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レナの存在を知る元妃(語り部ズバーヴァ)
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皆さんごきげんよう。
元ライアン皇太子の正室にして、最もこの世で美しく聡明で素晴らしい存在の令嬢ズバーヴァよ。
今日、私はとても腹が立ったことがあったの。
何かといえば、アーヴィック王国の征服作戦を父上に相談したんだけど、あろうことか父上は、「そんなことをやっている場合ではない。我らは今……クロスナイツ遠征に忙しいのだ!」ですって!
クロスナイツ遠征とは、ミリズスが降り立った地である【約束の地】を我が国が取り返す聖戦のこと。
ミリズス教の聖地と言われる場所はいま、異教徒たちの支配下にあり、信心深い父上はその土地を取り返すためにはるばる数百キロメートル……いいえ千数百キロメートルの遠征に力を入れているの。
私としては、世界の中心がこのヴァーカリランドなのだから、約束の地なんて必要ないと思うのだけど、民草やイヌっころ……いいえ、家来の騎士たちの一部には【約束の地】をこの手に戻したいという人もいるの。
全く、そんなのどうでもいいじゃない。そんなことよりも領土拡大よ! この素晴らしい存在であるはずの私に恥をかかせた……あの蛮族一族。いずれ八つ裂きにしてやるわ!!
ああそういえば、その蛮族一族がどうやら、妙な小娘を嫁にしたそうね。
名前は確か……レナだったかしら。間者の話では荷物のようにウマに背負われて、奴隷のように蛮族の城まで連行されていたらしいわ。
なんでも霊力が強かったから、そのまま嫁入りしたという噂を聞いたけど、体よく奴隷として売り飛ばされるのが関の山ではないかしら。
仮にも一国の皇太子を名乗っているのだから、それなりの地位の妻を欲しがるでしょう。どこから連れてきた女なのか知らないけど、従者もなく1人だけで連れてこられている時点で、大したことはないわ。
あのライアン皇太子がどこで本性を現すかしら。いえ、もしかしたらもう売り飛ばされている頃かもしれないわね。
ちょうど密偵が新しい情報を持ってきたし、高みの見物と……
…………
…………
何ですって!?
ゴホン、どうやら、そう悠長なことを言ってはいられなくなったわ。
いま密偵がもたらした情報によれば、西の大国……ガーディアス帝国がアーヴィック王国への侵攻計画を立てているようなの。普通ならクロスナイツ遠征をしている我が国を狙ってきそうなモノなのだけど、どうやら帝国はアーヴィック王国に内偵を放っているらしく、内部の状況が丸わかりみたい。
なぜそんなことを私が知っているのか……だって?
ふふふ、私は聡明な王女にして令嬢よ。ヴァーカリミリズス信者はアーヴィック王国にもガーディアス帝国にもいるわ。信徒たちの力を使えば、情報などいくらでも入ってくるモノなの。
クーデターを画策した時だって、どの家臣が不満を持っているのかなんてことは、信徒を通して伝わってきたからね。やはり宗教ほど強いものはこの世にはないわ。
これはチャンスよ。すぐに我が国もガーディアス帝国の動きに合わせて、アーヴィック王国の北側に聖戦を仕掛けないと!
私はすぐに父上にそのことを伝えました。ただ伝えるだけでなく、このまま黙って見過ごせば、我が国は西側だけでなく南側にあるアーヴィック王国側もガーディアス帝国に囲まれて、同時侵攻を受ける形になってしまう。
そこまできちんと伝えたのに、父上は「だからお前は何度言ったらわかるのだ! まず優先するのは約束の地の奪還だ! それに聖騎士団の大半が出払っているから、侵攻できるような戦力は残っていない!!」ですって!
それだけでも腹立たしいのに、腹心の参謀まで「これは絶好の機会ですぞ。ガーディアスがアーヴィックを攻めているうちに、我らは東側の小国を征服しましょう!」ですって!
そんなことしている場合じゃないの。一体いつになったら、アーヴィック征服ができるのよ!
父上も「そうだな。その策で行こう」じゃないのよ。
どいつもこいつも無能揃いなんだから!!
元ライアン皇太子の正室にして、最もこの世で美しく聡明で素晴らしい存在の令嬢ズバーヴァよ。
今日、私はとても腹が立ったことがあったの。
何かといえば、アーヴィック王国の征服作戦を父上に相談したんだけど、あろうことか父上は、「そんなことをやっている場合ではない。我らは今……クロスナイツ遠征に忙しいのだ!」ですって!
クロスナイツ遠征とは、ミリズスが降り立った地である【約束の地】を我が国が取り返す聖戦のこと。
ミリズス教の聖地と言われる場所はいま、異教徒たちの支配下にあり、信心深い父上はその土地を取り返すためにはるばる数百キロメートル……いいえ千数百キロメートルの遠征に力を入れているの。
私としては、世界の中心がこのヴァーカリランドなのだから、約束の地なんて必要ないと思うのだけど、民草やイヌっころ……いいえ、家来の騎士たちの一部には【約束の地】をこの手に戻したいという人もいるの。
全く、そんなのどうでもいいじゃない。そんなことよりも領土拡大よ! この素晴らしい存在であるはずの私に恥をかかせた……あの蛮族一族。いずれ八つ裂きにしてやるわ!!
ああそういえば、その蛮族一族がどうやら、妙な小娘を嫁にしたそうね。
名前は確か……レナだったかしら。間者の話では荷物のようにウマに背負われて、奴隷のように蛮族の城まで連行されていたらしいわ。
なんでも霊力が強かったから、そのまま嫁入りしたという噂を聞いたけど、体よく奴隷として売り飛ばされるのが関の山ではないかしら。
仮にも一国の皇太子を名乗っているのだから、それなりの地位の妻を欲しがるでしょう。どこから連れてきた女なのか知らないけど、従者もなく1人だけで連れてこられている時点で、大したことはないわ。
あのライアン皇太子がどこで本性を現すかしら。いえ、もしかしたらもう売り飛ばされている頃かもしれないわね。
ちょうど密偵が新しい情報を持ってきたし、高みの見物と……
…………
…………
何ですって!?
ゴホン、どうやら、そう悠長なことを言ってはいられなくなったわ。
いま密偵がもたらした情報によれば、西の大国……ガーディアス帝国がアーヴィック王国への侵攻計画を立てているようなの。普通ならクロスナイツ遠征をしている我が国を狙ってきそうなモノなのだけど、どうやら帝国はアーヴィック王国に内偵を放っているらしく、内部の状況が丸わかりみたい。
なぜそんなことを私が知っているのか……だって?
ふふふ、私は聡明な王女にして令嬢よ。ヴァーカリミリズス信者はアーヴィック王国にもガーディアス帝国にもいるわ。信徒たちの力を使えば、情報などいくらでも入ってくるモノなの。
クーデターを画策した時だって、どの家臣が不満を持っているのかなんてことは、信徒を通して伝わってきたからね。やはり宗教ほど強いものはこの世にはないわ。
これはチャンスよ。すぐに我が国もガーディアス帝国の動きに合わせて、アーヴィック王国の北側に聖戦を仕掛けないと!
私はすぐに父上にそのことを伝えました。ただ伝えるだけでなく、このまま黙って見過ごせば、我が国は西側だけでなく南側にあるアーヴィック王国側もガーディアス帝国に囲まれて、同時侵攻を受ける形になってしまう。
そこまできちんと伝えたのに、父上は「だからお前は何度言ったらわかるのだ! まず優先するのは約束の地の奪還だ! それに聖騎士団の大半が出払っているから、侵攻できるような戦力は残っていない!!」ですって!
それだけでも腹立たしいのに、腹心の参謀まで「これは絶好の機会ですぞ。ガーディアスがアーヴィックを攻めているうちに、我らは東側の小国を征服しましょう!」ですって!
そんなことしている場合じゃないの。一体いつになったら、アーヴィック征服ができるのよ!
父上も「そうだな。その策で行こう」じゃないのよ。
どいつもこいつも無能揃いなんだから!!
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