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11.迷いの森エリアの戦い
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オスカーの救援に向かったジルーは、迷いの森エリアへと突入した。
すると、ちょうど仲間とはぐれたコボルドが歩いており、ジルーは軽やかな足取りで近づいていく。
彼女は素早い斬撃を浴びせ、コボルドは反応すらできずに倒された。
どうやら、コボルドはオオカミのような姿をしているが、ジルーほど鼻は利かないようだ。
「残り……8」
彼女は、本物の野生のオオカミのように目を動かしながら周囲を睨む。
間もなく次の獲物を見つけたらしく、素早く駆け寄ると、木陰から飛び出し、相手が反応するよりも前に一撃を浴びせて倒した。
「残り……7」
ジルーは耳をピクリと動かすと、素早い動きで木をよじ登っていき、枝の上で待機した。
間もなくコボルド2匹が、槍を背中に担いだまま辺りを見渡しながら歩いていく。
こいつらはジルーの存在に気付かないまま通り過ぎると、彼女はナイフを構えて飛び降りざまに1人を倒した。
もう1人が驚いて振り返ると同時に、ジルーは間髪入れずに攻撃を浴びせて倒した。
ここまでのやり取りを見ていたフリーダは、不思議そうにつぶやく。
「なぜ、ここまで敵を倒しているのに、ジルーさんは気付かれないのでしょう? ナイフには血もついていると思いますが……」
「詳しいことはわからないけど、この迷いの森に臭いを消す力があるのかもしれないね」
そこまでは順調に敵を倒したが、ここで迷いの森の空間が不安定になったようだ。
ジルーが驚いた様子で周囲を見ると、コボルドたちにも嗅覚が戻ったらしく声が聞こえてくる。
「な、なんだ……いま、血の臭いがしたぞ!?」
「それだけじゃねえ、メスの犬女の臭いもした……こっちだ!」
コボルドはそう叫びながらジルーに近づいてくる。
そう言えば、ウェアウルフは自然界に生み出された種族なのに対し、コボルドは魔王が作り出したクリーチャーなので、お互いを苦々しく思っているのだった。
だからこそ、コボルドたちは草の根を分けてでもウェアウルフのジルーを探し出そうとしていた。
「おい、ポッチがやられてるぞ!」
「こっちじゃ、ペスーがやられてる!」
「くそ、イヌ女め……」
「どこに隠れやがった!」
ジルーは樹木の影に身を隠すと、敵の捜索をやり過ごしてから機を窺っている。
今はもう、迷いの森エリアの効果はなくなっていき、少しずつ普通のダンジョンに戻ろうとしていた。
コボルドの声が聞こえてきた。
「おい、こっちからシカの臭いがするぞ!」
「よし、先にそっちをやる! 女は後回しだ!!」
「おう!」
そう叫びながらコボルドたちは、オスカーのいるボスエリアへと向かった。
オスカーは、既に戦いの準備を整えており、コボルドが槍を構えて向かっていくと、自慢の角で相当たりを見舞う。
「ごぎゃ!?」
「はごら!」
「のビシュ!?」
コボルドの槍は、オスカーの身体に当たっていたものの、彼の体は大地の加護を受けているため、毛皮が堅くなっており槍をへし折ったうえに、コボルドたちを転倒させた。
まったく。恐ろしいパワーとタフネスだ。本当に彼が味方で良かったと思える。
あとから駆け付けた2匹のコボルドは、返り討ちに遭った3匹のコボルドを見て驚き止まっていた。
間もなく、この2匹は逃げようとするも、追撃してきたジルーにまず片方が倒され、最後の1匹は逃げようとするものの、オスカーの体当たりを受けてあっという間に倒された。
「ありがとう。なんとか、敵を残らず全滅させることができた」
彼はそう言うと、謝礼のスペシャルポイントを出した。
「少ないが、受け取ってほしい」
その光の粒子を受け取ると、ジルーはお辞儀をしてオスカーのダンジョンを後にした。
彼女はそのまま、僕たちのいるボスエリアにやってくると、受け取った光の粒子を差し出す。
「魔王さま。オスカーさまからお礼を頂きました」
「わかった。ありがとう」
受け取ってみると、なんと20ポイントを包んでくれたことがわかった。
「オスカーも、ムチャしやがって……」
【SP65→85】
そう呟くと、隣りにいるフリーダも微笑みながら言った。
「あるじさま。この度のジルーの働きは、とても素晴らしいモノだとおもいます。ぜひ、感謝状を進呈してはいかがでしょう?」
感謝状。
戦国時代とかで、大名が家来にあげていた、御礼状のようなモノか。
「…………!」
そう思ったとき、僕の角が光を放った。
なんだか、インスピレーションが湧いてきた気がする!!
