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粗相には鞭
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「千尋、起きろ」
「………んっ」
私は妙に柔らかい布団の上で目を覚ました。見慣れない天井に一瞬どこにいるのかわからなくなったとき、俊光様が私を覗きこむ。
「そろそろ起きて準備しろ。今日はまだ火曜日だ」
「と、しみつ、さま…っ」
私は慌てて起き上がり、それから昨日のことを思い出す。あれから、ぐったりと果てた私は、俊光様に連れられるまま車に乗り…そのまま眠ってしまったのだ。
「あ、あの…ここは」
「私のマンションに決まっているだろう」
俊光様は皺ひとつない茶色のスーツに、ネクタイを結びながら答える。私の寝ていたのは大きなキングサイズのベッドで、ベッドの側の小机には豪華な装飾のランプと、その下には洋書が2冊積まれていた。ふかふかの絨毯で覆われた床には分厚いカーテンの開け放たれた大きな窓から、太陽の光が差し込んでいる。
「千尋」
「は、はいっ」
自然に名前を呼ばれて、びくりと姿勢を正すと、ぼすんと顔にバスタオルを投げつけられる。
「さっさとシャワーを浴びて、会社に行く準備をしろ。また遅刻して、浣腸されたいのか」
「準備、しますっ!」
私は投げつけられたタオルを持って、指図されるまま浴室へ走る。そしてコータのアパートの部屋ほどの広さの落ち着かない全面大理石の浴室で、シャワーを浴びた。
浴室には、すでに私のものと思われるスーツ一式が用意されていて、私はそれを着込んだ。スーツは、私のサイズにぴったりだった。
私が戻ると俊光様はリビングで、豪華な朝食の並んだ机の端でノートパソコンを開いていた。
「シャワー、ありがとうございま…」
「いいから座って、それを10分で食べろ」
見れば、机の上にはたしかに私の分まで二人分の朝食が用意されていた。俊光様はパソコンの画面を見つめて忙しそうにキーボードを打っているので、私はそれ以上声をかけるのも憚れ、大人しく席について食べ始めることにした。
ご飯に味噌汁、卵焼きにと、どれもどこかお店で食べるような、くせのない整った味がした。途中、俊光様は電話が鳴ってリビングを出て行って、帰ってきたときに「もうそろそろ行くぞ」と、言った。
俊光様はノートパソコンを椅子の上に置いてあった鞄にしまう。私はコップのお水を飲み干してから、立ち上がった。机の向かい側の俊光様の分の朝食は全く箸がつけられないままだった。
「俊光様は、なにも食べなくて大丈夫ですか」
廊下で俊光様を追いかけながら尋ねると、俊光様は片手をふる。
「私はいつも時間が無いから朝は食べないんだが。今日はお前の分を用意しろと、佐久間に頼んだら一人分だけ用意しても、お前は遠慮して食べないだろうと…」
「さ、佐久間さん、がですか…っ?」
そのときこの間、廊下で二人きりになったときに言われたことを突然に思い出す。「また厳しいお仕置きをされないといいですね」という佐久間さん言葉の意味は、私と俊光様の間で行われていることを少なからず知っている、ということだった。
「あの、佐久間さんは、どこまで知ってるんです、か」
「佐久間には守秘義務がある。心配する必要はない」
俊光様は靴をはきながら、事もなげに言ってのける。
「そういう問題ではなく…っ」
「そうだな、お前のスーツを用意したのは、あいつだ。それから…仕置きの道具を準備させたのも佐久間だったな」
そう言って俊光様が玄関扉を開けると、外では灰色のスーツを着た佐久間さんが立っていた。
「おはようございます、俊光様。おはようございます、渡辺さん」
それから俊光様は会社で皆がいるときは私のことを「渡辺」と呼び、二人きりになると「千尋」と呼んだ。
私はもう俊光様の前で過度に緊張することもなくなり、仕事の失敗は減ってきた。ほんのちょっとしたミスで終業後の社長室で尻を叩かれることはあっても、いつも軽く済み、むしろ今日は泊まって行けと言われた日のベッドの上での方がよっぽどハードだった。
今日もまた終業後すぐに社長室へむかい、そのまま一緒に帰る約束を結ばされていた。業務を終えてパソコンをシャットダウンして立ち上がったとき「渡辺くん、渡辺くん」と、声をかけられる。
「後藤さん」
後藤さんは秘書室に残っていた他の秘書たちも呼びよせた。
「この間の三連休に家族で長野に行ってきたお土産。食べて帰ってください」
皆口々にお礼を述べて一個ずつ白い包装紙に包まれたお饅頭に手を伸ばす。
