ヒロインピンチを切り抜ける、三十路半ニート男のドドドドドドド……本気モード異世界冒険記

スィグトーネ

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13.森の中で見た夢

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 その後も森の中を歩き続け、僕はキンバリーに見張ってもらって休息をとることにした。
 僕一人だと、眠っている間も気は抜けなかっただろうが、キンバリーが一緒に居てくれたおかげか、いつの間にかぐっすりと眠っていた。


――――――――
――――
――



 そして僕は、夢の中で御神木の前にいた。
 見た目はごく普通の大木だのだが、何だかよくみていると彼にも表情があるように思えた。もしかしたらキンバリーたちエルフは、普段からこういう植物の表情を感じているのかもしれない。

 御神木は枝葉をざわつかせながら言った。
『くつろいでいるところすまんな……今日は重要なことがわかったので、夢枕に立たせてもらった』
「お気遣いありがとうございます。重要なこととは……?」


 そう聞き返すと、御神木は歯切れ悪く答えた。
『実は、君とキンバリーのその……夢の中ならよく見える首輪のことでわかったことがあるのだ』

 彼が言っているのは、僕がこの世界に来た時からついている、謎の透明な首輪のことだ。ただここにあるだけで、直接触ると、通過してしまうシロモノだが、これはいったい何なのだろう?

『結論から言えば……それは【ダークギフト】と呼ばれる代物だ』
「だーくぎふと?」

 聞き返すと、御神木は頷くように枝葉をざわつかせた。
『そう。先にこの世界の住人にアビリティをもたらしたのは……悪魔の方だった。連中は甘言と共に【ギフト】として、特殊能力を与え……人々の信仰心を奪い、悪の道に連れ込もうとした』

 僕が頷くと、御神木は話を続けた。
『そして、その際に……悪魔からの贈り物を受け取った人間とわかるように、首に目印を付けた』
「それが……この首輪?」
『いいや、当時はもっと物々しいシロモノだったが、君のその透明な首輪を見ていると……どうしてもその地獄の首枷を連想してしまう』


 僕は少し考えて答えた。
「では、アビリティというのは……神の側がそれに対抗して作り出した能力?」
『神が与えたモノとも、人間たちが進化の中で偶然手に入れたモノとも言われているが、この話は置いておこう』

 御神木は一呼吸置いた。
『とにかく……そのダークギフトがある限り、君とキンバリーはその仕掛けた者に命を握られている状態だ』
「解除をするには……どうしたら?」

 御神木は少し考えてから答えた。
『ダンジョンの奥地などに眠るアーティファクトを収集するか、君自身の持っているアビリティを極限まで鍛える……それくらいしか今は思いつかんな』

 やはりそう都合よく情報は集まらないよな……と思っていたら、御神木は枝葉をざわつかせた。
『また何かわかったら連絡しよう。それまでは……精進するように』
「ご協力、心より感謝します」

――――――――
――――
――



 そっと目を開けたとき、まだ夜は明けてはおらず、キンバリーは僕に膝枕をしたまま周りを警戒してくれていた。
「もうお目覚めですか? もう少しゆっくりなさってはいかがでしょう?」
「実は……御神木が出てくる夢を見たんだ」
「御神木様の?」

 キンバリーが不思議そうに言うと、僕は頷いた。
「ああ、僕と君の首についた透明の首輪が……ダークギフトなんじゃないかと心配していた」


 ダークギフトという言葉を聞いたキンバリーは表情を曇らせた。
「……あまり考えたくはありませんが、その可能性は高いかもしれませんね」
「これが付いている限り、仕掛けた人間に命を握られているとも仰っていた」
「…………」

 その言葉を聞いたキンバリーは、真剣な様子で言った。
「つまり、本当に自由になりたければ……これを外す方法を得るか……」
「術者を倒すしかない」

 キンバリーは、しっかりと僕を見ると頷いた。
「わかりました。私も及ばずながら……協力させていただきます」

 その言葉を聞いた僕は思わず笑顔になっていた。キンバリーが協力してくれるのなら心強いし、一緒にいられることそのものがとても嬉しい。
「ありがとう!」
 キンバリーも微笑むと、やがて真剣な表情をした。

「本当は、あなたとのささやかな夫婦生活を夢見ていたのですが、本気で邪竜のねぐら……それも深部に踏み込む必要があるかもしれませんね」
「うん……大規模な遺跡となれば、古代の魔導器や……珍しいアビリティを持った能力者も集まる。その中には、本当にこの首輪を解除できる人がいるかもしれない」

 そう伝えると、キンバリーはしっかりとした表情のまま頷いた。

【キンバリーから見たアキノスケ】
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