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48.ザ・コレクションズを破れ!
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僕の身体は、真っ暗な空間に閉じ込められていた。
何の音もしない空間だったが、目の前には石を通して表の世界を辛うじて見ることができる。
そして、その静寂を破るように、スモック使いの声が聞こえてきた。
「あーーーっはっはっはっは……ざまぁ見やがれウマヤロー! これでお前も人質だ! お前のハーレム女どもが1人ずつコレクションされるのを指くわえてみてやがれ!!」
その言葉を聞いて、僕はほっと胸を撫でおろしていた。
どうやら男は、キンバリーに破られたことがあるにも関わらず、この石が絶対に脱出できない監獄か何かだと考えているようだ。
僕はゆっくりと目を閉じると、キンバリーのことを思い描いた。
イメージするのは1つ。あの左手の宝刀だ。あれを……固有魔法化できれば自力でここから出られる。
身近にいる仲間とは言っても、見ただけのモノを魔法化するなんて、一流の魔導師でもない限りは不可能な話だろう。普通は魔法の法則の全てを調べ上げ、書物にまとめて複数の魔法使いで話し合い、少しずつ作っていくのが一般魔法だ。
だけど、スモック使いの裏をかいて、完全に捕らえるにはやり切らないとならない。
僕は自分の頭の中に、キンバリーの今までの行動を思い浮かべた。短剣を出した時だけではない、魔法を使っているとき、食事をしているとき、一緒に笑いあっているとき。
その全てを思い返したとき、僕の角は光を放ちはじめたが、すぐに積み上げたトランプタワーが崩壊するように倒れてしまった。
「…………」
なんて難しい特殊能力なんだ。最も傍にいるはずの僕でさえ、キンバリーの短剣のまがい物すら再現できない!
再び再現しようと目を瞑ったとき、表から声が聞こえてきた。
「ま、まさか……!」
今のはクロエの声だ。
どうやら僕が石の中に閉じ込められたのを見て、動揺しているようだ。
スカーレットやジェシカも驚いていたが、すぐに交戦の構えをとった。キンバリーはといえば、冷静に状況を眺めているようだった。
「このパーティーは、アキノスケ様のワンマンチームではないと証明してみせましょう!」
「ええ!」
彼女たちも、スモックがどのような能力か理解しているといっても、やはり厄介なことに変わりないようだ。
キンバリー隊は、魔法と弓、更にクロエとジェシカの連携攻撃を仕掛けたが、こちら側の攻撃はことごとくスモックによって打ち消されていく。
そして、スモック使いの攻撃を一方的に受けるという、厳しいモノになっていた。
劣勢といえる状況のなか、僕は気を落ち着けて考えてみた。
どうして、さっきキンバリーの宝刀を再現しようとして失敗したのだろう。
彼女のアビリティは、それだけ特殊なモノなのだろうか?
確かに特殊なモノかもしれない。
キンバリーの父親は日本人で、よく似た能力を持っているという話を聞いたことがある。確か……レフトソード……
…………
…………
レフトソードで間違いないよな。うん、間違いない。
キンバリーの能力名はレフトダガー。
これって、刃渡りが短くなっているだけだろうか。
実はキンバリーのダガーって、刃渡りが短くなったぶん、取り回しが良くなったんじゃなかろうか。それこそ、アビリティが専用魔法に変わったかのように……
それに、親父さんは剣だけど、キンバリーは杖という形でもう一つの能力を受け継いでいるんだよな。
右手の剣と左手の剣。
右手の杖と左手の短剣。
親父さんの右手剣の名前は……確か偽物の……
…………
…………
僕は角をもう一度だけ光らせると、キンバリーの右手杖を再現しようとした。
様々な効果を持つ魔法の杖だが、特殊な効果は一般魔法や固有魔法で代用できる。肝心なのは杖そのものだ。
短剣もだ。特殊な効果を全て再現するのではなく、短剣と特殊な効果を切り離して考える。
何でもかんでも詰め込む必要はない。僕には固有魔法がある!
そう思いながら、2つでセットの武器を思い描いていくと、それは質感を伴いながら徐々に姿を現した。
これで宝刀自体は手に入ったが、これだけがあっても意味がない。
僕が欲しがっているのは、左手短剣の持つ見えないモノを切り裂く力だからだ。キンバリーの使っていたあの技を、もし一般の人に使えるようにしたら……どんな魔法になるだろう。
いや、あくまでこのレフトダガーという技は、本来のアビリティを発動しやすくするための、イメージに過ぎないのではないだろうか。
宝刃がアビリティを発動させているワケじゃない。キンバリー自身が発動させている!
そう思ったときに僕の角が光り……同時に肩の部分から人間時の僕の手が現れ、固有魔法の名前が脳裏に浮かび上がった。
――セントラル・レイピア!
光った状態で角と右腕を突き出すと突き出すと、僕を閉じ込めていた空間に亀裂が入り、やがてバラバラに崩れ落ちていった。
今、一瞬だけど……僕はケンタウロスになっていた気がする……!
何の音もしない空間だったが、目の前には石を通して表の世界を辛うじて見ることができる。
そして、その静寂を破るように、スモック使いの声が聞こえてきた。
「あーーーっはっはっはっは……ざまぁ見やがれウマヤロー! これでお前も人質だ! お前のハーレム女どもが1人ずつコレクションされるのを指くわえてみてやがれ!!」
その言葉を聞いて、僕はほっと胸を撫でおろしていた。
どうやら男は、キンバリーに破られたことがあるにも関わらず、この石が絶対に脱出できない監獄か何かだと考えているようだ。
僕はゆっくりと目を閉じると、キンバリーのことを思い描いた。
イメージするのは1つ。あの左手の宝刀だ。あれを……固有魔法化できれば自力でここから出られる。
身近にいる仲間とは言っても、見ただけのモノを魔法化するなんて、一流の魔導師でもない限りは不可能な話だろう。普通は魔法の法則の全てを調べ上げ、書物にまとめて複数の魔法使いで話し合い、少しずつ作っていくのが一般魔法だ。
だけど、スモック使いの裏をかいて、完全に捕らえるにはやり切らないとならない。
僕は自分の頭の中に、キンバリーの今までの行動を思い浮かべた。短剣を出した時だけではない、魔法を使っているとき、食事をしているとき、一緒に笑いあっているとき。
その全てを思い返したとき、僕の角は光を放ちはじめたが、すぐに積み上げたトランプタワーが崩壊するように倒れてしまった。
「…………」
なんて難しい特殊能力なんだ。最も傍にいるはずの僕でさえ、キンバリーの短剣のまがい物すら再現できない!
再び再現しようと目を瞑ったとき、表から声が聞こえてきた。
「ま、まさか……!」
今のはクロエの声だ。
どうやら僕が石の中に閉じ込められたのを見て、動揺しているようだ。
スカーレットやジェシカも驚いていたが、すぐに交戦の構えをとった。キンバリーはといえば、冷静に状況を眺めているようだった。
「このパーティーは、アキノスケ様のワンマンチームではないと証明してみせましょう!」
「ええ!」
彼女たちも、スモックがどのような能力か理解しているといっても、やはり厄介なことに変わりないようだ。
キンバリー隊は、魔法と弓、更にクロエとジェシカの連携攻撃を仕掛けたが、こちら側の攻撃はことごとくスモックによって打ち消されていく。
そして、スモック使いの攻撃を一方的に受けるという、厳しいモノになっていた。
劣勢といえる状況のなか、僕は気を落ち着けて考えてみた。
どうして、さっきキンバリーの宝刀を再現しようとして失敗したのだろう。
彼女のアビリティは、それだけ特殊なモノなのだろうか?
確かに特殊なモノかもしれない。
キンバリーの父親は日本人で、よく似た能力を持っているという話を聞いたことがある。確か……レフトソード……
…………
…………
レフトソードで間違いないよな。うん、間違いない。
キンバリーの能力名はレフトダガー。
これって、刃渡りが短くなっているだけだろうか。
実はキンバリーのダガーって、刃渡りが短くなったぶん、取り回しが良くなったんじゃなかろうか。それこそ、アビリティが専用魔法に変わったかのように……
それに、親父さんは剣だけど、キンバリーは杖という形でもう一つの能力を受け継いでいるんだよな。
右手の剣と左手の剣。
右手の杖と左手の短剣。
親父さんの右手剣の名前は……確か偽物の……
…………
…………
僕は角をもう一度だけ光らせると、キンバリーの右手杖を再現しようとした。
様々な効果を持つ魔法の杖だが、特殊な効果は一般魔法や固有魔法で代用できる。肝心なのは杖そのものだ。
短剣もだ。特殊な効果を全て再現するのではなく、短剣と特殊な効果を切り離して考える。
何でもかんでも詰め込む必要はない。僕には固有魔法がある!
そう思いながら、2つでセットの武器を思い描いていくと、それは質感を伴いながら徐々に姿を現した。
これで宝刀自体は手に入ったが、これだけがあっても意味がない。
僕が欲しがっているのは、左手短剣の持つ見えないモノを切り裂く力だからだ。キンバリーの使っていたあの技を、もし一般の人に使えるようにしたら……どんな魔法になるだろう。
いや、あくまでこのレフトダガーという技は、本来のアビリティを発動しやすくするための、イメージに過ぎないのではないだろうか。
宝刃がアビリティを発動させているワケじゃない。キンバリー自身が発動させている!
そう思ったときに僕の角が光り……同時に肩の部分から人間時の僕の手が現れ、固有魔法の名前が脳裏に浮かび上がった。
――セントラル・レイピア!
光った状態で角と右腕を突き出すと突き出すと、僕を閉じ込めていた空間に亀裂が入り、やがてバラバラに崩れ落ちていった。
今、一瞬だけど……僕はケンタウロスになっていた気がする……!
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