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ガンスーン、遂にギルドをクビになる
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我が名はリストー。
お前は誰だと思う人も多いだろうが、このたび冒険者ギルド『西の二丁目冒険者ギルド』のギルド長として就任した者だ。
いや、こう言うよりも……問題児ガンスーンのいるギルドと言った方が、解りやすいだろう。
前のギルド長は、何でもナアナアで誤魔化そうとしていたいい加減な男だった。だから奴は職を失った訳だが私は違う。スポンサーからも厳しく言われているわけだし、すぐに問題児であるガンスーンを呼び出した。
受付嬢に呼んでくるように伝えると、その問題児はすぐにドアを蹴破って入ってきた。
「おい、雇われギルド長の分際で、俺様を呼び出すとは何事だ!?」
いきなり暴言と共に登場か。前のギルド長はどんな指導をしていたのだろう。
私はしっかりと、この問題児を睨むと言った。
「やかましいぞ。少しは静かに入ってきたらどうだ?」
「ああっ!? ケンカ売ってんのかテメエ!」
この時点で除名処分を下してもいいのだが、私はさっさと本題に入ることにした。
「昨日、顧客からクレームが入ったぞ。お前まさか、その態度で応対したんじゃないだろうな!?」
「はぁ!? この素晴らしい俺様が、特別に対応してやったんだ。注文通りアイテムも手に入れたのに何の問題があるってんだ!」
「大ありだ。品物を実際に見せてもらったが……何だあの薬草は! 枯草や子ぶりすぎて使い物にならない草ばかりだった! お前よりも新人冒険者の方がまだ仕事ができる!!」
語彙を強めると、この問題児は「新人……新人だと!?」と声を荒げた。
「ふざけんな! パワハラするんじゃねえ、このクソギルド長!」
「パワハラか……そう言えば、同じBランクギルド員やCランクギルド員から、お前に対しての苦情も寄せられた」
「はぁ!?」
「列への割り込みは日常茶飯事。更には食事している最中に席からの立ち退き要求、酷い場合には受注したクエストのキャンセルまで強要していたそうだな」
「だ、誰だ……チクった奴は!?」
知らぬ存ぜぬなら更なる隠し玉を出すところだったが、この一言は自供にも等しいので、私ははっきりと今まで言いたかった一言を告げることにした。
「お前はクビだ。我がギルドにお前のような調和を乱す男は要らん!」
「後悔するんじゃねえぞ!」
捨て台詞と共に、厄介な男は立ち去っていった。
そうそう、厄介と言えば、この男がヒーラーと言いながら連れて来た者。あれは何なのか教会に聞いたら、精霊の一種のようだ。
人間にも様々な人間がいるように、奴の連れていた精霊も無言でついてきて、その人間が落ちぶれたり堕落していく姿を黙って眺めているという、なかなか趣味の悪い精霊らしい。
ちなみに、人生が上向きになると勝手に離れていくそうだが、あの男はもはやどんな職業も出来ないレベルのエゴイストなので、落ちるところまで落ちたまま上がってはこれないだろう。
まあ、正しいことを指摘されて逆上するような4流人間に用はない。
前のギルド長のおかげで、すっかりギルドメンバーの士気が下がってしまっているので、ギルド全体のモチベーションを上げるためにも無駄な経費などを削減して、ギルド員の取り分を増やすようにしないといけないだろう。
「受付嬢も多いな……何か別の仕事をしてもらうか」
間もなく私は、受付嬢に対しても別の業務をやってもらおうとしたが喋ってばかりなので、朝の忙しいとき以外はなるべく1人で作業するように人員を調整した。
「なによあのギルド長……○ねばいいのにー!」
「私たちの気楽な職場がー!」
ふむ……どうやら前のギルド長は、部下の仕事ぶりを見ることもなかった男だったようだ。
受付嬢たちも思い違いをしているようなので、もう少し仕事をサボれないような環境づくりをしなければならん。そうすれば、冒険者も受付嬢は気楽でいいよな……というようなグチを言わなくても済むだろう。
