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22.勇者マックス
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有翼人カテリーナの使い魔たちは、冒険者街の様々な所に降り立つと、調査を開始した。
まず、ハトが目をつけたのは冒険者が集まる酒場だ。
そこにはベテラン風の冒険者から、駆け出しの若者まで、様々な者たちが集まって雑談をしている。
その話題の半分近くが、勇者に関するものだった。真否のほどはわからないが、5人パーティーという説が有力そうだ。
そのころ水鳥は、水面に浮かびながら舟のそばを漂っていた。そこには行商人2人が乗っており、やはり勇者の話をしている。
彼らの話によると、勇者の名前はマックス。
異世界転移者のひ孫で、茶髪の25歳くらいの青年だという。
また同じころ、カラスは屋根の上で鳴きながら、街の様子を眺めていた。その視線を下げると、ちょうど路地裏の物乞いたちが、なにやら話をしている。
物乞いたちは、教会の炊き出しが急に増えたと言っていた。
更に、マックス勇者隊は、パーティーメンバーの中に神父やシスターを入れずに、エルフなどの異教徒を入れており、教会と関係が良くないという話もしている。
それぞれの鳥たちは、翌日まで情報収集をすると、僕やカテリーナの元に情報を届けてくれた。
「なるほど。行商人や物乞いの話だと、近付いているのはマックスという名の勇者みたいだね」
僕はそう納得したが、ジルーな不思議そうに質問してきた。
「ねえ、どうして物乞いに勇者の動向がわかるの?」
その話を聞いたカラスは、「かぁ~かぁ~」と返事をした。
カテリーナが代わりに答えていく。
「どうやら物乞いの中に、お金持ちの人間の動向を探る能力の持ち主がいるそうです」
「そんな能力の持ち主がいるのか……」
そう感心していると、カラスはまた鳴き声を上げた。
「その人物は、千里眼は確かなんだけど、仲間に加えるのはお勧めしない。普段は風呂や着替えを覗くために能力を使ってる……だそうです」
確かに、そんな人物を入れたら、いろいろと揉め事を起こしそうだ。
やはり、何よりも重要視しなければならないのは人格か。
「マックスという勇者の年齢や、仲間の数に見当はつきましたが……まだまだわからないことも多いですね」
フリーダが言うと、カテリーナも頷いた。
「そうですね……しかし、使い魔たちで嗅ぎ回っていると、冒険者街の探索系能力者や、勇者一行に気付かれる恐れもあります」
僕としても、使い魔の数が減るというのは困る。
「わかった。けっこう情報も入ったし、後は勇者が来たかどうかだけ調べればいい」
「わかりました。では、安全な場所から最低限の監視だけを続けます」
こうしてカテリーナは、森の奥から冒険者街の出入り口だけに絞って監視を続けた。
彼女が次に僕に報告をしたのは、3日後のことだった。
「チャンスコネクターさま」
「どうしたんだい?」
「勇者マックス一行と思しき、冒険者パーティーを発見……冒険者街へと入るのを確認しました」
「わかった。ありがとう」
この時には、隣のオスカーにも勇者の噂を伝えていたので、ミニオスカーもどこか緊張した様子で頷いた。
「いよいよ……ですか……」
「冒険者街という場所に来たということは、ほぼ何かを討伐しに来たってことだもんね」
ジルーが言うとカテリーナも頷く。
「はい。その対象が我々……ということではないことを祈るしかありません」
そこまで話を聞くと、僕は自分のポイントの確認をした。
【SP384/440】
―――――――――――――――――――
100P 魔将軍の求人票作成
100P 分身召喚(最大2頭まで)
100P 狛犬の台生成(分身が必要)
100P 地属性習得
200P 炎属性レベル2習得
50P エリアマスター除名チケット
5P ゴブリン召喚
10P 従者の首輪
10P 宝箱設置
50P 鍵付き宝箱設置
30P 大銀貨5枚生成
50P 小金貨1枚生成
―――――――――――――――――――
何というか、この魔王の力には恐れ入る。
僕がマナポイントが欲しいと思ったら、神社を建てる能力が出て来るし、敵との戦いを強く意識すると魔法力を強化する特殊能力が出現するのだ。
まずは地属性を習得すると、僕の周囲には砂の粒子のようなモノが飛び交いはじめ、次に炎属性のレベル2を習得すると、僕の周りの気温が上がった。
【SP384→84】
「……あるじさま。霊力が一気に強くなりましたが……何か購入なさいましたか?」
「というか、角が長くなってるし!」
フリーダやジルーが質問してきたので、僕はすぐに答えた。
「ああ、大地属性を習得して、更に炎属性の能力を拡張した」
そう伝えると、フリーダは嬉しそうに微笑んだ。
「それは心強いです!」
僕はカテリーナを見た。
「カテリーナ。野鳥の安全を最優先に、勇者の動向を監視してくれ」
そう伝えると、彼女もまた微笑みながら「ははっ!」と頷く。
こちらとしては、戦いの最低限の準備は出来ている。勇者はどう動くだろうか?
