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37.邪竜のねぐらの探索依頼
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キンバリーたちから様々な訓練を受け半月が経った頃、僕もすっかりと彼女たちの動きになれていた。
特に格闘戦が得意なウェアウルフのクロエも、満足そうに僕と模擬戦をしている。
「うん、半月で見違えるようになったね!」
「みんなで手取り足取り教えてくれたからだよ」
キンバリーもニコニコと笑いながら言った。
「では、午後からは少し難易度を上げてみませんか?」
それは望むところだと思いながら頷いた。
「次はどんなことをするんだい?」
「あなたは魔法の【ホバー】を使いながら、水上でスカーレットを迎え撃つ……というのはいかがでしょう?」
そんな話をしていたら、受付嬢ソフィアがやってきた。
「アキノスケさん……つい先ほど、仕事の依頼が来ました」
「依頼? またヒーラー関連のモノかい?」
そう質問すると、ソフィアは「いいえ」と言いながら歩み寄ってきた。
「今回は、魔法使いのギルド……グリーンスタッフからです」
僕はキンバリーたちを連れて事務所へと行くと、カウンター席にはエルフの女性が座っていた。年齢は人間換算で30代と言った感じだろう。
「こちらの方が、依頼主のモーヴさんです」
「隊長のアキノスケです」
「よろしくお願いします」
ソフィアは詳しい説明をしてくれた。
どうやら、冒険者ギルドグリーンスタッフは、新しい薬を調合するために素材となる薬草を入手したいようだ。その草というのが、どうやら邪竜のねぐらでしか手に入らないモノもあるのだという。
モーヴも困り顔で言った。
「今は悪魔が現れたことで、依頼を引き受けてくれるギルドが減って困っています」
彼女は視線を川に向けた。
「しかし、トリトンズなら川からダンジョンに入ることもできるので、もしかしたらと思いまして……」
僕は納得しながら頷いた。
確かに、うちのパーティーでもクロエやジェシカは操舟技術を持っているし、スカーレットなら高いところに生えている薬草も取って来れるかもしれない。
しかし、一つ問題があるとすれば……
「問題は、僕たちではその草を見分けられないことですが……詳しい人の同行はお願いできますでしょうか?」
「それなら私が同行します」
モーブ本人が同行してくれるのなら、こちらとしても安心できる。
「わかりました。では僕たちは護衛としてお供させていただきます」
細かい打ち合わせの結果、出発は明朝。
モーブはそれまで、トリトンズの客室で休んでいくこととなった。
話がまとまって、部屋へと戻るとキンバリーはニコニコと笑いながら言った。
「いよいよ、初クエストですね」
「うん、ここに来たばかりの頃は、5人パーティーを作ることがそもそもできるのかと不安だったけど、どうにか初任務を請け負うところまで来たね!」
そう言いながら笑いあっていると、キンバリーが普段使っている机に手紙が置いてあることに気が付いた。
「ん……? 友達と文通か何かをしているのかい?」
「あれは父と母からです。まだまだ私を子供だと思っているみたいで……よくこうして手紙を送ってくれるんです」
僕の目から見ても、キンバリーは何度も捕まりかかったり、殺されそうになったりと、大変な目に遭い続けている。両親から見ればとても大変だろうなと感じた。
「ちなみに、前の手紙であなたのことも、あなたに何度も助けて頂いたことも伝えました」
「え……?」
いつの間にか紹介されたのかと思っていたら、キンバリーは苦笑していた。
「入れ違いになったようなので、この手紙を書いていた時は、まだあなたのことは知らなかったようですが、次からはあなたにも挨拶してくるかも……」
その話を聞いて、僕は笑いながらもどうしようかと内心では困ってもいた。
特に社会人になってからニート時代まで、挨拶なんてメールで済ませていたから、手紙なんて今まで一度も書いたことなんてない。
確か、キンバリーのお父さんって日本人だったよなぁ。どう挨拶すればいいんだろう。やはり、挨拶文とか必要なんだろうか。まったくわかんないけど……
そんなことを考えていたら、キンバリーはいつの間にか上着を脱いでおり、じっとこっちを眺めた。
特に言葉を交わさなくても、彼女が何を言いたいのか察することができた。邪竜のねぐらに踏み込むということは、下手をすれば未帰還になる恐れもある。
