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ブラッドリリスの動向3
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久しぶりに、邪竜のねぐらに行ってみると、浮かない顔をしたレインガルがいたの。
「久しぶりね」
「こ、これはリリス様……このようなむさ苦しいところによくお越しくださいました!」
そう言いながら魔将レインガルは、深々と頭を下げた。
畏まっているのはいつものことだけど、今日はずいぶんと元気がないわね。部下からの報告で、冒険者に能力者の一部を奪い返されたと聞いているけど、成果が出れば私としては問題ないのよね。
「新冒険者街の攻撃……手腕よくやってくれているみたいじゃない。やはり貴方はやればできる子ね」
「お褒めの言葉を賜り……恐縮でございます!」
「……ところで、妖力が弱っている感じがするけど、何かあったの?」
そう質問すると、レインガルは慌てた様子で答えた。
「こ、これはその……未熟なユニコーンに不意を突かれまして……我もまだまだ修行が足りません」
「未熟なユニコーン……スティレットの孫かしら?」
再び問いかけると、レインガルは少し考えてから答えたみたい。
「何といいましょうか……その正体は、妙なエルフの女だったのです」
「どういうこと?」
レインガルは困り顔になってしまったわ。うーん、普段はもっといかつい顔をした子なのだけど、こういう表情もするのね。
「何といいましょうか……そのエルフの女は妙なアビリティを持っているようでして。例のアビリティで箱に閉じ込めたのですが、ユニコーンを召喚されてしまいまして……」
「ユニコーンを召喚!?」
それは私にとって、まさに寝耳に水という話だったわ。
ユニコーンはただでさえ、私たち魔族にとって天敵とも言える厄介な生き物。救いは寿命が人間と比べても短いことなのに、エルフが召喚なんてしてきたら……その最大のデメリットを克服されることになる。
「どんな女だったの?」
「フロンティアトリトンズを襲っていた時に遭遇しました。金髪のエルフ女で……妙な杖を出す者です」
新冒険者街にあるフロンティアトリトンズね。
金髪の女と言えば、カイトと素材の間に生まれた第2子しか該当者がいない。そういえばあの女は、異世界の勇者カイトと似たアビリティを使うんだったわ。
「その女の名前……キンバリーとか言うんじゃなかったかしら?」
「ざ、残念ながら……私ではそこまで詳しいことは……」
「貴方が遭遇したのは金髪のエルフなのよね?」
「は、はい!」
「他にそういう魔法使いがいなかったのなら、奴の可能性が高いわ」
レインガルは汗を流したまま、私を見てきた。
「いかが……なさいますか?」
「貴方のやることは変わらないわ。また冒険者街が隙を見せたら魔物を率いて攻撃しなさい。隙あらば、またレア能力者の奪取にも力を入れて」
「は、はは!」
大丈夫だとは思ったけれど、私は念には念を入れることにした。
「そのカイトの娘に関しては、極力組み合おうとは思わないように。下手に手下を差し向けると、奴らに塩を送ることになるわ。指示があるまで徹底無視するように」
そう。こういう厄介な勇者が登場したときは、真っ先に潰しに行くか無視するかの二択に限る。
下手に手下を差し向けたり、故郷を滅ぼせば強くなるきっかけを与え、やがて強大な敵となって自分の前に現れることになるのは目に見えているのだから。
「承知……!」
レインガルもわかってくれたみたいだし、私は少しだけ気を落ち着けることができた。
さて、戻るついでに、戦利品の品定めでもしていくとしましょう。
「レインガル。せっかく来たのだからトロフィーを見たいわ。案内してちょうだい」
「はっ、直ちに!」
トロフィールームに行くと、何人もの娘たちがガラスケースの中に収められた状態で、私のことを見てきたわ。
ふむ。ヒーラー2人にエンチャンター1人。この中でアブソルートマナセンスに目覚める可能性が、少しでもありそうなのは……このピンク髪の女かしら。
箱を持ち上げると、その若い女は叫び声をあげながら怯えた様子で私を見つめてきたわ。
「感謝しなさい。貴女はこれから一時的な苦しみと引き換えに、自らの中に隠れている潜在能力を大いに目覚めさせることができるわ」
「そ、そんなことよりも……お家に帰りたい!」
ふふ……形は大きいけど、まだまだ内面は子供のようね。
だけど、これくらい未熟な方が伸びしろも大きいというもの。
「他の娘たちも、安全になったら逐一、私の城まで送ってちょうだい」
「御意!」
こうして私は新たな素材を手に入れたというわけ。
