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57.進んでいく2次試験
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スティレットの叩きだした数値を見て、さすがの試験の係員たちもざわめいた。
さすがに300越えはあり得ないだろうと感じたのだろう。
試験官のマッチョマも、測定器具を少し眺めてから言った。
「ちょっと、コイツの確認をさせてくれ」
『うん』
スティレットが退いてから、マッチョマが気合を入れると装置は185という数値を叩きだした。
これには会場中の人間がざわついていた。僕の目にも一瞬だけ、試験官の背中の数字が光って見えたが……レベルが76とか言っている。
これだけ鍛え上げているのなら、185なんて数字が出せるのも納得だ。
「ふむ……異常はないようだな。念のため……もう一度だけ頼む」
『わかった』
再びスティレットが装置の前に立つと、先ほどと同じように気を集中させていた。
そして出てきた数字は……先ほどよりも多い343。
これにはさすがに、マッチョマも納得せざるを得なかったようだ。
「わ、わかった……トリトンズのスティレットは343」
スティレットが戻ると、次はジルーが前に歩み出た。
「じゃあ、行くよ……」
ジルーの数値は116。
次はアイラで126。
マーフォーク族の戦士……98。95。102。107。89。
その次はオリヴィアか……
「では、行きます」
オリヴィアが祈るように気を集中させると、測定器が再び大きく秤を動かした。
「204……さすがはエルフだな」
全くその通りだと思う。スティレット以外で200を超えたのは彼女がはじめてだ。
今度は僕の番。オリヴィアと入れ違う形で装置の前に立つと、何だか中世らしくない代物だと思いながら精神を集中した。
すると……
「152。トリトンズはなかなか優秀だな」
トリトンズの測定が終わると、他の戦士たちも次々と測定がはじまった。
やはり、大手ギルドのギルド員や、中小でも隊長やベテランクラスの戦士が測定を行うと、高い数字が出やすく、ミリズス教会関連のギルドや、シャドーアローズのギルド員、それからインディゴメイルズのギルド員は、評判通り優秀だった。
受験生全ての測定が終わったときには、既に2桁の数字だったモノの大半が帰っており、中には試験官や係員の人間に悪態をついていく者はいたが、ほぼ何事もなく2次試験は終わりを迎えようとしていた。
すでにスティレットとオリヴィアの合格は決定的。僕も安全圏だろう。
アイラもどちらかといえば優勢。ジルーは……合格できたとしてもギリギリだろうか。
係員は、全ての集計を終わらせたらしく、結果を試験官のマッチョマに持って行った。
「……これから、2次試験の合格者を発表する」
まずはスティレットの名が上がり、次にオリヴィア。
霊力が如何にも強そうな有翼人やエルフの冒険者アリーシャの名前が挙がったあと、今度は僕ことカイトの名が挙がった。
ここからは、各名門ギルドの猛者たちの名前が挙がった。
その中にはこの前に冒険したリック隊長の名もあり、彼も145点という高得点を記録。インディゴメイルズの強さを内外に知らしめた。
そして50人目あたりで、アイラの名前が挙がった。
彼女の得点は126。ここから先は1下がるだけでも数が増えていくから大変だ。果たしてジルーのところまで席が残っているだろうか。
125の点数の受験者は3人。124の受験者は1人。123の受験者は2人。122の受験者は3人。121の受験者は5人。120の受験者は7人。みるみる残りの席が少なくなっていく。
ジルーは両手を合わせて、祈るように目を瞑っていた。
やがて、116の数字を見たマッチョマは、険しい表情をした。
「……合格者の枠は4人しかないが、該当者が6人いる」
そう勇者試験の係員に話しかけると、係員たちは全員が集まってしばらく話し合いを行っていた。
僕たちもまた、内心でヒヤヒヤしながら事の成り行きを見守っていた。次の試験がどのようなモノかはわからないが、ここでジルーが脱落してしまうと、嗅覚という大きな武器を失うことになる。
やがて話がまとまったらしく、マッチョマは受験者たちを見て言った。
「結論が出た……」
思わず生唾を呑んだ。
「同率同位と判断し……6名合格! 次の試験には102名が進出!」
その言葉を聞いて、オリヴィアとアイラはジルーと抱き合った。
トリトンズから3次予選に進めたのは、僕たち5名だが……7割が落とされる試験で、戦力半減で済んだのは幸いと言えるだろう。
