きつく縛って、キスをして

青森ほたる

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遅刻のお仕置き

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 社長室に入ってすぐに昼間は資料の散らばっていたデスクの上に、別のものが並べられていることに気がつく。

「こっちへ来い」

 俊光様は私をそのデスクの前に呼びよせる。昨日、散々叩かれた銀色の定規と、パドルと呼ばれる持ち手のついた大きな丸い木の板。それから何が入っているか分からない黒い箱と、そして何故か料理で使うタイマーとステンレス製の水筒。

「時間の管理の出来ないお前の身体には、時間の間隔を教えこんでやる」

「は、ぃ…」

 箱と水筒が何に使われるのか分からないが、タイマーの用途は想像がついた。俊光様はまずはタイマーを5分にセットした。

「ズボンを下ろして、デスクに手をつけ」

 ベルトを外せば、すとんとズボンが落ちて、尻が丸だしになる。目の前のデスクに手をつくと「もう少し奥だ」と、体勢をなおされる。

「頭を下げろ。5分のタイマーがなるまで、絶対に姿勢を崩すな」

 視界のすみで、俊光様の手が定規を掴んだのが見えた。ピッ…と、タイマーのスタートする電子音がしたあと、すぐにヒュッ、と定規が風をきる音がした。

バシィイインンンッッ!!!
「ぁっ…っ……!!!!」

 1発目の衝撃から休む間もなく、2発3発と、続けで定規が落とされる。

バシィイインンンッッ!!バシィイインンンッッ!!バシィイインンンッッ!!!
「あぁぁんんっ…!!んっっ…ッ!!ぃぁっ…っ…!!!」

 頭が真っ白になる連打が続いたかと思えば、いきなりピタリと止んで、冷たい定規で尻を撫でられる。

「…ぁっ…っ…」

 途端、定規が離れて、バシィイインンンッッ!!と鋭い痛み。

「ひぃぃっ…いいっ…!!」


 5分を知らせるタイマーが鳴り響く前は、息をつく間もないほど、続けて尻に定規を当てられた。

 長い電子音とともに私は、デスクに突っ伏して、激しい息を整える。肌には何本も真っ赤な太い線が入っているのではないか、ちらりと自分の尻をかえりみて後悔する。線の跡で満遍なく赤く染まった尻は、見るからに痛々しい。

「さぁ、もう一度。5分だ。準備しろ」

 俊光様は、無情にもそう告げ、今度はパドルを手にとって、急かすように私の赤く腫れた尻に軽く当てた。

 私が手を元の位置に戻し頭を下げたとき、またタイマーの音が鳴り響く。

バチィインンンッッと、今度は風をきる音はなく、いきなり痛みが走る。
「あぁっっ…!!!!」

 パドルは面積が広い。その分、一回振り下ろされただけで、尻の全体にずっしりとした重い痛みが響く。

 俊光様は、尻の真ん中ばかりを狙ってパドルを振り下ろしたかと思えば、次は右の膨らみを、その次は左の膨らみを、満遍なく私の尻を叩いていった。

 意識しないまま身体をよじっていたらしく、途中姿勢を直され、その後尻の膨らみを掬い上げるようにパドルを叩きつけられた。

バチィイイン!!!ビチィンンンッッ!!!パァアァアンンッッ!!
「あぁんんっ…!!ぁぁ…っっ…!!いいっっ…っ!!」

 涙はもうとめどなく流れて、デスクにぼたぼたと落ちていった。タイマーの音とともに、最後にパチィイインッッ!!と尻の真ん中にパドルが落ちる。私はがたがたと今度は膝から崩れ落ちて床にしゃがみこんだ。

「あぁっ…っっく…っ…」

 しゃがみこんで泣く私を横に、俊光様はデスクの上の例の箱を開けて中の物を出しているようだった。

 途中、プラスチックがぶつかるような音や、水筒から水をそそぐような音が聞こえてきた。

「立て」

 俊光様は私の腕を引っ張って無理矢理立たせた。

「上のジャケットは脱げ。そのあとデスクの上で四つん這いだ」

 涙で霞む視界で、デスクの上の物を確認する。デスクの全面にひかれたビニールのシートの上には、液体の入った洗面器と、グリセリンとローションのボトルと、そして大きな注射器が並べられていた。

「ゃ…、そ、れは…っ」

 ここまで準備されてやられることは、一つしかない。グリセリン浣腸だ。

「どうした、尻叩きがまだ足りなかったのか?」

 俊光様は先ほどのパドル手にして、脅すように振りかざす。私は思わず尻を掴んで、後ずさった。

「ご、ごめんなさぃっ…!」

「さっさと、四つん這いになれ」

 私は泣きながらジャケットを脱いで、デスクによじのぼった。デスクの上で四つん這いになると、一気に恥ずかしさで頭に血がのぼる。


「もっと足を開け」

 内腿を軽く叩かれ、言われるままに足を開く。

「向こうをむいて、頬を、デスクにつけろ」

 俊光様と反対の方向を向かされ、ひんやりとしたビニールシートに頬をつけると、ガラス窓に自分の姿が映っていた。デスクの上にワイシャツだけを着て四つん這いになり、尻だけが上に突き出さすような格好をさせられてる自分。

