16 / 36
16.ウエディングリングとかいうアイテム
しおりを挟む
フリーダとジルーは、宝箱を設置すると戻ってきた。
「宝箱の設置が終わりました」
「こっちもです!」
「ああ、お疲れ様……」
そう言いながら2人に挨拶したが、ジルーは不思議そうな顔で、僕の手鏡を見た。
「何だか、鏡の位置が変わっていますけど、何か見ていましたか?」
「あ、ああ……自分のポイントの確認をしていたんだけどね……」
「…………」
何だかジルーは、僕の鏡に興味を示していたようだが、すぐに表情を戻した。さすがに、僕の能力を許可なく見るのもマナー違反だと思ったのだろう。
彼女たちは、これ以上は何か言ってくることはなかったが、実はお隣さん魔王であるオスカーもまた、同じアイテムを見て唸っていた。
因みに、これは後日に本人から聞いた話である。
「婚約指輪かぁ……」
婚約指輪というアイテムの使い方は2つある。
1つ目は、すでに対象とする女性がいる場合。その場合は指輪をプレゼントして、受け取るか辞退するかを選んでもらうことになる。
受け取ってもらえた場合は、そのまま婚約が成立したことになり、妻となった女性の霊力を強化したり、子供を授かる確率を上げるなど、様々な恩恵を受けることができる。
そして女性に辞退されたときも、メンタル的にはきついが、指輪をスペシャルポイントに再変換することができるのだ。そうすれば全体ポイントの9割が帰ってくる。
そして、配下や同盟相手などに女性のいないオスカーは、2つ目の方法を使ったようだ。
「モノは試しだ……やってみるか!」
彼は婚約指輪を出すと、能力を発動!
すると、彼の前には3人の女性の影が現れたのである。
1人目は、エルフの女性。
彼女のスペック……年齢は人間換算で38歳。
仕官、就職、結婚の経験は無し。いや待て……エルフは長命なのに仕官経験が無いというのは、今まで彼女は何をしていたんだろう。
基本霊力も40程度なので、修業と言うセンもなさそうだ。というかハイエルフとはいえ、まだ若いフリーダで基本霊力は150だ。
さすがのオスカーも、これを見て引きつったようだ。
「……うわ、低スペックだな。まあ、俺も3流魔王なんだから、エルフが出て来ただけでもありがたいのか」
彼は気を取り直して鼻先で鏡をスライドさせた。
実は、このウエディングリングには、相手の要望を見る力もある。
映し出されたエルフ女性の希望は……
まずは結婚相手は、魔王かダンジョンマスターであること。
次に正室しか認めないし、側室を取ることは許さない。
3番目に、自分をエリアマスターの地位を与え、かつ一番安全なボスエリアの奥に配置すること。
4番目に、魔王の年齢は30代まで。更に人間タイプで身長が175センチメートル以上あること。
5番目に、自分は霊力が低いので、月当たり100のスペシャルポイントをお小遣いとしてくれること。
「…………」
オスカーは、その地獄のような要望を見て「ねーわ……」と思ったようだ。
確かに、たとえフリーダクラスだったとしても、こんな要求をするような人間を置いておけるほど、僕たち弱者魔王に余裕はない。
「次だ次!」
指輪が映し出した2人目は、ヒューマンの女性。
彼女のスペック……年齢18歳。
仕官、就職の経験は無し。まあ、彼女の場合はまだ未成年なのだから、仕官経験が無いのは当然かもしれない。
基本霊力は30か。まあヒューマンの中では可もなく不可もなくという感じだ。
ここまでは良かったが、オスカーは表情を変えた。
なんと彼女はバツイチで子持ち。しかも、浮気の経験があり、元夫のダンジョンマスターから500ポイントの慰謝料を請求されている。
その事実に目を通したオスカーは、すぐに「次だ次!」という声を上げていた。
残念だし当然の結果か。
指輪が映し出した3人目は、マーフォークの女性。
彼女のスペックは……年齢25歳。
今は中堅クラスの魔王の元で働いているようだ。
しかも基本霊力が60という高さ。マーフォークの中でも、これはなかなか優秀だ。
オスカーはうんうんと頷きながら続きに目を通すが、続きを見ると表情を変えたそうだ。
何と、いま働いている魔王がこんなコメントを出していたのだ。
【引き取ってくれる魔王かダンジョンマスターを募集。成婚した暁にはSP200ポイント進呈!】
その一言でオスカーはギョッとしたようだ。
詳しく魔王のコメントを読むと、どうやらこのマーフォークの女性は、思い込みが激しいらしく、今の魔王に対してストーキング行為を繰り返しているらしい。
また、正室の女性にも危害を加えようとする辺りで、なかなかのヤバさを感じたという。
「マジかよ……全部ハズレじゃん……」
全てのノーと答えるとウエディングリングは消滅し、彼の元には半分の50ポイントだけが戻ってきた。
確かにこれで50ポイントも削られるのだから、損した気分になるのも頷ける。
「今度は正規の魔将を雇った方がいいかもなぁ……安物買いの銭失いと言うし」
その話を後日聞いて、僕も自分の肝に銘じることにした。
【オスカー(実は分身の方がモテる疑惑)】