【妙な古代機械(隣にディスプレイがある)】
さすがに300越えはあり得ないだろうと感じたのだろう。
試験官のマッチョマも、測定器具を少し眺めてから言った。
「ちょっと、コイツの確認をさせてくれ」
『うん』
スティレットが退いてから、マッチョマが気合を入れると装置は185という数値を叩きだした。
これには会場中の人間がざわついていた。僕の目にも一瞬だけ、試験官の背中の数字が光って見えたが……レベルが76とか言っている。
これだけ鍛え上げているのなら、185なんて数字が出せるのも納得だ。
「ふむ……異常はないようだな。念のため……もう一度だけ頼む」
『わかった』
再びスティレットが装置の前に立つと、先ほどと同じように気を集中させていた。
そして出てきた数字は……先ほどよりも多い343。
これにはさすがに、マッチョマも納得せざるを得なかったようだ。
「わ、わかった……トリトンズのスティレットは343」
スティレットが戻ると、次はジルーが前に歩み出た。
「じゃあ、行くよ……」
ジルーの数値は116。
次はアイラで126。
マーフォーク族の戦士……98。95。102。107。89。
その次はオリヴィアか……
「では、行きます」
オリヴィアが祈るように気を集中させると、測定器が再び大きく秤を動かした。
「204……さすがはエルフだな」
全くその通りだと思う。スティレット以外で200を超えたのは彼女がはじめてだ。
今度は僕の番。オリヴィアと入れ違う形で装置の前に立つと、何だか中世らしくない代物だと思いながら精神を集中した。
すると……
「152。トリトンズはなかなか優秀だな」
トリトンズの測定が終わると、他の戦士たちも次々と測定がはじまった。
やはり、大手ギルドのギルド員や、中小でも隊長やベテランクラスの戦士が測定を行うと、高い数字が出やすく、ミリズス教会関連のギルドや、シャドーアローズのギルド員、それからインディゴメイルズのギルド員は、評判通り優秀だった。
受験生全ての測定が終わったときには、既に2桁の数字だったモノの大半が帰っており、中には試験官や係員の人間に悪態をついていく者はいたが、ほぼ何事もなく2次試験は終わりを迎えようとしていた。
すでにスティレットとオリヴィアの合格は決定的。僕も安全圏だろう。
アイラもどちらかといえば優勢。ジルーは……合格できたとしてもギリギリだろうか。
係員は、全ての集計を終わらせたらしく、結果を試験官のマッチョマに持って行った。
「……これから、2次試験の合格者を発表する」
まずはスティレットの名が上がり、次にオリヴィア。
霊力が如何にも強そうな有翼人やエルフの冒険者アリーシャの名前が挙がったあと、今度は僕ことカイトの名が挙がった。
ここからは、各名門ギルドの猛者たちの名前が挙がった。
その中にはこの前に冒険したリック隊長の名もあり、彼も145点という高得点を記録。インディゴメイルズの強さを内外に知らしめた。
そして50人目あたりで、アイラの名前が挙がった。
彼女の得点は126。ここから先は1下がるだけでも数が増えていくから大変だ。果たしてジルーのところまで席が残っているだろうか。
125の点数の受験者は3人。124の受験者は1人。123の受験者は2人。122の受験者は3人。121の受験者は5人。120の受験者は7人。みるみる残りの席が少なくなっていく。
ジルーは両手を合わせて、祈るように目を瞑っていた。
やがて、116の数字を見たマッチョマは、険しい表情をした。
「……合格者の枠は4人しかないが、該当者が6人いる」
そう勇者試験の係員に話しかけると、係員たちは全員が集まってしばらく話し合いを行っていた。
僕たちもまた、内心でヒヤヒヤしながら事の成り行きを見守っていた。次の試験がどのようなモノかはわからないが、ここでジルーが脱落してしまうと、嗅覚という大きな武器を失うことになる。
やがて話がまとまったらしく、マッチョマは受験者たちを見て言った。
「結論が出た……」
思わず生唾を呑んだ。
「同率同位と判断し……6名合格! 次の試験には102名が進出!」
その言葉を聞いて、オリヴィアとアイラはジルーと抱き合った。
トリトンズから3次予選に進めたのは、僕たち5名だが……7割が落とされる試験で、戦力半減で済んだのは幸いと言えるだろう。
【妙な古代機械(隣にディスプレイがある)】
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