25 / 55
24.ザ・コレクションズの恐怖
しおりを挟む
心の中で、オタク風の男の言ったことを否定した。
僕が生きてきた地球でも、このツーノッパという世界でも、絶対というモノは存在しないと確信している。
この神がもたらしたというアビリティという能力だって、閉じ込める能力があれば、必ず解き放つ能力だって存在するんだ。
キンバリーと共に洞窟の闇に紛れたが、オタク風の男はだいたいの位置がわかるらしい。
すぐに叫び声を上げた。
「ガーディアンたち、あそこを攻撃しろ!」
叫び声が響くと、男の背後から無数のゴブリンたちが姿を見せて襲ってきた。その数も多く……軽く20匹はいる。
「応戦します!」
キンバリーはそう叫ぶと同時に手を放し、その姿をあらわした。
オタク風の男が驚くと同時に、キンバリーは周囲に炎の気を纏って無数の炎球を発射した。
その炎の球は次々とゴブリンに命中すると、最初に向かってきた勇敢な7匹を撃退し、やや臆病そうな個体がナイフを手に向かってくる。
「アビリティ発動……!」
僕もまた、人からウマへと変化し、黒毛馬になって最初に突っ込んできたゴブリンを蹴り飛ばした。
すると、ゴブリンたちも僕の姿を見て委縮した。僕はいまサラブレッドタイプのウマになっているので、肩までの高さだけでも170センチくらいある。
キンバリーはその隙を見逃さずに、更に5発の炎球を撃ち放った。
それらの炎魔法はホーミングしながら僕を避け、次々とゴブリンたちを焼き尽くしていく。僕もまた前進してゴブリンの生き残りを蹴散らした。
僕たちがゴブリンと戦っている間、スティレット支部長はオタク風の男に魔法攻撃を仕掛けていた。
彼が放つ水系魔法は、狙いを外したモノでも洞窟に生えている低木をなぎ倒したり、小さい岩なら吹き飛ばす威力があるが、オタク風の男には効かないようだ。
ゴブリンたちが片付いた後は、キンバリーも炎魔法でオタク風の男を狙い撃ちにしたが、炎が当たる瞬間に男の身体は、まるで材質が変わったかのように歪んで、炎の球が突き抜けていく。
スティレット支部長が風系の魔法を放っても、男の身体を通過していった。まるでコイツの身体は煙でできているかのようだ。
「まるで、スカーレットの時と同じだ……いったい、どうなっているんだ?」
僕たちの目に映っている男は、あくまでホログラムのような偽物で、本物が別の場所に居るとでもいうのだろうか。
そう思った僕は辺りを見回していたが、目を凝らしても臭いを嗅いでも、それっぽい人間は見当たらない。
いや、それだけでなく、この男は不敵に笑って言った。
「無駄な努力、ご苦労様ぁ! 出ろ……ヴァルキュリア、アルファぁ!」
僕はハッとすると、キンバリーの側に駆けよった。
その直後に、物陰から現れたウェアウルフの女戦士が襲い掛かってくる。僕は自分の頭の中の手帳を捲るように女戦士への対処を考えた。
ユニコーンキーシステム。スペース。キリン式テレパシー。ユニコーンアイ。ミニ・ホバークラフト。ユニコーンライト。ユニコーンウォーター。
いま、僕が完全に使いこなせるのは、この技で全部だ。
考えがまとまらないうちにウェアウルフの女戦士が迫ってきた。もう時間がない!
僕はとっさに、ユニコーンライトを用いた。
すると、さすがのウェアウルフの女戦士も目がくらんだようだ。
オオカミ族は夜でも視界を失わないほど、夜目が利くため、かえって急に光を浴びると目つぶしの効果になるようだ。
納得した僕は、更に次の1手を出した。
「ユニコーンウォーター!」
勢いよく発射した水塊は、ウェアウルフの女戦士の顔面に命中した。
女戦士は訳も分からないうちに転倒したと見え、頭を岩に打ち付けて蒸発していく。やった……そう思った直後だった。
「上だ! 2人とも!!」
スティレット支部長の声を聞いた僕は、すぐに視線を上げた。
そこにはもう一人。有翼人の女戦士が急降下してきており、オタク風の男を攻撃しようとしていたキンバリーの不意を突く形で組み伏せていた。
僕はすぐにフォローに入ろうとしたが、有翼人の女戦士がキンバリーの首筋にナイフを突きつけたため、止まらざるを得なかった。
「よぉぉしっ……でかしたぞぉ、ヴァルキュリアベータ!」
オタク風の男が叫ぶと同時に、有翼人の女戦士とキンバリーの姿が消え、男の手には透明な石が現れていた。
その中には……囚われてしまったキンバリーの姿があった。
僕が生きてきた地球でも、このツーノッパという世界でも、絶対というモノは存在しないと確信している。
この神がもたらしたというアビリティという能力だって、閉じ込める能力があれば、必ず解き放つ能力だって存在するんだ。
キンバリーと共に洞窟の闇に紛れたが、オタク風の男はだいたいの位置がわかるらしい。
すぐに叫び声を上げた。
「ガーディアンたち、あそこを攻撃しろ!」
叫び声が響くと、男の背後から無数のゴブリンたちが姿を見せて襲ってきた。その数も多く……軽く20匹はいる。
「応戦します!」
キンバリーはそう叫ぶと同時に手を放し、その姿をあらわした。