それにしても、ユニコーンを召喚できる勇者の娘か。これは……討伐するにはこちら側も入念な下準備をしなければ、危ないかもしれないわね。
「久しぶりね」
「こ、これはリリス様……このようなむさ苦しいところによくお越しくださいました!」
そう言いながら魔将レインガルは、深々と頭を下げた。
畏まっているのはいつものことだけど、今日はずいぶんと元気がないわね。部下からの報告で、冒険者に能力者の一部を奪い返されたと聞いているけど、成果が出れば私としては問題ないのよね。
「新冒険者街の攻撃……手腕よくやってくれているみたいじゃない。やはり貴方はやればできる子ね」
「お褒めの言葉を賜り……恐縮でございます!」
「……ところで、妖力が弱っている感じがするけど、何かあったの?」
そう質問すると、レインガルは慌てた様子で答えた。
「こ、これはその……未熟なユニコーンに不意を突かれまして……我もまだまだ修行が足りません」
「未熟なユニコーン……スティレットの孫かしら?」
再び問いかけると、レインガルは少し考えてから答えたみたい。
「何といいましょうか……その正体は、妙なエルフの女だったのです」
「どういうこと?」
レインガルは困り顔になってしまったわ。うーん、普段はもっといかつい顔をした子なのだけど、こういう表情もするのね。
「何といいましょうか……そのエルフの女は妙なアビリティを持っているようでして。例のアビリティで箱に閉じ込めたのですが、ユニコーンを召喚されてしまいまして……」
「ユニコーンを召喚!?」
それは私にとって、まさに寝耳に水という話だったわ。
ユニコーンはただでさえ、私たち魔族にとって天敵とも言える厄介な生き物。救いは寿命が人間と比べても短いことなのに、エルフが召喚なんてしてきたら……その最大のデメリットを克服されることになる。
「どんな女だったの?」
「フロンティアトリトンズを襲っていた時に遭遇しました。金髪のエルフ女で……妙な杖を出す者です」
新冒険者街にあるフロンティアトリトンズね。
金髪の女と言えば、カイトと素材の間に生まれた第2子しか該当者がいない。そういえばあの女は、異世界の勇者カイトと似たアビリティを使うんだったわ。
「その女の名前……キンバリーとか言うんじゃなかったかしら?」
「ざ、残念ながら……私ではそこまで詳しいことは……」
「貴方が遭遇したのは金髪のエルフなのよね?」
「は、はい!」
「他にそういう魔法使いがいなかったのなら、奴の可能性が高いわ」
レインガルは汗を流したまま、私を見てきた。
「いかが……なさいますか?」
「貴方のやることは変わらないわ。また冒険者街が隙を見せたら魔物を率いて攻撃しなさい。隙あらば、またレア能力者の奪取にも力を入れて」
「は、はは!」
大丈夫だとは思ったけれど、私は念には念を入れることにした。
「そのカイトの娘に関しては、極力組み合おうとは思わないように。下手に手下を差し向けると、奴らに塩を送ることになるわ。指示があるまで徹底無視するように」
そう。こういう厄介な勇者が登場したときは、真っ先に潰しに行くか無視するかの二択に限る。
下手に手下を差し向けたり、故郷を滅ぼせば強くなるきっかけを与え、やがて強大な敵となって自分の前に現れることになるのは目に見えているのだから。
「承知……!」
レインガルもわかってくれたみたいだし、私は少しだけ気を落ち着けることができた。
さて、戻るついでに、戦利品の品定めでもしていくとしましょう。
「レインガル。せっかく来たのだからトロフィーを見たいわ。案内してちょうだい」
「はっ、直ちに!」
トロフィールームに行くと、何人もの娘たちがガラスケースの中に収められた状態で、私のことを見てきたわ。
ふむ。ヒーラー2人にエンチャンター1人。この中でアブソルートマナセンスに目覚める可能性が、少しでもありそうなのは……このピンク髪の女かしら。
箱を持ち上げると、その若い女は叫び声をあげながら怯えた様子で私を見つめてきたわ。
「感謝しなさい。貴女はこれから一時的な苦しみと引き換えに、自らの中に隠れている潜在能力を大いに目覚めさせることができるわ」
「そ、そんなことよりも……お家に帰りたい!」
ふふ……形は大きいけど、まだまだ内面は子供のようね。
だけど、これくらい未熟な方が伸びしろも大きいというもの。
「他の娘たちも、安全になったら逐一、私の城まで送ってちょうだい」
「御意!」
こうして私は新たな素材を手に入れたというわけ。
それにしても、ユニコーンを召喚できる勇者の娘か。これは……討伐するにはこちら側も入念な下準備をしなければ、危ないかもしれないわね。
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