【新ギルド長リストー】
お前は誰だと思う人も多いだろうが、このたび冒険者ギルド『西の二丁目冒険者ギルド』のギルド長として就任した者だ。
いや、こう言うよりも……問題児ガンスーンのいるギルドと言った方が、解りやすいだろう。
前のギルド長は、何でもナアナアで誤魔化そうとしていたいい加減な男だった。だから奴は職を失った訳だが私は違う。スポンサーからも厳しく言われているわけだし、すぐに問題児であるガンスーンを呼び出した。
受付嬢に呼んでくるように伝えると、その問題児はすぐにドアを蹴破って入ってきた。
「おい、雇われギルド長の分際で、俺様を呼び出すとは何事だ!?」
いきなり暴言と共に登場か。前のギルド長はどんな指導をしていたのだろう。
私はしっかりと、この問題児を睨むと言った。
「やかましいぞ。少しは静かに入ってきたらどうだ?」
「ああっ!? ケンカ売ってんのかテメエ!」
この時点で除名処分を下してもいいのだが、私はさっさと本題に入ることにした。
「昨日、顧客からクレームが入ったぞ。お前まさか、その態度で応対したんじゃないだろうな!?」
「はぁ!? この素晴らしい俺様が、特別に対応してやったんだ。注文通りアイテムも手に入れたのに何の問題があるってんだ!」
「大ありだ。品物を実際に見せてもらったが……何だあの薬草は! 枯草や子ぶりすぎて使い物にならない草ばかりだった! お前よりも新人冒険者の方がまだ仕事ができる!!」
語彙を強めると、この問題児は「新人……新人だと!?」と声を荒げた。
「ふざけんな! パワハラするんじゃねえ、このクソギルド長!」
「パワハラか……そう言えば、同じBランクギルド員やCランクギルド員から、お前に対しての苦情も寄せられた」
「はぁ!?」
「列への割り込みは日常茶飯事。更には食事している最中に席からの立ち退き要求、酷い場合には受注したクエストのキャンセルまで強要していたそうだな」
「だ、誰だ……チクった奴は!?」
知らぬ存ぜぬなら更なる隠し玉を出すところだったが、この一言は自供にも等しいので、私ははっきりと今まで言いたかった一言を告げることにした。
「お前はクビだ。我がギルドにお前のような調和を乱す男は要らん!」
「後悔するんじゃねえぞ!」
捨て台詞と共に、厄介な男は立ち去っていった。
そうそう、厄介と言えば、この男がヒーラーと言いながら連れて来た者。あれは何なのか教会に聞いたら、精霊の一種のようだ。
人間にも様々な人間がいるように、奴の連れていた精霊も無言でついてきて、その人間が落ちぶれたり堕落していく姿を黙って眺めているという、なかなか趣味の悪い精霊らしい。
ちなみに、人生が上向きになると勝手に離れていくそうだが、あの男はもはやどんな職業も出来ないレベルのエゴイストなので、落ちるところまで落ちたまま上がってはこれないだろう。
まあ、正しいことを指摘されて逆上するような4流人間に用はない。
前のギルド長のおかげで、すっかりギルドメンバーの士気が下がってしまっているので、ギルド全体のモチベーションを上げるためにも無駄な経費などを削減して、ギルド員の取り分を増やすようにしないといけないだろう。
「受付嬢も多いな……何か別の仕事をしてもらうか」
間もなく私は、受付嬢に対しても別の業務をやってもらおうとしたが喋ってばかりなので、朝の忙しいとき以外はなるべく1人で作業するように人員を調整した。
「なによあのギルド長……○ねばいいのにー!」
「私たちの気楽な職場がー!」
ふむ……どうやら前のギルド長は、部下の仕事ぶりを見ることもなかった男だったようだ。
受付嬢たちも思い違いをしているようなので、もう少し仕事をサボれないような環境づくりをしなければならん。そうすれば、冒険者も受付嬢は気楽でいいよな……というようなグチを言わなくても済むだろう。
【新ギルド長リストー】
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