「後藤さん、娘さんが3人でしたっけ」
秘書の1人がそう尋ねて、後藤さんの娘さんの話になる。たしかに後藤さんはいかにも家庭的なお父さんといった雰囲気をもっている。
「…それで娘に妻もみんなが飼いたいというから、仕方なく子猫を飼うことになってね……。そういえば、渡辺くんは猫を飼っていたよね?」
いきなりそう話しを振られて、固まる。猫は飼ったことがない。いえ、と否定しかけて、そういえば昔、鈴川さんと付き合っていたころ、何かで酷く怒らせてしまい顔を鞭で打たれた痕を、猫の引っかき傷だと言い訳したような気がしてくる。
後藤さんの記憶力のよさに慄きながら、「あぁ。まぁ…、そうですね…」と、曖昧な返事をする。あのときの傷は、猫の引っかき傷なんてものじゃ済んでなかった気もするのだが。
俊光様は、見えるような場所に痕をつけることはない。そう思ったとき今日は金曜日で、一緒に帰ってまた泊まるという約束をさせられていたことを思い出す。
「私、そろそろ…」
慌てて飛び出した私は廊下に出た途端、うっかり鞄を持ってくるのを忘れていることに気がつく。急停止し振り返ったとき、秘書室から後藤さんが私の鞄を片手に駆け出してきて、ほっとしたように微笑む。
「渡辺くん。よかった」
「鞄……す、すみません、後藤さん」
私が赤くなりながら鞄を受け取ると、後藤さんがふと私の顔に目を止めて、それからすぐにズボンのポケットからハンカチを取り出した。そのハンカチで、すっと自然に口元を拭われる。
「秘書さんが、お饅頭の粉つけたままエレベーターに乗ったりしたら、笑われちゃうよ」
「すみません…っ」
私は余計に赤くなって縮こまる。後藤さんは「また月曜日にね」と、穏やかに笑って秘書室に戻っていった。私は大きく息を吐き出して、そして振り返ったとき、廊下の先のエレベーター前に俊光様の姿を見つけた。
「俊光、さまっ…」
私は俊光様の元へ駆け足で走りよる。いつから、ここに…。
「遅くなってしまい…申し訳ありません…っ。もう、今すぐ帰れる…」
「悪いが、私の方に仕事が入ってしまった。しばらく、社長室で待ってもらうことになる」
後藤さんとお喋りをしていたとこを見られていて怒られてしまうのでは、という私の予想は外れて、俊光様はいつもと同じ低い声で告げた。
「待つのは全然、問題ありません」
私は俊光様と一緒に社長室に戻り、俊光様に許可をもらって本棚から本を選んで読むことにした。
俊光様はデスクの上に書類を広げて、さらさらとボールペンを動かしていた。途中、佐久間さんが入ってきて、俊光様とそれから私にもお茶を運んできた。
「ありがとう、ございます」
佐久間さんは、私の存在をあくまで冷静に受け止めているようで、私がお礼を言うと、小さく頷いた。
大きな白いマグカップになみなみに注がれた、あったかいお茶は、色味では普通のほうじ茶に見えたが、今まで飲んだことのない味をしていた。クセのある香りに、ほんのりとした甘みがあった。
俊光様はそれからもしばらく忙しそうに仕事を続けていた。私はマグカップいっぱいのお茶を飲み干し、本も中盤に差し掛かったときトイレに行きたくなった。
「あの俊光様…」
と、私が立ち上がってトイレを借りたいと言いだそうとしたとき同時に俊光様も立ち上がり、そして「そろそろ帰るか」と、言った。
「本当ですか。それじゃあ」
本当は帰る前にトイレに行きたかったのだが、俊光様のマンションは会社から車で10分とかからない。ここは一旦我慢することにして、荷物をまとめた俊光様のあとにつづいた。
会社の駐車場には、いつものように佐久間さんが待機していた。佐久間さんは、24時間いつでも俊光様に対応できるようにと、俊光様の住むマンションの隣の部屋に住んでいるらしい。
俊光様と2人で後部座席に乗りこんで、車が走りだしたとき、私は10分で着くとはいえやはり、トイレに行っておけばよかったと後悔した。
俊光様の車は、外の音は全く聞こえず振動の少ない静かな車だったが、その微かな揺れでも股が刺激されて緩みそうになる。私は、きゅっと太ももを閉じる。
俊光様は車の中でも膝の上でノートパソコンを開いて仕事を続けているようで、私の様子には気がついていないようだった。
私は目を閉じ、背もたれに寄りかかって何とか気を紛らわせようとした。深く息をついていると、ほんの少し楽になってきたような気がしたが、それも一時の気のせいでまた激しい尿意が襲ってくる。私は目を開けなんとなく、窓の外を眺めて、そして何かがおかしい、と気がつく。