僕はランプの明かりを消すと、ゆっくりとベッドに入った。
特に格闘戦が得意なウェアウルフのクロエも、満足そうに僕と模擬戦をしている。
「うん、半月で見違えるようになったね!」
「みんなで手取り足取り教えてくれたからだよ」
キンバリーもニコニコと笑いながら言った。
「では、午後からは少し難易度を上げてみませんか?」
それは望むところだと思いながら頷いた。
「次はどんなことをするんだい?」
「あなたは魔法の【ホバー】を使いながら、水上でスカーレットを迎え撃つ……というのはいかがでしょう?」
そんな話をしていたら、受付嬢ソフィアがやってきた。
「アキノスケさん……つい先ほど、仕事の依頼が来ました」
「依頼? またヒーラー関連のモノかい?」
そう質問すると、ソフィアは「いいえ」と言いながら歩み寄ってきた。
「今回は、魔法使いのギルド……グリーンスタッフからです」
僕はキンバリーたちを連れて事務所へと行くと、カウンター席にはエルフの女性が座っていた。年齢は人間換算で30代と言った感じだろう。
「こちらの方が、依頼主のモーヴさんです」
「隊長のアキノスケです」
「よろしくお願いします」
ソフィアは詳しい説明をしてくれた。
どうやら、冒険者ギルドグリーンスタッフは、新しい薬を調合するために素材となる薬草を入手したいようだ。その草というのが、どうやら邪竜のねぐらでしか手に入らないモノもあるのだという。
モーヴも困り顔で言った。
「今は悪魔が現れたことで、依頼を引き受けてくれるギルドが減って困っています」
彼女は視線を川に向けた。
「しかし、トリトンズなら川からダンジョンに入ることもできるので、もしかしたらと思いまして……」
僕は納得しながら頷いた。
確かに、うちのパーティーでもクロエやジェシカは操舟技術を持っているし、スカーレットなら高いところに生えている薬草も取って来れるかもしれない。
しかし、一つ問題があるとすれば……
「問題は、僕たちではその草を見分けられないことですが……詳しい人の同行はお願いできますでしょうか?」
「それなら私が同行します」
モーブ本人が同行してくれるのなら、こちらとしても安心できる。
「わかりました。では僕たちは護衛としてお供させていただきます」
細かい打ち合わせの結果、出発は明朝。
モーブはそれまで、トリトンズの客室で休んでいくこととなった。
話がまとまって、部屋へと戻るとキンバリーはニコニコと笑いながら言った。
「いよいよ、初クエストですね」
「うん、ここに来たばかりの頃は、5人パーティーを作ることがそもそもできるのかと不安だったけど、どうにか初任務を請け負うところまで来たね!」
そう言いながら笑いあっていると、キンバリーが普段使っている机に手紙が置いてあることに気が付いた。
「ん……? 友達と文通か何かをしているのかい?」
「あれは父と母からです。まだまだ私を子供だと思っているみたいで……よくこうして手紙を送ってくれるんです」
僕の目から見ても、キンバリーは何度も捕まりかかったり、殺されそうになったりと、大変な目に遭い続けている。両親から見ればとても大変だろうなと感じた。
「ちなみに、前の手紙であなたのことも、あなたに何度も助けて頂いたことも伝えました」
「え……?」
いつの間にか紹介されたのかと思っていたら、キンバリーは苦笑していた。
「入れ違いになったようなので、この手紙を書いていた時は、まだあなたのことは知らなかったようですが、次からはあなたにも挨拶してくるかも……」
その話を聞いて、僕は笑いながらもどうしようかと内心では困ってもいた。
特に社会人になってからニート時代まで、挨拶なんてメールで済ませていたから、手紙なんて今まで一度も書いたことなんてない。
確か、キンバリーのお父さんって日本人だったよなぁ。どう挨拶すればいいんだろう。やはり、挨拶文とか必要なんだろうか。まったくわかんないけど……
そんなことを考えていたら、キンバリーはいつの間にか上着を脱いでおり、じっとこっちを眺めた。
特に言葉を交わさなくても、彼女が何を言いたいのか察することができた。邪竜のねぐらに踏み込むということは、下手をすれば未帰還になる恐れもある。
僕はランプの明かりを消すと、ゆっくりとベッドに入った。
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