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15.新冒険者に到着
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山賊たちをやり過ごし、しばらく走ってからから、僕は少しずつ脚運びを緩めた。
背中に乗っているキンバリーも、山賊の気配が遠ざかったことを察したらしく、ほっと胸を撫でおろしている。
ゆっくりとした足取りに戻ると、キンバリーも姿勢を正した。
「……妙な視線を感じなくなったからペースは戻すけど、警戒は続けた方がいいね」
「そうですね。もう少し進めば明け方には街に着くと思います」
キンバリーの言葉を聞いて、僕はホッとしていた。
明日いっぱいも歩き続けるとか、こんな危険地帯で仮眠をとることになるという事態だけは避けたいと感じていた。
夜の闇を歩き続け、東側の空から朝日が現れたとき、僕たちの目の前には様々な建物が並ぶ新冒険者街が姿を見せた。
「ここまで来ればあと一息だね」
「はい。トリトンズの建物は、湖のそばにありますのでご案内します」
彼女はそういうと降りようとしたが、僕はこのままエスコートすることにした。
まだ野生動物たちが支配する魔境の中だし、ここまでナビをしてくれたお礼だ。
そのまま歩き続けていると、やがてうっそうとした森にも出口が現れ、しっかりした街道へと合流すると、安全地帯まで来たことを実感する。
キンバリーも微笑みながら言った。
「あともう少しだけ、我慢してください」
「わかった」
そのまま歩いていると、10分ほどで冒険者街へと入った。
街とは言っても、しっかりとした壁に守らわれているワケではなく、本当に簡単な造りの塀を張り巡らせているだけで、魔物や山賊連中に暴れられればすぐに突破されてしまいそうな軟なシロモノだった。
キンバリーは門の前に着くと下馬したので僕は手綱を出した。
こうすれば、普通のウマに見えるはずだ。
キンバリーは、僕を引きながら門番の所に向かった。
門番がいるとはいえ、冒険者街の門も柵と同じで、すぐに突破されそうな木造のシロモノだった。それに門を守っている門番もそんなに強そうには見えない。
「フロンティアトリトンズのキンバリーです」
「……通っていい」
新冒険者街へと入ると、周囲の冒険者ギルドや商人や職人たちは、朝早くから仕事の準備に追われていた。特に見習いと思われる子供たちがテキパキと仕事をこなしている。小さいのに大したものだと思う。
そのままキンバリーに連れられ、僕は冒険者街を進んでいった。
冒険者ギルドと一口に言っても様々な団体があるらしく、特にレッドトマホーク、インディゴメイルズ、シャドーアローズ、アイアンメイスといったギルドは、他の団体よりも大きな建物を構えている。
そして、中堅ギルドであるというフロンティアトリトンズの建物は、冒険者街の外れにあった。
名前の通り川の側に事務所を構えており、人魚の女性が事務所の前をホウキで掃除をしていた。彼女以外にも、人魚族の関係者と思える人たちが、槍の訓練をしていたり舟の修理をしていたりと忙しそうだ。
「……! キンバリー!!」
キンバリーという声を聞き、作業や訓練をしていた人魚たちは一斉に僕たちに目を向けた。
「ただいま、ソフィア」
ソフィアと呼ばれた人魚は、僕をちらっと見たがすぐにキンバリーに視線を戻した。
「御神木から、目的の魔法……教えてもらえたの?」
「それは……無理だったけど、代わりに心強い仲間を連れてきたよ」
キンバリーが視線を向けると、ソフィアも……僕が普通のウマでないことに気が付いたようだ。
「この子……とても強い霊力を放っているけど……もしかして!」
どうやら僕の正体も、ある程度分かっているようなので、こちらからも話しかけることにした。
「はじめまして。僕の名は馬養秋之介。アビリティ【ユニコーン・ケンタウロス】の使い手です」
アビリティ名を言うと、ソフィアは不思議そうな顔をした。
「……初めて聞くアビリティ名ですね」
彼女の言葉を聞いて、キンバリーも驚きの声を上げた。
「え!? 受付嬢の貴女でさえも知らないアビリティなのですか?」
「はい……」
ソフィアの顔つきは、年頃の若い女性から、ギルドの受付嬢のモノへと変わった。
「ところで、アキノスケ様は、このギルドに加入を希望なさっているということでよろしいでしょうか?」
僕はすぐに頷いた。
「はい。そうして頂けると助かります」
ソフィアは頷いた。
「わかりました。では、中へどうぞ……ギルド長ならすぐに対応して下さると思います」
僕が頷くと、ソフィアは事務所の中へと僕を案内した。
キンバリーに聞いた話によると、ソフィアはギルド長フェリシティーの姪に当たる人物のようだ。そして、この支部を取り仕切っているのは、尾花栗毛の勇者と言われる一角獣ホワイトスティレットだという。
【新冒険者街】
背中に乗っているキンバリーも、山賊の気配が遠ざかったことを察したらしく、ほっと胸を撫でおろしている。
ゆっくりとした足取りに戻ると、キンバリーも姿勢を正した。
「……妙な視線を感じなくなったからペースは戻すけど、警戒は続けた方がいいね」
「そうですね。もう少し進めば明け方には街に着くと思います」
キンバリーの言葉を聞いて、僕はホッとしていた。
明日いっぱいも歩き続けるとか、こんな危険地帯で仮眠をとることになるという事態だけは避けたいと感じていた。
夜の闇を歩き続け、東側の空から朝日が現れたとき、僕たちの目の前には様々な建物が並ぶ新冒険者街が姿を見せた。
「ここまで来ればあと一息だね」
「はい。トリトンズの建物は、湖のそばにありますのでご案内します」
彼女はそういうと降りようとしたが、僕はこのままエスコートすることにした。
まだ野生動物たちが支配する魔境の中だし、ここまでナビをしてくれたお礼だ。
そのまま歩き続けていると、やがてうっそうとした森にも出口が現れ、しっかりした街道へと合流すると、安全地帯まで来たことを実感する。
キンバリーも微笑みながら言った。
「あともう少しだけ、我慢してください」
「わかった」
そのまま歩いていると、10分ほどで冒険者街へと入った。
街とは言っても、しっかりとした壁に守らわれているワケではなく、本当に簡単な造りの塀を張り巡らせているだけで、魔物や山賊連中に暴れられればすぐに突破されてしまいそうな軟なシロモノだった。
キンバリーは門の前に着くと下馬したので僕は手綱を出した。
こうすれば、普通のウマに見えるはずだ。
キンバリーは、僕を引きながら門番の所に向かった。
門番がいるとはいえ、冒険者街の門も柵と同じで、すぐに突破されそうな木造のシロモノだった。それに門を守っている門番もそんなに強そうには見えない。
「フロンティアトリトンズのキンバリーです」
「……通っていい」
新冒険者街へと入ると、周囲の冒険者ギルドや商人や職人たちは、朝早くから仕事の準備に追われていた。特に見習いと思われる子供たちがテキパキと仕事をこなしている。小さいのに大したものだと思う。
そのままキンバリーに連れられ、僕は冒険者街を進んでいった。
冒険者ギルドと一口に言っても様々な団体があるらしく、特にレッドトマホーク、インディゴメイルズ、シャドーアローズ、アイアンメイスといったギルドは、他の団体よりも大きな建物を構えている。
そして、中堅ギルドであるというフロンティアトリトンズの建物は、冒険者街の外れにあった。
名前の通り川の側に事務所を構えており、人魚の女性が事務所の前をホウキで掃除をしていた。彼女以外にも、人魚族の関係者と思える人たちが、槍の訓練をしていたり舟の修理をしていたりと忙しそうだ。
「……! キンバリー!!」
キンバリーという声を聞き、作業や訓練をしていた人魚たちは一斉に僕たちに目を向けた。
「ただいま、ソフィア」
ソフィアと呼ばれた人魚は、僕をちらっと見たがすぐにキンバリーに視線を戻した。
「御神木から、目的の魔法……教えてもらえたの?」
「それは……無理だったけど、代わりに心強い仲間を連れてきたよ」
キンバリーが視線を向けると、ソフィアも……僕が普通のウマでないことに気が付いたようだ。
「この子……とても強い霊力を放っているけど……もしかして!」
どうやら僕の正体も、ある程度分かっているようなので、こちらからも話しかけることにした。
「はじめまして。僕の名は馬養秋之介。アビリティ【ユニコーン・ケンタウロス】の使い手です」
アビリティ名を言うと、ソフィアは不思議そうな顔をした。
「……初めて聞くアビリティ名ですね」
彼女の言葉を聞いて、キンバリーも驚きの声を上げた。
「え!? 受付嬢の貴女でさえも知らないアビリティなのですか?」
「はい……」
ソフィアの顔つきは、年頃の若い女性から、ギルドの受付嬢のモノへと変わった。
「ところで、アキノスケ様は、このギルドに加入を希望なさっているということでよろしいでしょうか?」
僕はすぐに頷いた。
「はい。そうして頂けると助かります」
ソフィアは頷いた。
「わかりました。では、中へどうぞ……ギルド長ならすぐに対応して下さると思います」
僕が頷くと、ソフィアは事務所の中へと僕を案内した。
キンバリーに聞いた話によると、ソフィアはギルド長フェリシティーの姪に当たる人物のようだ。そして、この支部を取り仕切っているのは、尾花栗毛の勇者と言われる一角獣ホワイトスティレットだという。
【新冒険者街】
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