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龍之介、正社員に……
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彼女が職場に来て、大分慣れたころ、僕こと龍之介にちょっとした昇進話があった。
実は、会社側から正社員にならないかという話があったのだ。
以前の僕なら、仕事が増えて面倒くさいとその話を蹴っていただろうけど、今の僕はその話を受けることにした。
なぜなら、彼女と一緒に過ごすうえでワンルームでは狭いからだ。年収も220万円から300万円ほどまで上がるので、悪い話ではない。
仕事が終わったところで、僕は休憩室に向かうと、そこでは恋人の咲良がスマートフォンから僕に視線を映した。
「ごめん、待たせたね!」
「待ったよ15分くらい♪」
その言葉に驚いた。てっきり1時間以上は待たせてしまったと思ったけど……
「ずいぶん長く働いてたんだね」
「ちょうど残業して欲しいって、管理者に言われたの」
「なるほど……」
間もなく、僕は帰り道で、正社員への登用があった話を彼女に伝えた。
「……というワケで、ちょっと残業とかも増えると思う」
そう伝えると、彼女こと咲良はいいなぁ……と言いたそうな表情をしていた。
「凄いなぁ……龍之介さんは……」
「咲良も頑張ってるじゃないか」
僕は周りを見ると、彼女の耳元でささやく。
「鈴木主任も近々……君をフルパートに誘おうかって話をしていたよ」
「それ本当!?」
咲良は少し嬉しそうな顔をしたけれど、何か裏があるのかなと言いたそうな顔をしていた。
「……もしかして、前に1人フルパートさんが辞めたよね。もしかして……その代わり?」
さすがに彼女なら、そういうこともわかるか……と思いながら頷いた。
「さすがに解りやすかったかな。咲良は仕事も慣れてきたからミスもかなり減ったし、どうだろうって主任が話をしているのを聞いたんだ」
「なるほど~」
僕たちは帰る途中で足を止めた。
ちょうど不動産会社があって、色々な物件を紹介していたからだ。
「ちょっと見ていくかい?」
そう提案してみると、咲良も笑顔で「うん!」と答えた。こうして、2人で新しい部屋の物件を見るだけでも楽しいものだ。
一つ一つ部屋をチェックすると、例えばここは日当たりがよさそうとか、ここは駐車場があるから車を持ったときにお得とか、隣の県ならゴミ出しが楽とか、色々なことを話し合える。
そんなことをしていると、空もすっかりと暗くなってきたので、僕たちはとりあえず家に帰ることにした。
「でも、新しくどこかを借りるのなら、頭金とか必要だよね?」
彼女がそう聞いてきたので、僕も頷いた。
「そうだね……僕の今住んでいる安アパートも、入居する時には20万近くかかったから、両親から借金したんだった……」
そういうことを思い出すと、貯金50万円ではとても少ないことに気が付かされる。
「……いけないな。もっと貯金しておかないと……」
「私も協力するよ。今月からはお給料も入るし、お家賃出すね!」
その言葉を聞いて、僕はホッとしていた。
そうだった。今までは僕一人で何とかしなければならなかったけれど、これからは咲良も一緒なんだ。
「そうだったね。僕には咲良がいる……頼りにしているよ!」
そう伝えると、咲良は嬉しいような、困ったような表情をしている。
「そう言ってくれるのは嬉しいけど……私、ダメダメ人間だから……」
「そんなことはないよ」
僕はまっすぐに咲良を見下ろすと、彼女は顔を赤らめていた。そして照れているらしく目を逸らしている。なんて可愛らしい仕草だろう。
「君が居てくれるおかげで、僕も明日から頑張ろうって思えるようになったんだ」
「…………」
普段だったら、絶対に恥ずかしくて言えないことだけど、何だろう。夕暮れ時だったからだろうか。それとも周りに人がいなかったからだろうか。
通り抜けていく車の騒音がちょうどいい感じに言葉を隠してくれたからこそ、僕は言うことができた。
「大好きだよ……」
「……わ、私も……です!」
「もし、一緒になれることがあったら……あの神様の神社で……どうだろう?」
そう伝えると、咲良は頬を赤らめながら……嬉しそうに頷いてくれた。
【嬉しそうな神の眷属】
【作者スィグからの挨拶】
最後まで、【ハイエルフ少女と三十路弱者男の冒険者ワークライフ ~最初は弱いが、努力ガチャを引くたびに強くなる~】をお読みくださり、誠にありがとうございます!
皆さんのおかげで、当作品は男性ホットランキングで1位を獲得することができました。
重ねてお礼を申し上げます。
今までにも、様々な主人公を書いてきましたが、欠点や失敗をする主人公が少ないことに気付き、やる時はやるけどしょうもないことをする。というタイプの男を出そうと思い、リューノはこのような性格になりました。
そんな男でも生活できるような懐の深い世界がいいなと思いながら異世界を考えていましたが、現実世界も決してそんなに懐が狭いわけではないということにも気が付いたので、どちらにも主人公を配置するという方法で書いてみることにしてみました。
そうしたら、普段に日本で暮らしている時の主人公という一面も表現することができて、個人的には満足できる結果となりました。正直、彼のしょうもない部分は、筆者に似ていると感じています(爆)
では最後に、新規の作品の構想について、簡単に紹介させていただきます。
次回はペガサスに跨る天馬騎士を題材に作品を作ろうと考えています。主人公は異世界転生した青年で、その妹がペガサスナイトを目指しているため、彼女を支える物語を計画しています。
11月の後半までに、投稿を開始することを目標に筆を進めていきたいと思います。
では、短くはありますが……これで筆者からの挨拶とさせて頂きます。最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!
