からがくがくと力が抜けていく。肌に触れる、柔らかい指の感触。
その指でもっと別の場所も、触ってほしい……。
「だいぶ、緩んできましたね」
そう言うと同時に、ずるり、と指が引き抜かれて「…あ……っ」と、声が漏れる。
押し広げていたものがなくなって、蕾がヒクついているのが自分でも分かった。震える蕾に、わずかに濡れた温かい布が押し付けられて腰がびくっと跳ねる。
「…や、……」
「垂れたローションを拭いているだけですよ。腿が汚れたら気持ちが悪いでしょう」
蕾の周りをするりと拭われる。
薄い布ごしに隆文の指を感じて、それだけで声をあげてしまいそうになる。こんな程度でよがってるなんて、淫乱だと思われていないだろうか。
隆文の指が離れて、ほっと息をつく。
「憐さん。どれを使いますか?」
枕元で声がして、顔をあげると隆文が箱の中から、ディルドをつまんでみせる。
「どれでもいい……。一本なら、どれでも挿れられる」
「わかりました」
と、頷いた隆文は、黒くて硬そうなディルドを選びとった。
「先にこれを挿れてから、次にシリコンの比較的柔らかいのを挿れましょう」
僕は返事をせずに目をそらして、枕に片頬をのせる。
二本挿れるのは怖い、なんてもう言いだせない。
それに、これが出来るようにならないと秋彦に捨てられて……。
「憐さん、考え事をするのはやめましょうか」
蕾に、硬い玩具の先があてられて、ぐいっとそのまま勢いよく突っ込まれる。
「ひ、ぁ……っ」
硬いディルドが、指でどろどろに溶かされた内側をずるずると滑るように進む。一気に奥深くまで挿れられたかと思うと、ぐ、ぐっと小刻みにさらに奥へ奥へと突かれる。
「ん、…んっ」
「苦しくはないでしょう?」
ディルドの動きがやんで、隆文が決めつけるような口調で尋ねる。
「へい…き…っ」
「このまま指一本なら…ほら、すぐに入りますよ」
指先が滑るように侵入する。
「……ぁっ…」
強めに広げるように内側を押されて、腰が砕け落ちそうになる。
「痛くはないですか」
僕が小刻みに頷くと、隆文が「それなら」と続ける。
「もう一本、挿れてみましょう」
両腕で枕を強く握りしめ、なんとか力は抜こうと意識をむける。
つ、と蕾に指とは違う太いものがあたる。
「…っ…」
わずかに腰が前へと逃げた。
「ごめん…な、さい…っ」
咎められたわけでもないのに、反射的につぶやいてしまう。
きゅ、っと蕾が縮こまって、突っ込まれたままの硬いディルドをさらに締め付ける。
「ゆっくり挿れるので、大丈夫ですよ」
逃げた腰を引き戻されて、再度、押し当てられる。そのまま、く、っと先っぽが押し広げるように入ってきた。
「…ぁ、ぃ、…ぃやぁっ……!」
押し広げられていく恐怖に、汗が一気に冷たくなって、とっさに払い落とすように右手を後ろに回してしまう。
「憐さん……もしかして怖いのですか?」
隆文に右手首を掴まれる。
「ちが…っ、平気……っ」
掴まれた手を振りほどこうとしたが、隆文は手を離さず、そのまま僕の身体はぐるんと仰向けにひっくり返された。
「な、に…っ」
仰向けになって晒された汗の垂れた顔を真正面から隆文に見つめられて、頬がさらに熱くなった。
僕ほどではないけれど隆文もなぜか汗をかいていて、眉をきゅっとよせるのが見えた。
「少し、方法を変えましょう。憐さん、その枕離してください」
隆文は僕が左手で握り続けていた枕を取り上げて、僕の頭の下へ滑り込ませると、さらに枕の上にタオルを重ねて軽く僕の首をたたせる。
そのまま隆文は僕の両足を持って大きく開いて膝を曲げる。
「膝裏を両手で抱えられますか」
静かに尋ねられて従ってしまう。
「そのまま待っていてください」と、隆文は一度立ち上がると、机の上から大きめの置き鏡をもってくる。
「なんで、鏡……っ?」
「自分で見えていたら、想像しているより怖くないものですよ」
と言って隆文は僕の股の下にその鏡を置く。鏡には大きく開いた両太腿と、黒いディルドを咥え込んだ蕾が映り込んでいる。
「ぃや…っ!」
足を抱えていた手を離し、両足を閉じて鏡をつま先で押し倒す。畳にがしゃんと鏡が倒れる音がしたが、隆文はそちらには目をくれず僕の身体に覆いかぶさるように顔を寄せ、いきなり僕の額の汗を拭う。
「嫌なら…ここで、やめておきますか」
目の前にある隆文の両目が優しくゆるむ。胸の奥から何かが込み上げてきて、ぶわっと両目から涙が溢れ出す。
「やめない…っ、やめないっ……っ」
やめたい。こわい。もうやりたくない。思わず縋ってしまいそうになる言葉を飲み込む。
額の汗を拭っていた隆文の指が何故だかわずかに震えながら、僕の涙を拭う。
「続けて、いいんですね?もう、嫌だと言っても止めませんよ」
唾をのんで頷くと隆文が身体を引いて、僕の両足をまた大きく開く。僕が両目の涙を強く拭うと「開いておいてください」と、再度、膝裏を持たされた。
「もう少しだけ、頑張りましょう」
と、隆文が鏡を同じ場所にたてる。
「これは、苦しくはないですね?」
突っ込まれたままの黒いディルドを、隆文が握ってわずかに揺らす。
「…っ、……」
「憐さん。ちゃんと、鏡を見てください」
「ぁぁ…っ…」
ずるずる、と数センチ、黒いディルドが引き抜かれて、そこに隆文がローションを垂らす。どろどろになったディルドが、またゆっくりと蕾の中に押し挿れられていく。
「辛いのも全部忘れられるくらい、気持ちよくなりましょうね」
深く押し込まれたあと、今度は勢いよく引っ張られる。
「ん…、っ…ぁ…っ」
少しずつスピードを上げながら、抜き挿しされて内側がぐちゃぐちゃになっていく。ディルドを咥えた蕾からどろどろと染み出したローションを隆文が手ぬぐいで拭いつつ、ディルドを動かす手は止めない。
「ぁ…っ、ぁぁっ…っ」
「まだ締め付けてはダメですよ」
抜き挿しを繰り返していたディルドを今度はかき回すように動かされる。
「や、ひぃぁ…っ、あっ、ぁっ……っ」
段々と大きな円を描くように回されて、蕾が大きく押し広げられているのが見える。
「あっぁ…っ、やだ…回すの…っ、やだ…っひっぁぁっ…」
膨らんだペニスから、とろとろと透明な液が溢れ出す。ぐるぐると回されていたディルドが、ぐっと突っ込まれて隆文がやっと手を止める。
「ほら、ずいぶん緩くなっているでしょう」
そう言って、隆文が左手にディルドを持ち替え、右手の人差し指と中指を蕾に突っ込んで、入り口を横に大きく引っ張るように開く。
「ぁぁっっ……!」
「奥まで見えてしまいそうですね」
「やだっ、やだぁっ……」
「大丈夫ですよ。すぐにここにもう一本挿れて、いっぱいになります」
隆文は右手を離し、ゆるゆると左手でわずかに黒いディルドを動かしながら、肌色のディルドを手に取る。
そのディルドを一度、洗面器にいれてタオルで水を拭ってから、
「見てください。先は少し細いでしょう?」
と先っぽを蕾に押し当てる。
するとそのまま、つ、と数センチ簡単に入りこむ。
「……ん…っ」
肌色のディルドがゆっくりと突き込まれていくのが見える。ぎちぎちの入り口を押し広げて、徐々に太くなっていくディルドを自分の穴がずぶずぶと飲み込んでいく。
「ぁ…っ、ぁっ…ああっ…」
「ほら、もう半分入りましたよ」
押し広げられるわずかな痛みと、強い圧迫感。
「く…苦しぃっぃっ……っ」
「ここまで挿れられれば、大丈夫です。最後まで挿れてみましょう」
「あぁぁっ…あああぁぁっ……」
あと半分、を一気に突き挿れられる。奥の奥まで異物が突き込まれ満たされている。二本のディルドの持ち手だけが蕾の入り口を押し広げて並んでいた。
「ちゃんと、挿れられましたね」
「あぁっ……ぁぁっ…っう、動かさない、で…っ」
こんなにいっぱいで苦しいのに、動かされたらどうなってしまうかわからない。
「大丈夫ですよ。今日は、ここまでにしておきましょう」
隆文がそう頷いたことで、心からほっとして膝を抱えていた両手が緩む。閉じかけた足を、隆文の両手が抑える。
「ただ、苦しそうなこちらは最後までしておきましょう」
そう言った隆文が、いきなり大きく口を開けてとろとろと液を垂れ流していたペニスの先っぽを咥える。
「え…っ、ぁっ……っ」
舌でどろりと溢れ出ていた透明な液を舐めとられ、そのまま今度はずるずると裏筋を舐め下ろされる。
「ぁぁぁっっ…っ…」
後ろにはディルドを二本突っ込まれ、両足は隆文の手に押さえつけられているせいで、身動き一つとれない。
「あっぁぁっ…あぁぁぁっっっ」
隆文が上下に何度も舐めるたびに、どくどくとペニスがはち切れそうなほど膨らんでいく。
ぬるり、と上へ舐めあげた隆文が一度顔をあげたとき、隆文の口からだらだらと唾液が溢れているのが見える。
その唾液を拭うこともせず、隆文はそのまままた先っぽからペニスを咥えた。
「んあぁっっ…あぁぁっ」
大きく舌が回されて先っぽを刺激されると、腰が浮き立つ。もうあと少しも我慢していられない。
隆文が今度は咥えたまま、喉の奥へと突き込むように口全体で舐め下ろした。
「あぁああっぁっ…あぁぁあっっぁっあぁぁっ」
上下に唇で吸い上げるように動かされて、頭が快楽で埋め尽くされていく。
じゅるじゅる、と先走り汁と隆文の唾液が混ざりあう音に煽られる。
そして咥えられたペニスの先が隆文の喉の奥へ突き当てられた。
「………っっぁぁぁあぁああっッッ!」
飛び出た精液が隆文の口内に溢れかえって、ぼたぼたっと腹の上に落ちる。
心臓がどくどくと脈打ち、滝のような汗が目にかかる。顔をあげた隆文が軽く上を見上げて口に含んだものを、ごくんと飲み込んだ。
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