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20.悪魔スゴロク
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悪魔すごろく。
大きな丸い円が2個所あり、その2つの円をつなぐように24のマスが、道のように伸びている。
小生たちは、その丸い円の1つに立っており、前には24マス。後ろには2マスの余剰マスがある。この余剰マスは、恐らく制作者であるノワールのお情けなのだろう。
ダイスは、バケツくらいの大きさのクッション性。白いダイスと黒いダイスの2種類であり、ノーリスクで使えるのは白のみ。
そして、このゲームで最も重要なことは、全員のターンが終了したら、最低でも1マス入り口側に戻され、更に誰も黒いダイスを振らなければ、追加で2マス戻されてしまうところだろう。
これだけでも、すごろくにしては難しいが、更に非公開の制限時間まであるという。
【では勇者御一行さま、楽しいお遊戯の時間といきましょう!】
まずは、ケヴィンが白いダイスを手に取ると、軽く投げ落とした。ダイスはゆっくりと転がっていき、出た目は3。
彼は、まずまずだと言いたそうに頷くと、ダイスに従って3マス進んだ。
次にダイスは独りでに転がっていき、アレックスの手元に行った。彼が拾い上げて振ると出た目は1。
【アレックス君。黒い方……使う?】
彼は険しい顔をしたが、すぐに「いいえ」と答えた。
確かに次で1などが出れば、使えばいいという考え方もできる。
3番目は小生だ。
独りでに転がってきたダイスを蹴ると、コロコロと転がっていく。出た目は……4だった。
『…………』
1マス、2マスと進んでいき、4マス目に立つと、脚元には【イベント】という文字が記されていた。一体なにがはじまるのだろう。
【ふふ……楽しい楽しい悪魔4択タイムね】
ノワールは、意地悪い声で【ディディのアーリマン】と呼ぶと、小生のアーリマンは不気味な笑みを浮かべながら、全員に聞こえるようにテレパシーを伝えてきた。
ーーさて、楽しい楽しい4択問題の時間です。ディディさんの所属する冒険者ギルド……フェイルノートの初代ギルド長の名前は、以下のうち誰でしょうか?
1.オリヴァー
2.トリスタン
3.ゴメス
4.エマ
確か、フェイルノートの初代ギルド長はトリスタンという名前の人物だと、アレックスが言っていた。
『2のトリスタン』
そう伝えると、アーリマンはニヤッと嫌らしい笑みを浮かべた。
ーーざんね~~~ん。答えは4番のエマさんで~~す!
その答えを聞いたアレックスとケヴィンは「ばかな!」と声を荒げた。特にケヴィンは「いい加減なこと言うな!」とまで抗議している。
しかし、アーリマンはひょうひょうとした様子で答えた。
ーー嘘ではありません。エルフの英雄トリスタンは、ある王様からとても恨まれていました。冒険者ギルドを立ち上げる直前に、竪琴を弾いていたら、その王の手の者に暗殺されてしまったのです。そして、妹のエマさんが、トリスタンの影武者となり、ギルドを切り盛りしたのです。
ここまで言われてしまうと、小生としても否定するだけの知識も力もない。何も言い返さないでいると、アーリマンは言った。
ーーディディさんは、2を選択したので、全員……2マス後ろに下がって頂きま~~す!
『な、なに!?』
思わぬ一言にギョッとさせられた。
まさか、今のやり取りで、2マスも戻されるなんて想定外だ。小生は転落まで、あと4マスあるけれど、ケヴィンはこれで3マス。アレックスに至っては残り1マスしかない。
【さて、ディディ君、黒いダイス……使う?】
小生はすぐにジルーやレティシアを見た。彼女たちは使わなくていいという感じで首を横に振っている。
『いいや、使わない』
白いダイスは、レティシアの手元へと転がっていく。
ダイスを振ると、出た目は……5。イベントという区画を踏まなかったためレティシアはホッとした表情をしていた。
彼女は1歩ずつ進んでいくと、イベント欄の一歩前で止まっている。当然のことながら黒いダイスを使うことなく、白いダイスはジルーの元に転がっていく。
1ターン目のアンカーはジルーだ。彼女もダイスを転がしていくと出た目は6。その瞬間に全員の表情が青ざめ、ジルーに至ってはしまったと言いたそうにオオカミ耳をピンと立て、尻尾まで跳ね上げている。
「……うわ引いちゃったぁ」
ジルーは悲壮な顔をしながら、1歩ずつ進んでいく。
そして6マス目まで進むと、そこにはイベントと書かれたマスがあった。先ほど小生が引いた例の場所である。ジルーの足がマス目に触れると、ジルーのアーリマンがジルーの声で喋りはじめた。
【さて、お待ちかねの楽しいクイズの時間です。今回の問題はこちら!】
ジルーのアーリマンは、勿体つけるように一呼吸置いた。
【ジルーも所属している皆さんお馴染みのフェイルノート。実は……過去に不正経理をして税金を逃れていたことがあります。果たして……その回数は何かいでしょう? 以下の4択から答えてください】
1.1回
2.3回
3.7回
4.13回
その選択肢を聞いたケヴィンは「そんなの……わかるワケねーだろ」と呟いていた。小生も同じ気持ちだ。だけど、この問題に答えなければ、アレックスの脱落が決定してしまう!
このクイズ……間違うことが許されない!!
大きな丸い円が2個所あり、その2つの円をつなぐように24のマスが、道のように伸びている。
小生たちは、その丸い円の1つに立っており、前には24マス。後ろには2マスの余剰マスがある。この余剰マスは、恐らく制作者であるノワールのお情けなのだろう。
ダイスは、バケツくらいの大きさのクッション性。白いダイスと黒いダイスの2種類であり、ノーリスクで使えるのは白のみ。
そして、このゲームで最も重要なことは、全員のターンが終了したら、最低でも1マス入り口側に戻され、更に誰も黒いダイスを振らなければ、追加で2マス戻されてしまうところだろう。
これだけでも、すごろくにしては難しいが、更に非公開の制限時間まであるという。
【では勇者御一行さま、楽しいお遊戯の時間といきましょう!】
まずは、ケヴィンが白いダイスを手に取ると、軽く投げ落とした。ダイスはゆっくりと転がっていき、出た目は3。
彼は、まずまずだと言いたそうに頷くと、ダイスに従って3マス進んだ。
次にダイスは独りでに転がっていき、アレックスの手元に行った。彼が拾い上げて振ると出た目は1。
【アレックス君。黒い方……使う?】
彼は険しい顔をしたが、すぐに「いいえ」と答えた。
確かに次で1などが出れば、使えばいいという考え方もできる。
3番目は小生だ。
独りでに転がってきたダイスを蹴ると、コロコロと転がっていく。出た目は……4だった。
『…………』
1マス、2マスと進んでいき、4マス目に立つと、脚元には【イベント】という文字が記されていた。一体なにがはじまるのだろう。
【ふふ……楽しい楽しい悪魔4択タイムね】
ノワールは、意地悪い声で【ディディのアーリマン】と呼ぶと、小生のアーリマンは不気味な笑みを浮かべながら、全員に聞こえるようにテレパシーを伝えてきた。
ーーさて、楽しい楽しい4択問題の時間です。ディディさんの所属する冒険者ギルド……フェイルノートの初代ギルド長の名前は、以下のうち誰でしょうか?
1.オリヴァー
2.トリスタン
3.ゴメス
4.エマ
確か、フェイルノートの初代ギルド長はトリスタンという名前の人物だと、アレックスが言っていた。
『2のトリスタン』
そう伝えると、アーリマンはニヤッと嫌らしい笑みを浮かべた。
ーーざんね~~~ん。答えは4番のエマさんで~~す!
その答えを聞いたアレックスとケヴィンは「ばかな!」と声を荒げた。特にケヴィンは「いい加減なこと言うな!」とまで抗議している。
しかし、アーリマンはひょうひょうとした様子で答えた。
ーー嘘ではありません。エルフの英雄トリスタンは、ある王様からとても恨まれていました。冒険者ギルドを立ち上げる直前に、竪琴を弾いていたら、その王の手の者に暗殺されてしまったのです。そして、妹のエマさんが、トリスタンの影武者となり、ギルドを切り盛りしたのです。
ここまで言われてしまうと、小生としても否定するだけの知識も力もない。何も言い返さないでいると、アーリマンは言った。
ーーディディさんは、2を選択したので、全員……2マス後ろに下がって頂きま~~す!
『な、なに!?』
思わぬ一言にギョッとさせられた。
まさか、今のやり取りで、2マスも戻されるなんて想定外だ。小生は転落まで、あと4マスあるけれど、ケヴィンはこれで3マス。アレックスに至っては残り1マスしかない。
【さて、ディディ君、黒いダイス……使う?】
小生はすぐにジルーやレティシアを見た。彼女たちは使わなくていいという感じで首を横に振っている。
『いいや、使わない』
白いダイスは、レティシアの手元へと転がっていく。
ダイスを振ると、出た目は……5。イベントという区画を踏まなかったためレティシアはホッとした表情をしていた。
彼女は1歩ずつ進んでいくと、イベント欄の一歩前で止まっている。当然のことながら黒いダイスを使うことなく、白いダイスはジルーの元に転がっていく。
1ターン目のアンカーはジルーだ。彼女もダイスを転がしていくと出た目は6。その瞬間に全員の表情が青ざめ、ジルーに至ってはしまったと言いたそうにオオカミ耳をピンと立て、尻尾まで跳ね上げている。
「……うわ引いちゃったぁ」
ジルーは悲壮な顔をしながら、1歩ずつ進んでいく。
そして6マス目まで進むと、そこにはイベントと書かれたマスがあった。先ほど小生が引いた例の場所である。ジルーの足がマス目に触れると、ジルーのアーリマンがジルーの声で喋りはじめた。
【さて、お待ちかねの楽しいクイズの時間です。今回の問題はこちら!】
ジルーのアーリマンは、勿体つけるように一呼吸置いた。
【ジルーも所属している皆さんお馴染みのフェイルノート。実は……過去に不正経理をして税金を逃れていたことがあります。果たして……その回数は何かいでしょう? 以下の4択から答えてください】
1.1回
2.3回
3.7回
4.13回
その選択肢を聞いたケヴィンは「そんなの……わかるワケねーだろ」と呟いていた。小生も同じ気持ちだ。だけど、この問題に答えなければ、アレックスの脱落が決定してしまう!
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