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28.スライム使いからの慰謝料
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間もなくメリザンドとアビゲイルは解放された。
スライム使いは、スライムで拘束していたブラウンスピアズのギルド員たちも解き放つと、僕たちはすぐにスライム使いを包囲。
彼女は再び両手を上げた。
「もう、抵抗する気もないわ。殺すなり兵士に突き出すなり……好きにしなさい」
「では……」
そう言いながらメリザンドは話を切り出した。
「私たちを拘束していたスライムの使役の仕方を教えて。そうすれば、業務を妨害したことを黙っていてもいいよ」
「賛成! 私もスライムを鎧代わりに使いたいです」
その話を聞いたスライム使いは困った顔をした。
「あまり教えたくはないんだけど、背に腹は代えられないわね……わかったわ」
「ふむ……ならば、我々からもよろしいか?」
そう話しかけたのは、ブラウンスピアズの小隊長だった。
「なあに?」
「貴殿が冒険者を捕獲したのは、これがはじめてか?」
「……ええ、スライムを使役できるようになったのは、最近だからね」
チラッとリットウシグレ号やメリザンドたちを見ると、彼らも頷いた。特に邪気に対して敏感そうな一角獣が頷いたのだから、スライム使いはウソは言っていないようだ。
小隊長も少し考えてから言った。
「なるほど……では……」
「なあに?」
「貴様のやったことは許されることではないが、我らも魔法使いが不足している。我が部隊に入隊するのなら、今回の件は……黙っていてもいい」
その話を聞いたメリザンドも頷いた。
「それは名案ですね。どうせ兵士たちに突き出しても、酷い環境の牢屋に放り込まれて病気になってしまうだけだし……仲間になってもらった方がずっといいと思う」
彼らの言葉を聞いて、スライム使いは表情を赤らめた。
「とんだお人好しな冒険者がいたものね……後で突き出していれば良かったとか言っても遅いわよ」
とか何とか言いながら、スライム使いはどこか嬉しそうだった。まあ、性格は少しひねくれていそうだから、正直に自分の気持ちを伝えられないのだろう。
スライム使いは、既にゴブリンたちを残らず捕えており、ブラウンスピアズの冒険者一行は、ゴブリンにとどめを刺しては耳を回収するという仕事をして戻ってきた。
「上層部には、ゴブリンの洞窟の在り処を探すのに手間取ったと伝えておきます。なので……」
「わかっていますよ。僕たちも同じように証言します」
こうして、僕たちは無事に任務も終わり、ブラウンスピアズの小隊長は中隊長から形式的なお説教を受けたが、スライム使いをスカウトしたということで、中隊長の心証も良くなったようだ。
「今日は、我々のために無理を聞いてくれてありがとう」
「フェルディナン隊の皆さんも、いろいろと大変だと思いますが……頑張ってください」
「ああ、では……失礼する」
フェルディナン隊が立ち去ると、シグレ号はすぐにメリザンドたちが使役しているホワイトスライムに視線を向けた。
「ところで、そのスライム……どのくらい耐久力があるんだい?」
「見た目よりも強力ですよ。これに拘束されていた時は、関節ひとつ動かせなかったほどだから」
「ふーん……じゃあ、軽く蹴ってもいい?」
「軽くとは言わずに、敵だと思って蹴っていいですよ」
「いや、さすがにそれはな……」
「お前のお母ちゃん未勝利……」
メリザンドが軽く挑発すると、シグレ号は耳を倒してからにっこりと笑った。
「野生馬なんだから当たり前でしょ」
「のろま」
「……ちょっとみんな、メリィから離れて」
その直後に、シグレ号はメリザンドに前脚蹴りを入れたが、メリィは人形のように修練場を飛びながら背中から倒れ込むものの、ゆっくりと立ち上がった。
「さすがに……けほ……痛かったな」
「……凄いね。今の……見てた!?」
シグレ号に言われ、僕もすぐに頷いた。
「ああ、お腹周りのスライムが鎧になったかと思ったら、背中のスライムがクッション代わりになっていたね」
「うん、恐らくだけど……そのスライムがあれば、レザーアーマーを付けているのと、同じくらいの耐久力があると思う」
アビゲイルも頷いた。
「うん、しかも……保温効果もあるから、冬は暖かいし夏は涼しいってスライム使いの人も言ってたよね」
何だその優れものは!?