「宝箱の設置が終わりました」
「こっちもです!」
「ああ、お疲れ様……」
そう言いながら2人に挨拶したが、ジルーは不思議そうな顔で、僕の手鏡を見た。
「何だか、鏡の位置が変わっていますけど、何か見ていましたか?」
「あ、ああ……自分のポイントの確認をしていたんだけどね……」
「…………」
何だかジルーは、僕の鏡に興味を示していたようだが、すぐに表情を戻した。さすがに、僕の能力を許可なく見るのもマナー違反だと思ったのだろう。
彼女たちは、これ以上は何か言ってくることはなかったが、実はお隣さん魔王であるオスカーもまた、同じアイテムを見て唸っていた。
因みに、これは後日に本人から聞いた話である。
「婚約指輪かぁ……」
婚約指輪というアイテムの使い方は2つある。
1つ目は、すでに対象とする女性がいる場合。その場合は指輪をプレゼントして、受け取るか辞退するかを選んでもらうことになる。
受け取ってもらえた場合は、そのまま婚約が成立したことになり、妻となった女性の霊力を強化したり、子供を授かる確率を上げるなど、様々な恩恵を受けることができる。
そして女性に辞退されたときも、メンタル的にはきついが、指輪をスペシャルポイントに再変換することができるのだ。そうすれば全体ポイントの9割が帰ってくる。
そして、配下や同盟相手などに女性のいないオスカーは、2つ目の方法を使ったようだ。
「モノは試しだ……やってみるか!」
彼は婚約指輪を出すと、能力を発動!
すると、彼の前には3人の女性の影が現れたのである。
1人目は、エルフの女性。
彼女のスペック……年齢は人間換算で38歳。
仕官、就職、結婚の経験は無し。いや待て……エルフは長命なのに仕官経験が無いというのは、今まで彼女は何をしていたんだろう。
基本霊力も40程度なので、修業と言うセンもなさそうだ。というかハイエルフとはいえ、まだ若いフリーダで基本霊力は150だ。
さすがのオスカーも、これを見て引きつったようだ。
「……うわ、低スペックだな。まあ、俺も3流魔王なんだから、エルフが出て来ただけでもありがたいのか」
彼は気を取り直して鼻先で鏡をスライドさせた。
実は、このウエディングリングには、相手の要望を見る力もある。
映し出されたエルフ女性の希望は……
まずは結婚相手は、魔王かダンジョンマスターであること。
次に正室しか認めないし、側室を取ることは許さない。
3番目に、自分をエリアマスターの地位を与え、かつ一番安全なボスエリアの奥に配置すること。
4番目に、魔王の年齢は30代まで。更に人間タイプで身長が175センチメートル以上あること。
5番目に、自分は霊力が低いので、月当たり100のスペシャルポイントをお小遣いとしてくれること。
「…………」
オスカーは、その地獄のような要望を見て「ねーわ……」と思ったようだ。
確かに、たとえフリーダクラスだったとしても、こんな要求をするような人間を置いておけるほど、僕たち弱者魔王に余裕はない。
「次だ次!」
指輪が映し出した2人目は、ヒューマンの女性。
彼女のスペック……年齢18歳。
仕官、就職の経験は無し。まあ、彼女の場合はまだ未成年なのだから、仕官経験が無いのは当然かもしれない。
基本霊力は30か。まあヒューマンの中では可もなく不可もなくという感じだ。
ここまでは良かったが、オスカーは表情を変えた。
なんと彼女はバツイチで子持ち。しかも、浮気の経験があり、元夫のダンジョンマスターから500ポイントの慰謝料を請求されている。
その事実に目を通したオスカーは、すぐに「次だ次!」という声を上げていた。
残念だし当然の結果か。
指輪が映し出した3人目は、マーフォークの女性。
彼女のスペックは……年齢25歳。
今は中堅クラスの魔王の元で働いているようだ。
しかも基本霊力が60という高さ。マーフォークの中でも、これはなかなか優秀だ。
オスカーはうんうんと頷きながら続きに目を通すが、続きを見ると表情を変えたそうだ。
何と、いま働いている魔王がこんなコメントを出していたのだ。
【引き取ってくれる魔王かダンジョンマスターを募集。成婚した暁にはSP200ポイント進呈!】
その一言でオスカーはギョッとしたようだ。
詳しく魔王のコメントを読むと、どうやらこのマーフォークの女性は、思い込みが激しいらしく、今の魔王に対してストーキング行為を繰り返しているらしい。
また、正室の女性にも危害を加えようとする辺りで、なかなかのヤバさを感じたという。
「マジかよ……全部ハズレじゃん……」
全てのノーと答えるとウエディングリングは消滅し、彼の元には半分の50ポイントだけが戻ってきた。
確かにこれで50ポイントも削られるのだから、損した気分になるのも頷ける。
「今度は正規の魔将を雇った方がいいかもなぁ……安物買いの銭失いと言うし」
その話を後日聞いて、僕も自分の肝に銘じることにした。
【オスカー(実は分身の方がモテる疑惑)】
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる