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42.アブソルートマナセンスを持っている人
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僕は前線基地の医務室で、一角獣チャクラムと話を続けていた。
キンバリーとチャクラムの共通点は、アビリティ【アブソルートマナセンス】を持っていることだ。もしかしたら、これがあると透明な首輪が見えるのかもしれない。
僕はそのように思っていたが、チャクラムは難しい顔をした。
『でも、2人だけしか該当者がいないと、アブソルートマナセンスと決めつけるのは早い気がするな』
「誰か、君たち以外にマナセンスの持ち主はいないのかな? 例えば兄弟とか……」
そう質問すると、チャクラムだけでなくキンバリーも難しい顔をした。
『愚生のお母さんは……少し前に亡くなったしなぁ』
「あとは、私の母オリヴィアに聞いてみる……しかありませんね」
その答えを聞いて僕は、呆然とさせられた。
確かスティレット支部長の子供は30頭。キンバリーの兄弟は兄と妹2人がいるはずだ。その中で【アブソルートマナセンス】を持っているのが、この2人だけなのである。
「ちょっと待って。アブソルートマナセンスを持っている人って、どれくらい珍しいの?」
そう質問すると、キンバリーとチャクラムは視線を上げて考え込んだ。
「苦労する割に、見返りの少ない能力ですが……とにかく珍しいですね」
『うん。スティレット産駒って孫を含めると1000頭くらいいるけど……マナセンス持ってるのって、あと1、2頭いればいい方じゃないかな』
スティレット産駒でさえ低保有率なら、一般の人間たちとなるとどれだけ確率が下がるのだろう。
ここは確実に持っているオリヴィアさんに相談するのが現実的かもしれない。
「わかった。とりあえずオリヴィアさんに直接会って、これが見えるか聞いてみるしかないね」
問題があるとすれば、新冒険者街と冒険者街は、けっこう距離が離れていることと、首輪が見えていないギルドメンバーをどうやって説得するかということだ。
キンバリーも少し考えてから答えた。
「言いづらい話ですが、今は新冒険者街は混乱中です……いくらスティレット支部長でも、さすがに私の里帰りには渋るのでは?」
「そ、それはそうだね……」
チャクラムも唸りながら言った。
『なるべく冒険者街か、近所で探すしかないね』
少し考えると、チャクラムは『あ……!』と声を上げていた。
どうやら、何かを思い出したようだ。
「どうしたんだい?」
『アブソールマナセンスなら、1人持っている人に心当たりがある』
「それは、誰ですか!?」
チャクラムはそこまで言うと、表情を曇らせた。
『だけどアレに関わるのは、いろいろと問題があるなぁ』
彼が難色を示すというのは、かなりの事態だが……それでもこの変な首輪が僕だけでなく、キンバリーに着いたままとなっているのは嫌だ。
外す手掛かりになるのなら、多少の問題なら目を瞑りたい。
「教えるだけ教えて欲しい……その人物とは?」
チャクラムは歯切れ悪く答えた。
『ヤツはその……モンスターみたいな異世界人なんだよ。それもニホンジン』
「え……? モンスターって、モンスターみたいな見た目をしているってこと?」
聞き返すとチャクラムは、渋い顔をした。
『内面がまともだったら、愚生もここまで渋ったりしないよ……』
「その異世界人は……どのような方なのでしょうか?」
『まず、パーティーに男がいると、真っ先に男を排除しようとする』
「……ウマもかい?」
『愚生がいたときには無視されたから、そこまで厳しくはないかも?』
チャクラムは視線を上げながら言った。
『次に、チームに美女がいないと現れない』
「…………」
『3番目に、美女を見ると見境なく襲い掛かってくる』
「……いっ!?」
『4番目に、メチャクチャ強いから、たいていの場合は美女側が負けて拘束される』
「要するに、犯罪者じゃないか!」
そう言葉を返すと、チャクラムは頷いた。
『そう、つまり異世界人の犯罪者というワケ。しかもヘンタイ』
僕が絶対に会いたくないと思っていたら、隣で話を聞いていたキンバリーは冷静に質問した。
「どうして、その人がアブソルートマナセンスを持っていると?」
チャクラムは普段通りに表情になった。
『発言だよ。このセンスを持っている人間にしかわからないことを口走るんだ』
「つまり、そいつが首輪のことについて何かコメントすれば……」
『アブソルートマナセンスを持っている人間になら見える。つまり、君たちに装着した人間は、このアビリティを持っている可能性が高いということになるね』
キンバリーに視線を向けると、彼女は真剣な顔をしながらチャクラムを見た。
「ちなみに、その犯罪者はどのような場所に?」
『場所を転々としていて……通り魔のように旅人に襲い掛かるけど、法則性はある』
キンバリーは少し考えてから答えた。
「まだ一か所でじっとしているタイプなら、こちらが避ければ済む話ですが……母に来てもらうという手はなしですね」
確かに、キンバリーの話ではオリヴィアさんの見た目は、まだ25・6歳の女の人にしか見えないという話だ。