「しっかり目を開けていろ」

 思わず瞼を閉じた私に、俊光様が命じる。それからガラス窓に映る俊光様は、私の足元に置いてあったローションのボトルを手に取った。右手にローションを垂らし、そして私の尻の割れ目を指で開いて蕾をあらわにした。

「ひ…ぃっ……っ…!」

 ローションにまみれた俊光様の指先が、私の蕾に触れる。思わず蕾を窄めたことを咎めるように、指の腹が強く押しつけられる。

「っ……っ!」

「息をつめるな。口を開けて、力を抜け」

 蕾の周りを円を描くように指先がすべり、2本の指が蕾の中央にほんの指先だけが押しこまれて、そのまま押し広げられた。開けた口から、ぼたぼたと唾液が流れ落ちていく。



 俊光様は念入りに蕾にローションを塗ったあと大きな注射器を手に取り、注射器の先で洗面器の液体を吸い取っていく。

 あんなにたくさん入れられたら…!

 解してもらった蕾が硬くなる。俊光様は、グリセリン水溶液でいっぱいになった注射器の先にもローションをたらし、そしてまた左手で私の尻の割れ目を押し開く。

「口を開いていろと言っただろ。尻を動かすんじゃないぞ」

 思わず噛み締めていた口を開くが、身体は強張ったままだった。俊光様は、注射器の先端で蕾を軽く触れるようにあてる。

「ぁっ……っ…」

 先端部がそのまま差し込まれていく。俊光様が親指で注射器のピストンをゆっくりと押し込み、生ぬるい液体が蕾の中に流れ込んできた。

「っ……ッ…!!」

 液体が染みわたっていく感覚に、身体中に震えがはしる。中身が全て注入されて、注射器は引き抜かれると同時にもうお腹の我慢がきかなくなる。

「と、としみつ…さま…ぁっ…」

「タイマーを見ていろ」

 目の前に5分にセットされたタイマーが置かれる。私は両手を握りしめて強い痛みの波を我慢しようと努める。



 腸を直接刺激されたことによる最初の波が去ったあとは、じりじりとした痛みが腹部を襲う。目の前で流れていく数字が、ありえないほどゆっくりに感じる。

「尻をさげるなと言っただろう」

 パチィインッと、平手で尻をすくい上げるように叩かれる。定規とパドルで真っ赤にされた尻は軽く叩かれただけで、鋭い痛みが走った。

「あぁああんっ……」

 穴の開くほど見つめたタイマーがやっとOに戻ったときには、腹部の痛みは最高潮に達していた。

「と、トイレに……」

「だれが5分で終わりだと言った。もう5分だ」


 俊光様はタイマーのリセットボタンを押し、また5分のカウントが始まる。私は目の前が真っ暗になるような感覚を覚えた。

「や…っ…も、もうむり…っ…です…っ」

「私の言うことが聞けないのか?一回で上手くできないのなら、2本目を打ってもいいんだぞ」

 俊光様の言葉が冷たく頭の中で響く。私は涙を飛ばしながら、首をふる。

「ごめんなさぃっ…ごめんなさいっ…」

 私は歯を食いしばり襲いくる痛みになんとか耐えようとする。汗が全身から噴きだして、びしょびしょに濡れていく。

「だ、ダメです…もう…っ…」

 何度もまばたきをした霞む目で、タイマーを必死の思いで見つめていたが、3分と経たないうちに、限界を感じる。

「俊光さまぁっ……もうっ…」

「仕方ないな」

 やっとトイレに行くことを許してもらえると思ったが、俊光様は黒い箱の中から何かを取り出して私の目の前に差し出した。

「これを自分で尻の中に入れて、抑えて我慢しろ」


 それは小さな黒いアナルプラグだった。そんなものを自分で挿入するなど、みっともない姿を見せることなどできない。

「や…と、トイレに…っ」

「タイマーが鳴るまで、トイレにはいかせない。どうしても我慢できないというなら、そこでしろ」

 無情な選択肢を突きつけられ、私は汗だくの手でアナルプラグを掴んだ。左手は身体を支えながら、右腕を後ろに回して蕾にアナルプラグを挿しこんだ。蕾の周りはローションでどろどろになっていた。その短いアナルプラグは蕾の少しの動きで取れてしまいそうで、俊光様の言うように自分で抑えておかなければいけなかった。

「うぅっ……っ……」

 襲ってくる刺激に人差し指でアナルプラグを押し込んで耐える。最後の方は、タイマーを見る余裕などなかった。頭のどこか遠くの方で、タイマーが鳴る音が響いて、俊光様の「もういいぞ」という声を聞こえてきた。