実は、会社側から正社員にならないかという話があったのだ。
以前の僕なら、仕事が増えて面倒くさいとその話を蹴っていただろうけど、今の僕はその話を受けることにした。
なぜなら、彼女と一緒に過ごすうえでワンルームでは狭いからだ。年収も220万円から300万円ほどまで上がるので、悪い話ではない。
仕事が終わったところで、僕は休憩室に向かうと、そこでは恋人の咲良がスマートフォンから僕に視線を映した。
「ごめん、待たせたね!」
「待ったよ15分くらい♪」
その言葉に驚いた。てっきり1時間以上は待たせてしまったと思ったけど……
「ずいぶん長く働いてたんだね」
「ちょうど残業して欲しいって、管理者に言われたの」
「なるほど……」
間もなく、僕は帰り道で、正社員への登用があった話を彼女に伝えた。
「……というワケで、ちょっと残業とかも増えると思う」
そう伝えると、彼女こと咲良はいいなぁ……と言いたそうな表情をしていた。
「凄いなぁ……龍之介さんは……」
「咲良も頑張ってるじゃないか」
僕は周りを見ると、彼女の耳元でささやく。
「鈴木主任も近々……君をフルパートに誘おうかって話をしていたよ」
「それ本当!?」
咲良は少し嬉しそうな顔をしたけれど、何か裏があるのかなと言いたそうな顔をしていた。
「……もしかして、前に1人フルパートさんが辞めたよね。もしかして……その代わり?」
さすがに彼女なら、そういうこともわかるか……と思いながら頷いた。
「さすがに解りやすかったかな。咲良は仕事も慣れてきたからミスもかなり減ったし、どうだろうって主任が話をしているのを聞いたんだ」
「なるほど~」
僕たちは帰る途中で足を止めた。
ちょうど不動産会社があって、色々な物件を紹介していたからだ。
「ちょっと見ていくかい?」
そう提案してみると、咲良も笑顔で「うん!」と答えた。こうして、2人で新しい部屋の物件を見るだけでも楽しいものだ。
一つ一つ部屋をチェックすると、例えばここは日当たりがよさそうとか、ここは駐車場があるから車を持ったときにお得とか、隣の県ならゴミ出しが楽とか、色々なことを話し合える。
そんなことをしていると、空もすっかりと暗くなってきたので、僕たちはとりあえず家に帰ることにした。
「でも、新しくどこかを借りるのなら、頭金とか必要だよね?」
彼女がそう聞いてきたので、僕も頷いた。
「そうだね……僕の今住んでいる安アパートも、入居する時には20万近くかかったから、両親から借金したんだった……」
そういうことを思い出すと、貯金50万円ではとても少ないことに気が付かされる。
「……いけないな。もっと貯金しておかないと……」
「私も協力するよ。今月からはお給料も入るし、お家賃出すね!」
その言葉を聞いて、僕はホッとしていた。
そうだった。今までは僕一人で何とかしなければならなかったけれど、これからは咲良も一緒なんだ。
「そうだったね。僕には咲良がいる……頼りにしているよ!」
そう伝えると、咲良は嬉しいような、困ったような表情をしている。
「そう言ってくれるのは嬉しいけど……私、ダメダメ人間だから……」
「そんなことはないよ」
僕はまっすぐに咲良を見下ろすと、彼女は顔を赤らめていた。そして照れているらしく目を逸らしている。なんて可愛らしい仕草だろう。
「君が居てくれるおかげで、僕も明日から頑張ろうって思えるようになったんだ」
「…………」
普段だったら、絶対に恥ずかしくて言えないことだけど、何だろう。夕暮れ時だったからだろうか。それとも周りに人がいなかったからだろうか。
通り抜けていく車の騒音がちょうどいい感じに言葉を隠してくれたからこそ、僕は言うことができた。
「大好きだよ……」
「……わ、私も……です!」
「もし、一緒になれることがあったら……あの神様の神社で……どうだろう?」
そう伝えると、咲良は頬を赤らめながら……嬉しそうに頷いてくれた。
【嬉しそうな神の眷属】
【作者スィグからの挨拶】
最後まで、【ハイエルフ少女と三十路弱者男の冒険者ワークライフ ~最初は弱いが、努力ガチャを引くたびに強くなる~】をお読みくださり、誠にありがとうございます!
皆さんのおかげで、当作品は男性ホットランキングで1位を獲得することができました。
重ねてお礼を申し上げます。
今までにも、様々な主人公を書いてきましたが、欠点や失敗をする主人公が少ないことに気付き、やる時はやるけどしょうもないことをする。というタイプの男を出そうと思い、リューノはこのような性格になりました。
そんな男でも生活できるような懐の深い世界がいいなと思いながら異世界を考えていましたが、現実世界も決してそんなに懐が狭いわけではないということにも気が付いたので、どちらにも主人公を配置するという方法で書いてみることにしてみました。
そうしたら、普段に日本で暮らしている時の主人公という一面も表現することができて、個人的には満足できる結果となりました。正直、彼のしょうもない部分は、筆者に似ていると感じています(爆)
では最後に、新規の作品の構想について、簡単に紹介させていただきます。
次回はペガサスに跨る天馬騎士を題材に作品を作ろうと考えています。主人公は異世界転生した青年で、その妹がペガサスナイトを目指しているため、彼女を支える物語を計画しています。
11月の後半までに、投稿を開始することを目標に筆を進めていきたいと思います。
では、短くはありますが……これで筆者からの挨拶とさせて頂きます。最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!
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