そんな人が少人数の護衛と歩いていたら、件のヘンタイ転移者に襲われそうだ。
【キンバリーの母オリヴィア】
キンバリーとチャクラムの共通点は、アビリティ【アブソルートマナセンス】を持っていることだ。もしかしたら、これがあると透明な首輪が見えるのかもしれない。
僕はそのように思っていたが、チャクラムは難しい顔をした。
『でも、2人だけしか該当者がいないと、アブソルートマナセンスと決めつけるのは早い気がするな』
「誰か、君たち以外にマナセンスの持ち主はいないのかな? 例えば兄弟とか……」
そう質問すると、チャクラムだけでなくキンバリーも難しい顔をした。
『愚生のお母さんは……少し前に亡くなったしなぁ』
「あとは、私の母オリヴィアに聞いてみる……しかありませんね」
その答えを聞いて僕は、呆然とさせられた。
確かスティレット支部長の子供は30頭。キンバリーの兄弟は兄と妹2人がいるはずだ。その中で【アブソルートマナセンス】を持っているのが、この2人だけなのである。
「ちょっと待って。アブソルートマナセンスを持っている人って、どれくらい珍しいの?」
そう質問すると、キンバリーとチャクラムは視線を上げて考え込んだ。
「苦労する割に、見返りの少ない能力ですが……とにかく珍しいですね」
『うん。スティレット産駒って孫を含めると1000頭くらいいるけど……マナセンス持ってるのって、あと1、2頭いればいい方じゃないかな』
スティレット産駒でさえ低保有率なら、一般の人間たちとなるとどれだけ確率が下がるのだろう。
ここは確実に持っているオリヴィアさんに相談するのが現実的かもしれない。
「わかった。とりあえずオリヴィアさんに直接会って、これが見えるか聞いてみるしかないね」
問題があるとすれば、新冒険者街と冒険者街は、けっこう距離が離れていることと、首輪が見えていないギルドメンバーをどうやって説得するかということだ。
キンバリーも少し考えてから答えた。
「言いづらい話ですが、今は新冒険者街は混乱中です……いくらスティレット支部長でも、さすがに私の里帰りには渋るのでは?」
「そ、それはそうだね……」
チャクラムも唸りながら言った。
『なるべく冒険者街か、近所で探すしかないね』
少し考えると、チャクラムは『あ……!』と声を上げていた。
どうやら、何かを思い出したようだ。
「どうしたんだい?」
『アブソールマナセンスなら、1人持っている人に心当たりがある』
「それは、誰ですか!?」
チャクラムはそこまで言うと、表情を曇らせた。
『だけどアレに関わるのは、いろいろと問題があるなぁ』
彼が難色を示すというのは、かなりの事態だが……それでもこの変な首輪が僕だけでなく、キンバリーに着いたままとなっているのは嫌だ。
外す手掛かりになるのなら、多少の問題なら目を瞑りたい。
「教えるだけ教えて欲しい……その人物とは?」
チャクラムは歯切れ悪く答えた。
『ヤツはその……モンスターみたいな異世界人なんだよ。それもニホンジン』
「え……? モンスターって、モンスターみたいな見た目をしているってこと?」
聞き返すとチャクラムは、渋い顔をした。
『内面がまともだったら、愚生もここまで渋ったりしないよ……』
「その異世界人は……どのような方なのでしょうか?」
『まず、パーティーに男がいると、真っ先に男を排除しようとする』
「……ウマもかい?」
『愚生がいたときには無視されたから、そこまで厳しくはないかも?』
チャクラムは視線を上げながら言った。
『次に、チームに美女がいないと現れない』
「…………」
『3番目に、美女を見ると見境なく襲い掛かってくる』
「……いっ!?」
『4番目に、メチャクチャ強いから、たいていの場合は美女側が負けて拘束される』
「要するに、犯罪者じゃないか!」
そう言葉を返すと、チャクラムは頷いた。
『そう、つまり異世界人の犯罪者というワケ。しかもヘンタイ』
僕が絶対に会いたくないと思っていたら、隣で話を聞いていたキンバリーは冷静に質問した。
「どうして、その人がアブソルートマナセンスを持っていると?」
チャクラムは普段通りに表情になった。
『発言だよ。このセンスを持っている人間にしかわからないことを口走るんだ』
「つまり、そいつが首輪のことについて何かコメントすれば……」
『アブソルートマナセンスを持っている人間になら見える。つまり、君たちに装着した人間は、このアビリティを持っている可能性が高いということになるね』
キンバリーに視線を向けると、彼女は真剣な顔をしながらチャクラムを見た。
「ちなみに、その犯罪者はどのような場所に?」
『場所を転々としていて……通り魔のように旅人に襲い掛かるけど、法則性はある』
キンバリーは少し考えてから答えた。
「まだ一か所でじっとしているタイプなら、こちらが避ければ済む話ですが……母に来てもらうという手はなしですね」
確かに、キンバリーの話ではオリヴィアさんの見た目は、まだ25・6歳の女の人にしか見えないという話だ。
そんな人が少人数の護衛と歩いていたら、件のヘンタイ転移者に襲われそうだ。
【キンバリーの母オリヴィア】
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