 私はなんとか社長室の簡易なバスルームとトイレの一緒になった部屋に、駆け込んだ。





 上がった息もなんとか治りはじめ、汗も引いていく。洗面台で手を洗っていると、磨きあげられた鏡に写る、汗と、涙と、唾液にまみれた自分の顔は想像以上に酷いことになっていると気がついた。

「と、俊光様…」

 よろよろとバスルームから戻った私を見て、俊光様は怒ったように眉をよせる。

「洗面台の横に、バスタオルとワイシャツを用意していただろう。ちゃんとシャワーを浴びて着替えてこい」

「は、はい…っ」

 私は慌ててバスルームに引き返して、新品のワイシャツとふわふわのバスタオルが重ねられているのを見つける。

 簡易な、とはいえ、社長しか使わない自分のマンションより豪勢な造りのバスルームでシャワーを浴びさせてもらい、身体は石鹸の香りに包まれた。袋に入った新品のワイシャツに腕を通すと、サイズはぴったりだった。

 下着は…まだ返してもらえないのだろうか…。私が部屋に戻ると、デスクの上は綺麗に片付けられていて、俊光様の姿がなかった。一気に不安な気持ちになったとき、社長室の扉が開いて俊光様が2本のペットボトルを持って戻って来た。私はほっと息をついて、「シャワー、ありがとうございました」と頭をさげる。



「本棚にタイマーが置いてある。その前に立て」

 示された本棚の前にいくと、目線の高さの棚にタイマーが置いてある。今度はタイマーの時間は10分にセットされていた。

「足を肩幅に開いて、両手は背中の後ろで組め」

 俊光様は、言われるままに姿勢を正した私の隣りにやってきて、タイマーのスタートボタンを押した。

「10分、黙って立っていろ」

 私が頷くと俊光様はその場で、手に持っていたスポーツ飲料のペットボトルのキャップを外し、指先で顎を持ちあげられる。

「口を開けろ」

 緩めた口にペットボトルを当てがわれる。意識していなかったが、からからに乾いていた口に、ひんやりと冷たい水が流しこまれる。私は喉を鳴らしながら、俊光様に与えられるままに飲み干していった。時折、息をつかせるようにペットボトルを離されたが、すぐに一本飲みきった。


「もう1本、欲しいか?」

 私が首を振ると、俊光様は頷いたあと空のペットボトルを持って私の斜め後ろに下がって、少し離れた椅子に座った。

 喉も潤い気持ちも落ち着いて、目の端に俊光様を感じていると、見られていることを意識して、身体がそれまで感じていなかった種類の痺れを覚えはじめた。

 どくどくと胸が脈打ち、頬はほてり、今日散々罰を受けた尻が引き攣る。その尻の膨らみに隠れた蕾が、きゅぅっとまるで何かを欲するように締まる。長いワイシャツの裾に少し隠れた私のモノは…膨らみ始めていた。

 こんなとこで、こんな状況で。

 絶対に、俊光様に…気がつかれたくない…そう思うたび逆に私のペニスは、自分の後ろ姿を俊光様に見られていることを意識し、余計に反り勃っていく…。羞恥心で、乾いたはずの涙の膜が再度、瞳を覆う。

 俊光様がいつも私に命じるときの冷たくて低い声。私を見下ろす黒い瞳。私に飲み物を与えてくれたときのペットボトルを掴んでいた指…。

 タイマーの時間が進むほど、全身が熱くなって、私は後ろで組んだ両手に力を込める。恥ずかしさ、よりももう今はすでに、このいきり勃ったモノに触れたくてたまらなかった。

「っ…は…ぁっ……っ」

 乱れた呼吸が喉をつきあげる。反りたったペニスの先端から、透明な液が溢れ出ていった。




 10分を知らせる電子音が鳴ったときには、私にはもうタイマーが見えていなかった。

「お仕置き中に勃たせるとは」

 いつの間にか真横にやってきた俊光様は、パシンっと私の尻を叩いた。痛いはずなのに、その痛みさえ私には甘い刺激となって、全身を駆け巡った。

「ぁぁっ…っ…」

「触りたいか?」

 私がこくこくと頷くと、俊光様は少し考えこむように黙りこんだあと、

「いいだろう。お仕置きはこれで終わりにしてやる。そこの椅子に座り、私の前で抜いてみせろ」

 と、言った。

 私はよろよろと椅子に座りこみ、両腕で足を抱え上げてすぐに右手で反り勃ったペニスを掴んだ。もうすでにとろとろに濡れているそれを、少し強く握って動かす。

「はぁっ…あぁっ…っ……」

 息が高まり、じんわりと首筋に汗が浮かぶ。右手は、もう止められない。

「あぁあっ…っはぁっ…………っぁぁあああっっ」

 触れるのを我慢していたぶん、五分ともたずに私は果てた。俊光様は椅子の背もたれにぐったりと寄りかかる私を見下ろして微笑んだ。

「よくできた」

 俊光様の大きな右手が、私の頭を優しく撫でた。
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