オタク風の男が驚くと同時に、キンバリーは周囲に炎の気を纏って無数の炎球を発射した。
その炎の球は次々とゴブリンに命中すると、最初に向かってきた勇敢な7匹を撃退し、やや臆病そうな個体がナイフを手に向かってくる。
「アビリティ発動……!」
僕もまた、人からウマへと変化し、黒毛馬になって最初に突っ込んできたゴブリンを蹴り飛ばした。
すると、ゴブリンたちも僕の姿を見て委縮した。僕はいまサラブレッドタイプのウマになっているので、肩までの高さだけでも170センチくらいある。
キンバリーはその隙を見逃さずに、更に5発の炎球を撃ち放った。
それらの炎魔法はホーミングしながら僕を避け、次々とゴブリンたちを焼き尽くしていく。僕もまた前進してゴブリンの生き残りを蹴散らした。
僕たちがゴブリンと戦っている間、スティレット支部長はオタク風の男に魔法攻撃を仕掛けていた。
彼が放つ水系魔法は、狙いを外したモノでも洞窟に生えている低木をなぎ倒したり、小さい岩なら吹き飛ばす威力があるが、オタク風の男には効かないようだ。
ゴブリンたちが片付いた後は、キンバリーも炎魔法でオタク風の男を狙い撃ちにしたが、炎が当たる瞬間に男の身体は、まるで材質が変わったかのように歪んで、炎の球が突き抜けていく。
スティレット支部長が風系の魔法を放っても、男の身体を通過していった。まるでコイツの身体は煙でできているかのようだ。
「まるで、スカーレットの時と同じだ……いったい、どうなっているんだ?」
僕たちの目に映っている男は、あくまでホログラムのような偽物で、本物が別の場所に居るとでもいうのだろうか。
そう思った僕は辺りを見回していたが、目を凝らしても臭いを嗅いでも、それっぽい人間は見当たらない。
いや、それだけでなく、この男は不敵に笑って言った。
「無駄な努力、ご苦労様ぁ! 出ろ……ヴァルキュリア、アルファぁ!」
僕はハッとすると、キンバリーの側に駆けよった。
その直後に、物陰から現れたウェアウルフの女戦士が襲い掛かってくる。僕は自分の頭の中の手帳を捲るように女戦士への対処を考えた。
ユニコーンキーシステム。スペース。キリン式テレパシー。ユニコーンアイ。ミニ・ホバークラフト。ユニコーンライト。ユニコーンウォーター。
いま、僕が完全に使いこなせるのは、この技で全部だ。
考えがまとまらないうちにウェアウルフの女戦士が迫ってきた。もう時間がない!
僕はとっさに、ユニコーンライトを用いた。
すると、さすがのウェアウルフの女戦士も目がくらんだようだ。
オオカミ族は夜でも視界を失わないほど、夜目が利くため、かえって急に光を浴びると目つぶしの効果になるようだ。
納得した僕は、更に次の1手を出した。
「ユニコーンウォーター!」
勢いよく発射した水塊は、ウェアウルフの女戦士の顔面に命中した。
女戦士は訳も分からないうちに転倒したと見え、頭を岩に打ち付けて蒸発していく。やった……そう思った直後だった。
「上だ! 2人とも!!」
スティレット支部長の声を聞いた僕は、すぐに視線を上げた。
そこにはもう一人。有翼人の女戦士が急降下してきており、オタク風の男を攻撃しようとしていたキンバリーの不意を突く形で組み伏せていた。
僕はすぐにフォローに入ろうとしたが、有翼人の女戦士がキンバリーの首筋にナイフを突きつけたため、止まらざるを得なかった。
「よぉぉしっ……でかしたぞぉ、ヴァルキュリアベータ!」
オタク風の男が叫ぶと同時に、有翼人の女戦士とキンバリーの姿が消え、男の手には透明な石が現れていた。
その中には……囚われてしまったキンバリーの姿があった。
0
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
おウ魔王のごくごく平凡なダンジョン作成記 〜だから勇者さま、後生ですから、くれぐれも討伐には来ないで下さい〜
スィグトーネ
ファンタジー
馬モンスターのチャンスコネクター号は、緊張していた。
すでに就職活動で12連敗している彼にとって、今回の面接は決して失敗は許されない。
なぜ、それほどまでに彼が苦戦しているのかと言えば、最近の魔王たちは、採用人数を大きく絞っているからである。
近年ゴーレムの性能が上がっているため、少ない人員でもダンジョンを管理できてしまう。
魔王たちは、如何に少ない人員でダンジョンを運営するかを自慢しはじめており、巷ではコスパの良いダンジョンが持てはやされている。
だから、チャンスコネクター号も、今回の魔王に不採用と言われてしまうと、モンスター街の有力魔王で頼れる者がいなくなってしまう。
彼は緊張しながら待機していると、魔王の秘書がドアを開け……チャンスコネクターの名を呼んだ。
※この物語はフィクションです。
※また、表紙絵や物語の中に登場するイラストは、AIイラストさんで作成したモノを使っています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる