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23.魔将との一騎打ち

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 小生が角を光らせると、まず特殊空間の崩壊が止まった。
 それだけでなく、瀕死のアレックスたち4人は人形となって小生の背中に括り付けられている。更に、今までは特殊空間の支配者だったノワールも、悪魔の姿で小生の前に立っていた。
「まさか、あたくしの空間に干渉してくるなんてね……」
『小生は逃げ馬だ。勝ち逃げできると思わないで欲しいな』
「そう……このゲームは、どう戦ったら勝利なのかしら?」

 小生はスゴロクコースを眺めた。すると、全ての枠にはスタートもゴールも書かれていない。ならば、凄くシンプルなルールを付けられる。
『基本的には君が作ったルールを使わせてもらおう。ただし……ゴールは
 そう言いながら、スタート地点の方向にクビを向けると、ノワールは納得した様子で頷いた。
「なるほど。先にスタート地点に向かった方が勝ちということね」
『それから、黒いダイスを使った場合……公開されるのは自分の秘密。数字が高いほど、相手に聞かれたら不都合が内容とする。それから4のパネルごとにある秘密暴露イベントは無し』
「わかったわ」
『では、先行と後攻どっちがいい?』
「先行」
 ノワールは白いダイスを振ると、出た目は5。
 彼女は5マス目まで行くと、早速黒いダイスを振った。出た目は4。9マス目まで進むと、灰色のダイスが落ちてくる。
 出た目は3。果たしてどんな秘密が暴露されるのだろう。
 ノワールの隣に小さな人形ユニコーンが現れると、コイツもアーリマンみたいに笑いながら言った。

――ふふふ……今日は、魔王軍の内情について暴露しようかしら。
 ノワールの側に現れたユニコーンは、魔王軍の大まかな魔将の数や4天王と呼ばれる存在について告げ始めた。魔将や四天王の中には、仲の悪い組み合わせもあり、下手な間者を入れるよりも多くの情報をもたらしてくれる。
「あまり気持ちのいいモノではないわね」
『今度は小生の番だね』
 白いダイスを蹴ると目は3。目を瞑って気分を整えてから黒いダイスを蹴ると、こちらは6を出した。
 同じように9マス進むと、小生はノワールの隣に立った。すると小生の隣にいたアーリマンも嬉々とした様子で灰色ダイスを見た。
 灰色ダイスは転がってくると、出た目は5だ。
 今までは低めな数字しか出なかったから、大した秘密も暴露されなかったが、果たして今回はどんな情報が公開されるのだろう。
 アーリマンは嬉々とした様子で、小生の秘密を喋りはじめた。

――5に相応しいネタを探したけれど、小生自体には匹敵するような情報がないんだよ。だから、ブリーディングに関する話でもしようかな
『…………』
 その話を聞いてなるほどと思った。小生のように生まれて日も浅いケンタウロスでは、対戦相手の魔将を満足させるようなネタは持っていない。
 だから代案として、種族そのものの秘密が出てきたということか。
 アーリマンは、インブリードの話をはじめた。簡単に言えば近親相姦の話なのだが、ウマやユニコーンの世界では、従従兄弟つまりはハトコ同士で結婚して、強い霊力を持つ仔馬を誕生させているところもある。

 ノワールもしっかりと耳を傾けると、やがて頷いた。
「なるほどね……勉強になったわ」
 そう頷くと、ノワールは2回目のダイスを振った。出た目は2。そして黒いダイスも振ると3の目を出した。
 合わせて14マス目まで進むと、再び灰色のダイスが落ちてきた。
『……1か』
「どうする? 下さらない内容でしょうけど、一応聞く?」
『うん』

 さすがに1では、アーリマンも大した情報を話してくれなかった。どんな情報を口にしたのかと言えば、ノワールの好きな食べ物と嫌いな食べ物である。まさかニンジンが嫌いとは……小生と話が合いそうだ。
『今度は小生の番だね』
「どうぞ」
 再び両目を瞑って意識を集中しダイスを両方同時に蹴ると、白いダイスは2。そして黒い方は5だ。合計で7マスを進むと、16マス目まできた。
 そして、灰色のダイスが振って来ると、出た目は何と6。小生は半ば当然かと思いながら静観していると、アーリマンは嬉々とした様子で秘密を暴露しはじめた。

――では、6に相応しいとっておきのネタを提供しようかな?
「5に相応しい情報がないのに6はあるの? 不思議な話ね」
 半ば呆れた様子でノワールが言うと、アーリマンはニタニタと笑ったまま答えた。

――それはそうでしょう。今度暴露するのは……ディディが行っている反則スレスレの裏技についてだからね
 その言葉を聞いたノワールは表情を変えた。
「その話、じっくりと聞かせてちょうだい!」

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