【迷いの森】
またの名を【魔宵の森】。オスカーが得意とする特殊空間である。
彼や仔鹿が霊力を放出すると、何の変哲もない雑木林でも、攻略が困難な森ダンジョンに豹変させることが可能。
効果時間は、彼らの霊力に比例する。
すると、ちょうど仲間とはぐれたコボルドが歩いており、ジルーは軽やかな足取りで近づいていく。
彼女は素早い斬撃を浴びせ、コボルドは反応すらできずに倒された。
どうやら、コボルドはオオカミのような姿をしているが、ジルーほど鼻は利かないようだ。
「残り……8」
彼女は、本物の野生のオオカミのように目を動かしながら周囲を睨む。
間もなく次の獲物を見つけたらしく、素早く駆け寄ると、木陰から飛び出し、相手が反応するよりも前に一撃を浴びせて倒した。
「残り……7」
ジルーは耳をピクリと動かすと、素早い動きで木をよじ登っていき、枝の上で待機した。
間もなくコボルド2匹が、槍を背中に担いだまま辺りを見渡しながら歩いていく。
こいつらはジルーの存在に気付かないまま通り過ぎると、彼女はナイフを構えて飛び降りざまに1人を倒した。
もう1人が驚いて振り返ると同時に、ジルーは間髪入れずに攻撃を浴びせて倒した。
ここまでのやり取りを見ていたフリーダは、不思議そうにつぶやく。
「なぜ、ここまで敵を倒しているのに、ジルーさんは気付かれないのでしょう? ナイフには血もついていると思いますが……」
「詳しいことはわからないけど、この迷いの森に臭いを消す力があるのかもしれないね」
そこまでは順調に敵を倒したが、ここで迷いの森の空間が不安定になったようだ。
ジルーが驚いた様子で周囲を見ると、コボルドたちにも嗅覚が戻ったらしく声が聞こえてくる。
「な、なんだ……いま、血の臭いがしたぞ!?」
「それだけじゃねえ、メスの犬女の臭いもした……こっちだ!」
コボルドはそう叫びながらジルーに近づいてくる。
そう言えば、ウェアウルフは自然界に生み出された種族なのに対し、コボルドは魔王が作り出したクリーチャーなので、お互いを苦々しく思っているのだった。
だからこそ、コボルドたちは草の根を分けてでもウェアウルフのジルーを探し出そうとしていた。
「おい、ポッチがやられてるぞ!」
「こっちじゃ、ペスーがやられてる!」
「くそ、イヌ女め……」
「どこに隠れやがった!」
ジルーは樹木の影に身を隠すと、敵の捜索をやり過ごしてから機を窺っている。
今はもう、迷いの森エリアの効果はなくなっていき、少しずつ普通のダンジョンに戻ろうとしていた。
コボルドの声が聞こえてきた。
「おい、こっちからシカの臭いがするぞ!」
「よし、先にそっちをやる! 女は後回しだ!!」
「おう!」
そう叫びながらコボルドたちは、オスカーのいるボスエリアへと向かった。
オスカーは、既に戦いの準備を整えており、コボルドが槍を構えて向かっていくと、自慢の角で相当たりを見舞う。
「ごぎゃ!?」
「はごら!」
「のビシュ!?」
コボルドの槍は、オスカーの身体に当たっていたものの、彼の体は大地の加護を受けているため、毛皮が堅くなっており槍をへし折ったうえに、コボルドたちを転倒させた。
まったく。恐ろしいパワーとタフネスだ。本当に彼が味方で良かったと思える。
あとから駆け付けた2匹のコボルドは、返り討ちに遭った3匹のコボルドを見て驚き止まっていた。
間もなく、この2匹は逃げようとするも、追撃してきたジルーにまず片方が倒され、最後の1匹は逃げようとするものの、オスカーの体当たりを受けてあっという間に倒された。
「ありがとう。なんとか、敵を残らず全滅させることができた」
彼はそう言うと、謝礼のスペシャルポイントを出した。
「少ないが、受け取ってほしい」
その光の粒子を受け取ると、ジルーはお辞儀をしてオスカーのダンジョンを後にした。
彼女はそのまま、僕たちのいるボスエリアにやってくると、受け取った光の粒子を差し出す。
「魔王さま。オスカーさまからお礼を頂きました」
「わかった。ありがとう」
受け取ってみると、なんと20ポイントを包んでくれたことがわかった。
「オスカーも、ムチャしやがって……」
【SP65→85】
そう呟くと、隣りにいるフリーダも微笑みながら言った。
「あるじさま。この度のジルーの働きは、とても素晴らしいモノだとおもいます。ぜひ、感謝状を進呈してはいかがでしょう?」
感謝状。
戦国時代とかで、大名が家来にあげていた、御礼状のようなモノか。
「…………!」
そう思ったとき、僕の角が光を放った。
なんだか、インスピレーションが湧いてきた気がする!!
【迷いの森】
またの名を【魔宵の森】。オスカーが得意とする特殊空間である。
彼や仔鹿が霊力を放出すると、何の変哲もない雑木林でも、攻略が困難な森ダンジョンに豹変させることが可能。
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