「あ、の…どこへ向かっているんですか」
私の質問に俊光様がノートパソコンをぱたんと閉じて鞄にしまいながら「私のマンションに決まっているだろう」と、答えた。
「でも…っ」
いつも見える街並みと違う。私は、いつもとなんら変わらない表情の俊光様と窓の外を交互に見て混乱する。
「佐久間。お前は今どこに向かって走ってるか、千尋に教えてやれ」
「俊光様のマンションで違いありません、渡辺さん」
「そんな…っ」
どう考えてもおかしい。それに、もう会社を出てからずいぶん経ってる。
「まったく、何を焦っているんだ?」
俊光様がいつもより優しい声でそう言って、私の肩を引き寄せる。私はほんの一瞬、股が緩んで心臓が高鳴る。
「あ、せっている…わけ…では……」
駄目だ。このままではここで漏らしてしまう…っ。身体に震えがはしる。
「としみつ、さま……」
私は背をのばしてなんとか俊光様の耳元へ口を寄せる。
「と、トイレに、行きたいので…ど、どこかお店で停めていただけませんか…っ」
顔がどくどくと脈打つ。俊光様は私をかえりみると、それからなぜか考え込むような顔になる。
「私のマンションまで我慢しろ。すぐに着く」
「すぐに…って…ど、どのくらぃ…っ」
俊光様が私の首を撫で、私はぎゅっと痛いくらいに股をすり合わせる。
「佐久間、もういいぞ。ここからまっすぐ帰れば、マンションまであと何分くらいで着く?」
「そうですね。いい加減に走っていたので、正確な時間はわかりませんが20分くらいじゃないでしょうか」
「20分かかるそうだ」
そんな会話を聞かせられて、じわっと涙が溢れでる。俊光様は本当は最初から、私がトイレに行きたがっていると分かっていたのだ。
「そ、そんな…っ…」
「も、もしかして…っ、さっき飲んだあのお茶には、なにか…っ?」
「千尋、汗をかいているじゃないか。ジャケットを脱いでみろ」
俊光様は私の質問には答えずに、私の額の汗をぬぐう。もう1ミリも身体を動かしたくないのに、そんなことを命じられて私は顔を伏せて小さく首を振った。すると俊光様が私の顎を掴んで、ぐっと持ち上げられる。
「私の言うことに逆らうようなら、このあとマンションに帰ってから、鞭で仕置きにするぞ」
「そ、んな…っ……」
「私は一度言ったことは守る。腫れた尻で週末を過ごしたいのなら、それでもいいが」
私はゆっくりとジャケットのボタンを外し、足を動かさないようにゆっくりと腕を抜く。ジャケットが、背中の後ろに落ちる。
「次は靴と靴下を脱げ」
足をすり合わせて靴から足を引っ張りぬく。靴下は足だけではどうにもならず、私は屈んで靴下を引っ張る。裸足になれたところまでは良かったが、今度はその体勢から元へ戻ったら、股が刺激されてしまう気がして中々起き上がれない。
「いつまで屈んでいる。つぎはワイシャツだ。そうだ、言い忘れていたがトイレに間に合わず漏らすようなことがあれば、それでも鞭だからな」
「む、鞭は……ぃや……っ………っ」
「そうか。それならば私の言うことを聞くんだ。終業後私を散々待たせて、後藤と楽しそうにお喋りしていたのだから、これくらいは当然だよな」
俊光様がすぅっと私の首のうしろを指先でなぞる。
「ぁんっ………っ」
思わず背中をそらせて、なんとか溢れ出しそうになったものを抑えこむ。脇を締めたまま、ゆっくりとワイシャツのボタンを外そうとするが、手が震えて中々外せない。
「そんなではいつまで経っても脱げないだろう。私がやる」
しびれを切らした俊光様が私の手をはね退け、ワイシャツを掴む。俊光様の指先が執拗に肌に触れながら、ワイシャツのボタンが全て外される。
「次はズボンを取れ」
「そ……れ、は………」
この締め付けた腿を緩めることすらもう不可能なのに、それ以上に今は1メートルと離れていない位置に佐久間さんが居てそんなことできるわけがない。車はスピードが出ているが、いつ信号待ちで止まって振り返られてもおかしくない。
「どうした。聞こえなかったのか?」
私は一生懸命、首を振る。
「しかたないな」
俊光様がそう言って、私のズボンのチャックに手を伸ばす。私の両手の抵抗は虚しく、チャックがおろされそれから、ベルトのバックルも弄られる。
「っ………っ……」
私は身体をそらせてなんとか足に力を集中させながら、佐久間さんの後頭部を見つめる。俊光様はベルトをわざと大きく揺らしながら引き抜いた。私は、思わず左手で股を抑え込む。
「む、むり…です…っ……もぅっ」
俊光様は私の声など聞こえないかのようにズボンのウエスト部分を持って、ズボンを巻きながら下ろしていく。
