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14.妖精の隠れ里
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小生はじっと、草の幹に止まっているチョウチョを眺めていた。
なぜ、正解のチョウチョだけが関係のなさそうな場所に止まって、他のチョウチョたちは先の道に誘導するように飛びまわっているのだろう?
少し考えてみると、ちょっと前のことを思い出した。
そういえば、他のチョウチョたちも1匹だけが羽を休めて、他のチョウチョたちが誘導の仕事をこなしていることが何度かあった。
そして妖精の谷ということは、文字通りフェアリーやピクシーが暮らす隠れ里だ。マリーヌの形を考えれば、どんなに大きな男子妖精でも身長は30センチメートルどまりだろう。
「もしや……この奥か?」
呟いてみると、マリーヌは何も言わないまま微笑を浮かべていた。
この様子だと親しい間柄の者でも、うかつに隠れ里の場所を明かすことはできないのかもしれない。
恐る恐る、青いチョウチョの止まっていた場所に足を踏み入れてみると、小生の角が緑色の光を放っていた。
「……これは、結界!?」
結界と言っても、別の生き物の侵入を妨害する類のものではない。
外から見たときに存在を見えないようにするような、カモフラージュ型の結界だ。小生は更に奥へと足を踏み入れてみると、そこには興味深い世界が広がっていた。
「…………」
一見するとただの森なのだが、木の枝やロウなどに小さな家があり、妖精たちが枝で羽を休めたり、地面まで降りて花や作物に水をやっている。
ピクシーやフェアリーの数も、表に出ているだけでざっと200人はおり、隠れ里というよりは村と呼んだ方がいい雰囲気だ。
「あ、マリーヌじゃないか!」
「本当だ!」
妖精たちの何人かは、小生の頭の上に乗ったマリーヌを見ると、すぐに近づいてきた。
「みんな、遅くなってごめん!」
「羽がなくなってるけど、何かあったの?」
「オオカミに追われて……必死になって逃げていた時に、あの技を使ってしまったの」
その言葉を聞いた男の妖精……ピクシーはホッとした様子で言った。
「よく無事だったな。そのおウマにここまで運んでもらったのか」
「うん、だけど……ここにいても危ないことに変わりはないから、しばらく彼に厄介になることにしたよ」
隣で話を聞いていたフェアリーは、「へぇ~」と言いながら小生を見てきた。
「ユニコーンなんて珍しいわね。この仔……うちで飼うの?」
「飼うとは失礼だな。小生は旅を続けるよ」
そう伝えると、妖精たちは「しゃ、喋った!」と驚きの声を上げていた。
「なんだお前、喋れたのか!?」
「ウマが喋ったらいけないのかい?」
妖精たちはお互いを見合うと、そのうちの1人が言った。
「おいおい……この場所を人間にバラされたりしないだろうな?」
「そんなことはしないよ。小生だってホーンハンターに狙われている身だ。そういう連中にここを教えてあげる義理なんてないね」
そう伝えると、妖精たちも「それもそうか……」と納得していた。
どうやら、彼らの間でも人間が一角獣の角を狩り歩いている話は有名らしい。
「まあ、私たちも定期的に引っ越しをしているから、そんなに神経質に場所を隠したりはしないんだけどね」
フェアリーの少女がいうと、ピクシーの青年は反論した。
「いや、最近の密猟者は油断ならないぜ? 里の秘密はきちんと守るようにした方がいい!」
どうやら、里の在り処に関しては、妖精族の間でも意見が分かれているようだ。
別のピクシーは、にっこりと笑って小生に言った。
「仲間が世話になったな。次の旅までゆっくりと休んでいってくれ」
「ありがとう! お言葉に甘えさせてもらうよ」
なぜ、正解のチョウチョだけが関係のなさそうな場所に止まって、他のチョウチョたちは先の道に誘導するように飛びまわっているのだろう?
少し考えてみると、ちょっと前のことを思い出した。
そういえば、他のチョウチョたちも1匹だけが羽を休めて、他のチョウチョたちが誘導の仕事をこなしていることが何度かあった。
そして妖精の谷ということは、文字通りフェアリーやピクシーが暮らす隠れ里だ。マリーヌの形を考えれば、どんなに大きな男子妖精でも身長は30センチメートルどまりだろう。
「もしや……この奥か?」
呟いてみると、マリーヌは何も言わないまま微笑を浮かべていた。
この様子だと親しい間柄の者でも、うかつに隠れ里の場所を明かすことはできないのかもしれない。
恐る恐る、青いチョウチョの止まっていた場所に足を踏み入れてみると、小生の角が緑色の光を放っていた。
「……これは、結界!?」
結界と言っても、別の生き物の侵入を妨害する類のものではない。
外から見たときに存在を見えないようにするような、カモフラージュ型の結界だ。小生は更に奥へと足を踏み入れてみると、そこには興味深い世界が広がっていた。
「…………」
一見するとただの森なのだが、木の枝やロウなどに小さな家があり、妖精たちが枝で羽を休めたり、地面まで降りて花や作物に水をやっている。
ピクシーやフェアリーの数も、表に出ているだけでざっと200人はおり、隠れ里というよりは村と呼んだ方がいい雰囲気だ。
「あ、マリーヌじゃないか!」
「本当だ!」
妖精たちの何人かは、小生の頭の上に乗ったマリーヌを見ると、すぐに近づいてきた。
「みんな、遅くなってごめん!」
「羽がなくなってるけど、何かあったの?」
「オオカミに追われて……必死になって逃げていた時に、あの技を使ってしまったの」
その言葉を聞いた男の妖精……ピクシーはホッとした様子で言った。
「よく無事だったな。そのおウマにここまで運んでもらったのか」
「うん、だけど……ここにいても危ないことに変わりはないから、しばらく彼に厄介になることにしたよ」
隣で話を聞いていたフェアリーは、「へぇ~」と言いながら小生を見てきた。
「ユニコーンなんて珍しいわね。この仔……うちで飼うの?」
「飼うとは失礼だな。小生は旅を続けるよ」
そう伝えると、妖精たちは「しゃ、喋った!」と驚きの声を上げていた。
「なんだお前、喋れたのか!?」
「ウマが喋ったらいけないのかい?」
妖精たちはお互いを見合うと、そのうちの1人が言った。
「おいおい……この場所を人間にバラされたりしないだろうな?」
「そんなことはしないよ。小生だってホーンハンターに狙われている身だ。そういう連中にここを教えてあげる義理なんてないね」
そう伝えると、妖精たちも「それもそうか……」と納得していた。
どうやら、彼らの間でも人間が一角獣の角を狩り歩いている話は有名らしい。
「まあ、私たちも定期的に引っ越しをしているから、そんなに神経質に場所を隠したりはしないんだけどね」
フェアリーの少女がいうと、ピクシーの青年は反論した。
「いや、最近の密猟者は油断ならないぜ? 里の秘密はきちんと守るようにした方がいい!」
どうやら、里の在り処に関しては、妖精族の間でも意見が分かれているようだ。
別のピクシーは、にっこりと笑って小生に言った。
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「ありがとう! お言葉に甘えさせてもらうよ」
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