【カテリーナの使い魔】
彼女は鳥使いのため、多くの鳥を従えている。
今のところは、ハト、カラス、マガモ、ツバメ、スズメ、コマドリ、コゲラ、ハクチョウがいるようだ。
まず、ハトが目をつけたのは冒険者が集まる酒場だ。
そこにはベテラン風の冒険者から、駆け出しの若者まで、様々な者たちが集まって雑談をしている。
その話題の半分近くが、勇者に関するものだった。真否のほどはわからないが、5人パーティーという説が有力そうだ。
そのころ水鳥は、水面に浮かびながら舟のそばを漂っていた。そこには行商人2人が乗っており、やはり勇者の話をしている。
彼らの話によると、勇者の名前はマックス。
異世界転移者のひ孫で、茶髪の25歳くらいの青年だという。
また同じころ、カラスは屋根の上で鳴きながら、街の様子を眺めていた。その視線を下げると、ちょうど路地裏の物乞いたちが、なにやら話をしている。
物乞いたちは、教会の炊き出しが急に増えたと言っていた。
更に、マックス勇者隊は、パーティーメンバーの中に神父やシスターを入れずに、エルフなどの異教徒を入れており、教会と関係が良くないという話もしている。
それぞれの鳥たちは、翌日まで情報収集をすると、僕やカテリーナの元に情報を届けてくれた。
「なるほど。行商人や物乞いの話だと、近付いているのはマックスという名の勇者みたいだね」
僕はそう納得したが、ジルーな不思議そうに質問してきた。
「ねえ、どうして物乞いに勇者の動向がわかるの?」
その話を聞いたカラスは、「かぁ~かぁ~」と返事をした。
カテリーナが代わりに答えていく。
「どうやら物乞いの中に、お金持ちの人間の動向を探る能力の持ち主がいるそうです」
「そんな能力の持ち主がいるのか……」
そう感心していると、カラスはまた鳴き声を上げた。
「その人物は、千里眼は確かなんだけど、仲間に加えるのはお勧めしない。普段は風呂や着替えを覗くために能力を使ってる……だそうです」
確かに、そんな人物を入れたら、いろいろと揉め事を起こしそうだ。
やはり、何よりも重要視しなければならないのは人格か。
「マックスという勇者の年齢や、仲間の数に見当はつきましたが……まだまだわからないことも多いですね」
フリーダが言うと、カテリーナも頷いた。
「そうですね……しかし、使い魔たちで嗅ぎ回っていると、冒険者街の探索系能力者や、勇者一行に気付かれる恐れもあります」
僕としても、使い魔の数が減るというのは困る。
「わかった。けっこう情報も入ったし、後は勇者が来たかどうかだけ調べればいい」
「わかりました。では、安全な場所から最低限の監視だけを続けます」
こうしてカテリーナは、森の奥から冒険者街の出入り口だけに絞って監視を続けた。
彼女が次に僕に報告をしたのは、3日後のことだった。
「チャンスコネクターさま」
「どうしたんだい?」
「勇者マックス一行と思しき、冒険者パーティーを発見……冒険者街へと入るのを確認しました」
「わかった。ありがとう」
この時には、隣のオスカーにも勇者の噂を伝えていたので、ミニオスカーもどこか緊張した様子で頷いた。
「いよいよ……ですか……」
「冒険者街という場所に来たということは、ほぼ何かを討伐しに来たってことだもんね」
ジルーが言うとカテリーナも頷く。
「はい。その対象が我々……ということではないことを祈るしかありません」
そこまで話を聞くと、僕は自分のポイントの確認をした。
【SP384/440】
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100P 魔将軍の求人票作成
100P 分身召喚(最大2頭まで)
100P 狛犬の台生成(分身が必要)
100P 地属性習得
200P 炎属性レベル2習得
50P エリアマスター除名チケット
5P ゴブリン召喚
10P 従者の首輪
10P 宝箱設置
50P 鍵付き宝箱設置
30P 大銀貨5枚生成
50P 小金貨1枚生成
―――――――――――――――――――
何というか、この魔王の力には恐れ入る。
僕がマナポイントが欲しいと思ったら、神社を建てる能力が出て来るし、敵との戦いを強く意識すると魔法力を強化する特殊能力が出現するのだ。
まずは地属性を習得すると、僕の周囲には砂の粒子のようなモノが飛び交いはじめ、次に炎属性のレベル2を習得すると、僕の周りの気温が上がった。
【SP384→84】
「……あるじさま。霊力が一気に強くなりましたが……何か購入なさいましたか?」
「というか、角が長くなってるし!」
フリーダやジルーが質問してきたので、僕はすぐに答えた。
「ああ、大地属性を習得して、更に炎属性の能力を拡張した」
そう伝えると、フリーダは嬉しそうに微笑んだ。
「それは心強いです!」
僕はカテリーナを見た。
「カテリーナ。野鳥の安全を最優先に、勇者の動向を監視してくれ」
そう伝えると、彼女もまた微笑みながら「ははっ!」と頷く。
こちらとしては、戦いの最低限の準備は出来ている。勇者はどう動くだろうか?
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彼女は鳥使いのため、多くの鳥を従えている。
今のところは、ハト、カラス、マガモ、ツバメ、スズメ、コマドリ、コゲラ、ハクチョウがいるようだ。
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