「腰を浮かせろ」
「だ、だ……め……っ」
俊光様が私の腰を掴んで持ち上げる。私は一瞬立ち上がって、そのまま俊光様の方へ倒れこんだ。左手は股を掴んだまま、右手は俊光様のジャケットの後ろ襟を握る。ズボンが足首まで、くるくると下ろされたとき、車が停まって佐久間が振り返らずに「マンションに到着しました、俊光様」と、言った。
「着いたようだぞ、千尋」
「も、もう……動けな……っ」
「まったく」
俊光様は私をそのまま抱きかかえて、佐久間さんの開けてくれたドアから車の外へ出た。佐久間さんがどこから取り出したのか長いコートで私の身体を覆い隠すように掛けたその振動だけで、漏れ出てしまいそうになる。
全くロマンチックでないお姫様だっこで、いつもより待ち時間が半端なく長く感じるエレベーターを待ち、最上階までまた長い時間をすごす。先立って歩いていた佐久間さんが開けてくれた扉から玄関に入り「それでは、失礼します」という声が後ろから聞こえてくる。そして扉の閉まる音がして、
「ここからは、歩いていけ」
と、下ろされた瞬間、足の裏が地面についたその衝動で、股がじわっと漏れでてしまった。
「ぁっ………っ……」
じわりと漏れ出し始めたものはもう一度抑えこむことなど出来なかった。私は温かい液体が下着を勢いよく濡らし、足を滑り落ちていくのを、涙をこぼしながら見て立ちつくしていた。
私はそのまま浴室に連れて行かれた。俊光様に「身体を洗ったら寝室に来い」とだけ言われて、私は惨めな気持ちのままシャワーを浴びた。
いつも着替えの置いてある棚に、当たり前だが服はなく身体にタオルを巻きつけたまま寝室に向かう。
「そこに仰向けになれ」
俊光様は右手に持った細い木製の鞭で、ベッドを指す。やはり鞭のお仕置きはされるのか…。私は泣くのをこらえながらベッドによじ上って、横になる。
「両足をあげて、膝の後ろで足を組め」
言われた通りの体勢をとると、足元に立つ俊光様に私は全てを晒す格好になった。恥ずかしさにできる限り足をくっつけていると、鞭の先が腿の間に差し入れられる。
「前も見えるよう、足は開いていろ」
「は…ぃ……」
股の間から尻までが風に触れて、落ち着かない。俊光様が尻の下の方に鞭の先をあて、鳥肌がたった。
私は今にも振り下ろされる、と身構えたが、俊光様は鞭はそのままに「千尋」と、名前を呼ぶ。
「はぃ…」
「なぜ、鞭で仕置きされることになったか、自分でちゃんと言ってみろ」
元はと言えば、後藤さんと話していたのを見られたのが原因だ。けれど、たぶん今、俊光様が私に言わせようとしているのは別の言葉だ。
「が…我慢、できなかった、からです……」
パシ、ッと鞭が弾んで尻を打つ。
「ぁっ………っ」
「その答えでは不十分だ。どこで、なにを、我慢できなかったのか、ちゃんと全部説明しろ」
私はきゅうっと胸が締め付けられるような感覚を覚え、それからゆっくり息を吐き出す。
「私が……っ…トイレまで…お、おしっこを、我慢できずに…玄関で、漏らしてしまったから、です」
「そういうことだ」
羞恥の涙の溢れた私の尻に、パチィン、パチィン、と鞭が弾ける。打ちつけられる細い鞭は肌に絡みついて、ぴりぴりとした痛みを残す。
「ぁあんっ……あぁあっ…ひぃっ…っ」
「粗相をするようなココにも、鞭が必要だよな?」
鞭が尻から離れて、抱え上げられた両足の間のペニスに当てがわれる。私は思わず足を閉じてしまい、その瞬間、バシィッっと先ほどよりもっと強い力で尻を叩かれる。
「ごめんなさぃっっっ」
たぶん今ので、尻には赤い線が一本浮かんだだろう。私はすぐに足を開くと、俊光様はまた鞭の先端をペニスにあてる。
「優しいのを4回と、それから厳しいのを1回だ。目を離さずに、ちゃんと見ていろ」
私は目をつむりたいのを必死で我慢して、顎をひいて抱えた両足の間を見つめる。当てがわれた鞭は、ほんの5センチほど離れてパシィ、と振り下ろされる。
「んんっ……っ!!!」
優しい、といってもペニスを細い鞭で叩かれる痛みは、全身を一気に駆け巡る。次を身構える暇なくパシ、パシィ、パシッ、と3回弾むように叩かれて、声が詰まる。
「うぅっ………っ……」
涙で曇った視界で、今度は鞭が20センチほど離されたのが見えた。ヒュッと、風をきる音も聞こえて、パシィイッと振り下ろされる。
「ひぃっっっっ……ッッッ」
鋭い痛みが駆け巡り、私はベッドの上で悶え気がついたら、叩かれたペニスを庇うようにうつ伏せになっていた。慌てて俊光様を振り返ると、右手に持っていた鞭を放りなげ、そのままベッドに膝をつき私に顔を近づけて「もうお仕置きは、終わりだ」と、唇を重ねてきた。
「………んっ」
私は妙に柔らかい布団の上で目を覚ました。見慣れない天井に一瞬どこにいるのかわからなくなったとき、俊光様が私を覗きこむ。
「そろそろ起きて準備しろ。今日はまだ火曜日だ」
「と、しみつ、さま…っ」
私は慌てて起き上がり、それから昨日のことを思い出す。あれから、ぐったりと果てた私は、俊光様に連れられるまま車に乗り…そのまま眠ってしまったのだ。
「あ、あの…ここは」
「私のマンションに決まっているだろう」
俊光様は皺ひとつない茶色のスーツに、ネクタイを結びながら答える。私の寝ていたのは大きなキングサイズのベッドで、ベッドの側の小机には豪華な装飾のランプと、その下には洋書が2冊積まれていた。ふかふかの絨毯で覆われた床には分厚いカーテンの開け放たれた大きな窓から、太陽の光が差し込んでいる。
「千尋」
「は、はいっ」
自然に名前を呼ばれて、びくりと姿勢を正すと、ぼすんと顔にバスタオルを投げつけられる。
「さっさとシャワーを浴びて、会社に行く準備をしろ。また遅刻して、浣腸されたいのか」
「準備、しますっ!」
私は投げつけられたタオルを持って、指図されるまま浴室へ走る。そしてコータのアパートの部屋ほどの広さの落ち着かない全面大理石の浴室で、シャワーを浴びた。
浴室には、すでに私のものと思われるスーツ一式が用意されていて、私はそれを着込んだ。スーツは、私のサイズにぴったりだった。
私が戻ると俊光様はリビングで、豪華な朝食の並んだ机の端でノートパソコンを開いていた。
「シャワー、ありがとうございま…」
「いいから座って、それを10分で食べろ」
見れば、机の上にはたしかに私の分まで二人分の朝食が用意されていた。俊光様はパソコンの画面を見つめて忙しそうにキーボードを打っているので、私はそれ以上声をかけるのも憚れ、大人しく席について食べ始めることにした。
ご飯に味噌汁、卵焼きにと、どれもどこかお店で食べるような、くせのない整った味がした。途中、俊光様は電話が鳴ってリビングを出て行って、帰ってきたときに「もうそろそろ行くぞ」と、言った。
俊光様はノートパソコンを椅子の上に置いてあった鞄にしまう。私はコップのお水を飲み干してから、立ち上がった。机の向かい側の俊光様の分の朝食は全く箸がつけられないままだった。
「俊光様は、なにも食べなくて大丈夫ですか」
廊下で俊光様を追いかけながら尋ねると、俊光様は片手をふる。
「私はいつも時間が無いから朝は食べないんだが。今日はお前の分を用意しろと、佐久間に頼んだら一人分だけ用意しても、お前は遠慮して食べないだろうと…」
「さ、佐久間さん、がですか…っ?」
そのときこの間、廊下で二人きりになったときに言われたことを突然に思い出す。「また厳しいお仕置きをされないといいですね」という佐久間さん言葉の意味は、私と俊光様の間で行われていることを少なからず知っている、ということだった。
「あの、佐久間さんは、どこまで知ってるんです、か」
「佐久間には守秘義務がある。心配する必要はない」
俊光様は靴をはきながら、事もなげに言ってのける。
「そういう問題ではなく…っ」
「そうだな、お前のスーツを用意したのは、あいつだ。それから…仕置きの道具を準備させたのも佐久間だったな」
そう言って俊光様が玄関扉を開けると、外では灰色のスーツを着た佐久間さんが立っていた。
「おはようございます、俊光様。おはようございます、渡辺さん」
それから俊光様は会社で皆がいるときは私のことを「渡辺」と呼び、二人きりになると「千尋」と呼んだ。
私はもう俊光様の前で過度に緊張することもなくなり、仕事の失敗は減ってきた。ほんのちょっとしたミスで終業後の社長室で尻を叩かれることはあっても、いつも軽く済み、むしろ今日は泊まって行けと言われた日のベッドの上での方がよっぽどハードだった。
今日もまた終業後すぐに社長室へむかい、そのまま一緒に帰る約束を結ばされていた。業務を終えてパソコンをシャットダウンして立ち上がったとき「渡辺くん、渡辺くん」と、声をかけられる。
「後藤さん」
後藤さんは秘書室に残っていた他の秘書たちも呼びよせた。
「この間の三連休に家族で長野に行ってきたお土産。食べて帰ってください」
皆口々にお礼を述べて一個ずつ白い包装紙に包まれたお饅頭に手を伸ばす。
「後藤さん、娘さんが3人でしたっけ」
秘書の1人がそう尋ねて、後藤さんの娘さんの話になる。たしかに後藤さんはいかにも家庭的なお父さんといった雰囲気をもっている。
「…それで娘に妻もみんなが飼いたいというから、仕方なく子猫を飼うことになってね……。そういえば、渡辺くんは猫を飼っていたよね?」
いきなりそう話しを振られて、固まる。猫は飼ったことがない。いえ、と否定しかけて、そういえば昔、鈴川さんと付き合っていたころ、何かで酷く怒らせてしまい顔を鞭で打たれた痕を、猫の引っかき傷だと言い訳したような気がしてくる。
後藤さんの記憶力のよさに慄きながら、「あぁ。まぁ…、そうですね…」と、曖昧な返事をする。あのときの傷は、猫の引っかき傷なんてものじゃ済んでなかった気もするのだが。
俊光様は、見えるような場所に痕をつけることはない。そう思ったとき今日は金曜日で、一緒に帰ってまた泊まるという約束をさせられていたことを思い出す。
「私、そろそろ…」
慌てて飛び出した私は廊下に出た途端、うっかり鞄を持ってくるのを忘れていることに気がつく。急停止し振り返ったとき、秘書室から後藤さんが私の鞄を片手に駆け出してきて、ほっとしたように微笑む。
「渡辺くん。よかった」
「鞄……す、すみません、後藤さん」
私が赤くなりながら鞄を受け取ると、後藤さんがふと私の顔に目を止めて、それからすぐにズボンのポケットからハンカチを取り出した。そのハンカチで、すっと自然に口元を拭われる。
「秘書さんが、お饅頭の粉つけたままエレベーターに乗ったりしたら、笑われちゃうよ」
「すみません…っ」
私は余計に赤くなって縮こまる。後藤さんは「また月曜日にね」と、穏やかに笑って秘書室に戻っていった。私は大きく息を吐き出して、そして振り返ったとき、廊下の先のエレベーター前に俊光様の姿を見つけた。
「俊光、さまっ…」
私は俊光様の元へ駆け足で走りよる。いつから、ここに…。
「遅くなってしまい…申し訳ありません…っ。もう、今すぐ帰れる…」
「悪いが、私の方に仕事が入ってしまった。しばらく、社長室で待ってもらうことになる」
後藤さんとお喋りをしていたとこを見られていて怒られてしまうのでは、という私の予想は外れて、俊光様はいつもと同じ低い声で告げた。
「待つのは全然、問題ありません」
私は俊光様と一緒に社長室に戻り、俊光様に許可をもらって本棚から本を選んで読むことにした。
俊光様はデスクの上に書類を広げて、さらさらとボールペンを動かしていた。途中、佐久間さんが入ってきて、俊光様とそれから私にもお茶を運んできた。
「ありがとう、ございます」
佐久間さんは、私の存在をあくまで冷静に受け止めているようで、私がお礼を言うと、小さく頷いた。
大きな白いマグカップになみなみに注がれた、あったかいお茶は、色味では普通のほうじ茶に見えたが、今まで飲んだことのない味をしていた。クセのある香りに、ほんのりとした甘みがあった。
俊光様はそれからもしばらく忙しそうに仕事を続けていた。私はマグカップいっぱいのお茶を飲み干し、本も中盤に差し掛かったときトイレに行きたくなった。
「あの俊光様…」
と、私が立ち上がってトイレを借りたいと言いだそうとしたとき同時に俊光様も立ち上がり、そして「そろそろ帰るか」と、言った。
「本当ですか。それじゃあ」
本当は帰る前にトイレに行きたかったのだが、俊光様のマンションは会社から車で10分とかからない。ここは一旦我慢することにして、荷物をまとめた俊光様のあとにつづいた。
会社の駐車場には、いつものように佐久間さんが待機していた。佐久間さんは、24時間いつでも俊光様に対応できるようにと、俊光様の住むマンションの隣の部屋に住んでいるらしい。
俊光様と2人で後部座席に乗りこんで、車が走りだしたとき、私は10分で着くとはいえやはり、トイレに行っておけばよかったと後悔した。
俊光様の車は、外の音は全く聞こえず振動の少ない静かな車だったが、その微かな揺れでも股が刺激されて緩みそうになる。私は、きゅっと太ももを閉じる。
俊光様は車の中でも膝の上でノートパソコンを開いて仕事を続けているようで、私の様子には気がついていないようだった。
私は目を閉じ、背もたれに寄りかかって何とか気を紛らわせようとした。深く息をついていると、ほんの少し楽になってきたような気がしたが、それも一時の気のせいでまた激しい尿意が襲ってくる。私は目を開けなんとなく、窓の外を眺めて、そして何かがおかしい、と気がつく。
「あ、の…どこへ向かっているんですか」
私の質問に俊光様がノートパソコンをぱたんと閉じて鞄にしまいながら「私のマンションに決まっているだろう」と、答えた。
「でも…っ」
いつも見える街並みと違う。私は、いつもとなんら変わらない表情の俊光様と窓の外を交互に見て混乱する。
「佐久間。お前は今どこに向かって走ってるか、千尋に教えてやれ」
「俊光様のマンションで違いありません、渡辺さん」
「そんな…っ」
どう考えてもおかしい。それに、もう会社を出てからずいぶん経ってる。
「まったく、何を焦っているんだ?」
俊光様がいつもより優しい声でそう言って、私の肩を引き寄せる。私はほんの一瞬、股が緩んで心臓が高鳴る。
「あ、せっている…わけ…では……」
駄目だ。このままではここで漏らしてしまう…っ。身体に震えがはしる。
「としみつ、さま……」
私は背をのばしてなんとか俊光様の耳元へ口を寄せる。
「と、トイレに、行きたいので…ど、どこかお店で停めていただけませんか…っ」
顔がどくどくと脈打つ。俊光様は私をかえりみると、それからなぜか考え込むような顔になる。
「私のマンションまで我慢しろ。すぐに着く」
「すぐに…って…ど、どのくらぃ…っ」
俊光様が私の首を撫で、私はぎゅっと痛いくらいに股をすり合わせる。
「佐久間、もういいぞ。ここからまっすぐ帰れば、マンションまであと何分くらいで着く?」
「そうですね。いい加減に走っていたので、正確な時間はわかりませんが20分くらいじゃないでしょうか」
「20分かかるそうだ」
そんな会話を聞かせられて、じわっと涙が溢れでる。俊光様は本当は最初から、私がトイレに行きたがっていると分かっていたのだ。
「そ、そんな…っ…」
「も、もしかして…っ、さっき飲んだあのお茶には、なにか…っ?」
「千尋、汗をかいているじゃないか。ジャケットを脱いでみろ」
俊光様は私の質問には答えずに、私の額の汗をぬぐう。もう1ミリも身体を動かしたくないのに、そんなことを命じられて私は顔を伏せて小さく首を振った。すると俊光様が私の顎を掴んで、ぐっと持ち上げられる。
「私の言うことに逆らうようなら、このあとマンションに帰ってから、鞭で仕置きにするぞ」
「そ、んな…っ……」
「私は一度言ったことは守る。腫れた尻で週末を過ごしたいのなら、それでもいいが」
私はゆっくりとジャケットのボタンを外し、足を動かさないようにゆっくりと腕を抜く。ジャケットが、背中の後ろに落ちる。
「次は靴と靴下を脱げ」
足をすり合わせて靴から足を引っ張りぬく。靴下は足だけではどうにもならず、私は屈んで靴下を引っ張る。裸足になれたところまでは良かったが、今度はその体勢から元へ戻ったら、股が刺激されてしまう気がして中々起き上がれない。
「いつまで屈んでいる。つぎはワイシャツだ。そうだ、言い忘れていたがトイレに間に合わず漏らすようなことがあれば、それでも鞭だからな」
「む、鞭は……ぃや……っ………っ」
「そうか。それならば私の言うことを聞くんだ。終業後私を散々待たせて、後藤と楽しそうにお喋りしていたのだから、これくらいは当然だよな」
俊光様がすぅっと私の首のうしろを指先でなぞる。
「ぁんっ………っ」
思わず背中をそらせて、なんとか溢れ出しそうになったものを抑えこむ。脇を締めたまま、ゆっくりとワイシャツのボタンを外そうとするが、手が震えて中々外せない。
「そんなではいつまで経っても脱げないだろう。私がやる」
しびれを切らした俊光様が私の手をはね退け、ワイシャツを掴む。俊光様の指先が執拗に肌に触れながら、ワイシャツのボタンが全て外される。
「次はズボンを取れ」
「そ……れ、は………」
この締め付けた腿を緩めることすらもう不可能なのに、それ以上に今は1メートルと離れていない位置に佐久間さんが居てそんなことできるわけがない。車はスピードが出ているが、いつ信号待ちで止まって振り返られてもおかしくない。
「どうした。聞こえなかったのか?」
私は一生懸命、首を振る。
「しかたないな」
俊光様がそう言って、私のズボンのチャックに手を伸ばす。私の両手の抵抗は虚しく、チャックがおろされそれから、ベルトのバックルも弄られる。
「っ………っ……」
私は身体をそらせてなんとか足に力を集中させながら、佐久間さんの後頭部を見つめる。俊光様はベルトをわざと大きく揺らしながら引き抜いた。私は、思わず左手で股を抑え込む。
「む、むり…です…っ……もぅっ」
俊光様は私の声など聞こえないかのようにズボンのウエスト部分を持って、ズボンを巻きながら下ろしていく。
「腰を浮かせろ」
「だ、だ……め……っ」
俊光様が私の腰を掴んで持ち上げる。私は一瞬立ち上がって、そのまま俊光様の方へ倒れこんだ。左手は股を掴んだまま、右手は俊光様のジャケットの後ろ襟を握る。ズボンが足首まで、くるくると下ろされたとき、車が停まって佐久間が振り返らずに「マンションに到着しました、俊光様」と、言った。
「着いたようだぞ、千尋」
「も、もう……動けな……っ」
「まったく」
俊光様は私をそのまま抱きかかえて、佐久間さんの開けてくれたドアから車の外へ出た。佐久間さんがどこから取り出したのか長いコートで私の身体を覆い隠すように掛けたその振動だけで、漏れ出てしまいそうになる。
全くロマンチックでないお姫様だっこで、いつもより待ち時間が半端なく長く感じるエレベーターを待ち、最上階までまた長い時間をすごす。先立って歩いていた佐久間さんが開けてくれた扉から玄関に入り「それでは、失礼します」という声が後ろから聞こえてくる。そして扉の閉まる音がして、
「ここからは、歩いていけ」
と、下ろされた瞬間、足の裏が地面についたその衝動で、股がじわっと漏れでてしまった。
「ぁっ………っ……」
じわりと漏れ出し始めたものはもう一度抑えこむことなど出来なかった。私は温かい液体が下着を勢いよく濡らし、足を滑り落ちていくのを、涙をこぼしながら見て立ちつくしていた。
私はそのまま浴室に連れて行かれた。俊光様に「身体を洗ったら寝室に来い」とだけ言われて、私は惨めな気持ちのままシャワーを浴びた。
いつも着替えの置いてある棚に、当たり前だが服はなく身体にタオルを巻きつけたまま寝室に向かう。
「そこに仰向けになれ」
俊光様は右手に持った細い木製の鞭で、ベッドを指す。やはり鞭のお仕置きはされるのか…。私は泣くのをこらえながらベッドによじ上って、横になる。
「両足をあげて、膝の後ろで足を組め」
言われた通りの体勢をとると、足元に立つ俊光様に私は全てを晒す格好になった。恥ずかしさにできる限り足をくっつけていると、鞭の先が腿の間に差し入れられる。
「前も見えるよう、足は開いていろ」
「は…ぃ……」
股の間から尻までが風に触れて、落ち着かない。俊光様が尻の下の方に鞭の先をあて、鳥肌がたった。
私は今にも振り下ろされる、と身構えたが、俊光様は鞭はそのままに「千尋」と、名前を呼ぶ。
「はぃ…」
「なぜ、鞭で仕置きされることになったか、自分でちゃんと言ってみろ」
元はと言えば、後藤さんと話していたのを見られたのが原因だ。けれど、たぶん今、俊光様が私に言わせようとしているのは別の言葉だ。
「が…我慢、できなかった、からです……」
パシ、ッと鞭が弾んで尻を打つ。
「ぁっ………っ」
「その答えでは不十分だ。どこで、なにを、我慢できなかったのか、ちゃんと全部説明しろ」
私はきゅうっと胸が締め付けられるような感覚を覚え、それからゆっくり息を吐き出す。
「私が……っ…トイレまで…お、おしっこを、我慢できずに…玄関で、漏らしてしまったから、です」
「そういうことだ」
羞恥の涙の溢れた私の尻に、パチィン、パチィン、と鞭が弾ける。打ちつけられる細い鞭は肌に絡みついて、ぴりぴりとした痛みを残す。
「ぁあんっ……あぁあっ…ひぃっ…っ」
「粗相をするようなココにも、鞭が必要だよな?」
鞭が尻から離れて、抱え上げられた両足の間のペニスに当てがわれる。私は思わず足を閉じてしまい、その瞬間、バシィッっと先ほどよりもっと強い力で尻を叩かれる。
「ごめんなさぃっっっ」
たぶん今ので、尻には赤い線が一本浮かんだだろう。私はすぐに足を開くと、俊光様はまた鞭の先端をペニスにあてる。
「優しいのを4回と、それから厳しいのを1回だ。目を離さずに、ちゃんと見ていろ」
私は目をつむりたいのを必死で我慢して、顎をひいて抱えた両足の間を見つめる。当てがわれた鞭は、ほんの5センチほど離れてパシィ、と振り下ろされる。
「んんっ……っ!!!」
優しい、といってもペニスを細い鞭で叩かれる痛みは、全身を一気に駆け巡る。次を身構える暇なくパシ、パシィ、パシッ、と3回弾むように叩かれて、声が詰まる。
「うぅっ………っ……」
涙で曇った視界で、今度は鞭が20センチほど離されたのが見えた。ヒュッと、風をきる音も聞こえて、パシィイッと振り下ろされる。
「ひぃっっっっ……ッッッ」
鋭い痛みが駆け巡り、私はベッドの上で悶え気がついたら、叩かれたペニスを庇うようにうつ伏せになっていた。慌てて俊光様を振り返ると、右手に持っていた鞭を放りなげ、そのままベッドに膝をつき私に顔を近づけて「もうお仕置きは、終わりだ」と、唇を重ねてきた。
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