そういうことなら僕も……と言いたいところだったけど、スライムは雷を嫌がるんだった。
トホホホ……
【ブラックスライムの使役に成功したメリザンド】
スライム使いは、スライムで拘束していたブラウンスピアズのギルド員たちも解き放つと、僕たちはすぐにスライム使いを包囲。
彼女は再び両手を上げた。
「もう、抵抗する気もないわ。殺すなり兵士に突き出すなり……好きにしなさい」
「では……」
そう言いながらメリザンドは話を切り出した。
「私たちを拘束していたスライムの使役の仕方を教えて。そうすれば、業務を妨害したことを黙っていてもいいよ」
「賛成! 私もスライムを鎧代わりに使いたいです」
その話を聞いたスライム使いは困った顔をした。
「あまり教えたくはないんだけど、背に腹は代えられないわね……わかったわ」
「ふむ……ならば、我々からもよろしいか?」
そう話しかけたのは、ブラウンスピアズの小隊長だった。
「なあに?」
「貴殿が冒険者を捕獲したのは、これがはじめてか?」
「……ええ、スライムを使役できるようになったのは、最近だからね」
チラッとリットウシグレ号やメリザンドたちを見ると、彼らも頷いた。特に邪気に対して敏感そうな一角獣が頷いたのだから、スライム使いはウソは言っていないようだ。
小隊長も少し考えてから言った。
「なるほど……では……」
「なあに?」
「貴様のやったことは許されることではないが、我らも魔法使いが不足している。我が部隊に入隊するのなら、今回の件は……黙っていてもいい」
その話を聞いたメリザンドも頷いた。
「それは名案ですね。どうせ兵士たちに突き出しても、酷い環境の牢屋に放り込まれて病気になってしまうだけだし……仲間になってもらった方がずっといいと思う」
彼らの言葉を聞いて、スライム使いは表情を赤らめた。
「とんだお人好しな冒険者がいたものね……後で突き出していれば良かったとか言っても遅いわよ」
とか何とか言いながら、スライム使いはどこか嬉しそうだった。まあ、性格は少しひねくれていそうだから、正直に自分の気持ちを伝えられないのだろう。
スライム使いは、既にゴブリンたちを残らず捕えており、ブラウンスピアズの冒険者一行は、ゴブリンにとどめを刺しては耳を回収するという仕事をして戻ってきた。
「上層部には、ゴブリンの洞窟の在り処を探すのに手間取ったと伝えておきます。なので……」
「わかっていますよ。僕たちも同じように証言します」
こうして、僕たちは無事に任務も終わり、ブラウンスピアズの小隊長は中隊長から形式的なお説教を受けたが、スライム使いをスカウトしたということで、中隊長の心証も良くなったようだ。
「今日は、我々のために無理を聞いてくれてありがとう」
「フェルディナン隊の皆さんも、いろいろと大変だと思いますが……頑張ってください」
「ああ、では……失礼する」
フェルディナン隊が立ち去ると、シグレ号はすぐにメリザンドたちが使役しているホワイトスライムに視線を向けた。
「ところで、そのスライム……どのくらい耐久力があるんだい?」
「見た目よりも強力ですよ。これに拘束されていた時は、関節ひとつ動かせなかったほどだから」
「ふーん……じゃあ、軽く蹴ってもいい?」
「軽くとは言わずに、敵だと思って蹴っていいですよ」
「いや、さすがにそれはな……」
「お前のお母ちゃん未勝利……」
メリザンドが軽く挑発すると、シグレ号は耳を倒してからにっこりと笑った。
「野生馬なんだから当たり前でしょ」
「のろま」
「……ちょっとみんな、メリィから離れて」
その直後に、シグレ号はメリザンドに前脚蹴りを入れたが、メリィは人形のように修練場を飛びながら背中から倒れ込むものの、ゆっくりと立ち上がった。
「さすがに……けほ……痛かったな」
「……凄いね。今の……見てた!?」
シグレ号に言われ、僕もすぐに頷いた。
「ああ、お腹周りのスライムが鎧になったかと思ったら、背中のスライムがクッション代わりになっていたね」
「うん、恐らくだけど……そのスライムがあれば、レザーアーマーを付けているのと、同じくらいの耐久力があると思う」
アビゲイルも頷いた。
「うん、しかも……保温効果もあるから、冬は暖かいし夏は涼しいってスライム使いの人も言ってたよね」
何だその優れものは!?
そういうことなら僕も……と言いたいところだったけど、スライムは雷を嫌がるんだった。
トホホホ……
【ブラックスライムの使役に成功したメリザンド】
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