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7,火の神殿、そして。

鍛冶屋。

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「……ちゃん…」

「璃…ちゃん…」

誰かが呼んでる?

「璃乃ちゃん。」

「んん…」

「あっ!璃乃ちゃんが起きたわ。」

私がゆっくりと目を開けるとママが私の顔を覗き込んでいた。

その顔はとても心配そうな顔をしていた。

「大丈夫?」

「えと…私は…」

確か解放をして…その後…思い出せない…
クリスタルを解放したのは覚えているけどその後のことはさっぱりだ。
恐らく解放してすぐに倒れたのだろう。

「2人ともクリスタルを解放してすぐ倒れたのよ。詩乃ちゃんはさっき起きて璃乃ちゃんもやっと起きたわね。」

どうやら先に詩乃が起きたようだ。

「2人とも2日間眠りっぱなしだったんだぞ。」

パパが私達を見ていった。
私達は神殿の客室に寝ているようだ。
ベッドと机と椅子が在るだけの簡素な部屋だ。

「そっか、魔力が切れたから…」

この世界では魔力が切れると気を失ってしまう様だ。

「2人とも起きたら早速だけどクロムさんの所に行って欲しいの。話があるそうよ?」

ママがそう言ったので私達は起き上がると部屋を出た。
部屋を出てみるとそこは入り口のすぐ脇だった。
奥の扉の脇にある大きな丸い窯の所にクロムさんがいた。

「おっ、2人ともおはよう。いや~クリスタル解放してくれたんだって?ありがと~おかげで鍛冶が出来るよ。」

クロムさんがそう言って私達の手を握った。

「それで、私達を呼んでたって…」

「あぁ、そうだった。2人の腰に下げてる武器…剣と槍さ、なかなかの物だけど剣と槍だけの機能じゃつまんなくない?私ならそれを魔導化改造マジックカスタム出来るけどどう?やってみない?」

魔導化改造…確か魔力をエネルギーとした物に改造することのはずだ。
「是非やって欲しいです。」

魔導化改造は基本的に重量が増える代わりに威力やら使いやすさを格段にあげる物だ。
私達の武器は女の子用と言うことも有り軽めに作られている。
でも、私達はヴァンパイア。
力はかなりあるから私達でも大剣を片手で持てるほどの力はある。
大剣は軽くても10㎏はある代物が多いため片手で10㎏の剣を振り回すだけの力はあるのだ。

「おっけ~じゃあ、武器を貸して。2人ともに合うように作り替えるね。2人とも魔法使いだって聞いたけどどんな感じなのかな?」

「えと、私は攻撃魔法メインかな。」

「おー。詩乃は回復とサポートメイン。」

「オーケー。んじゃ、2人に合うように作り替えとくからさ。ん~そうだな。明日、取り来てよ~」

クロムさんがにかっと笑いながら言った。
私達は頷くと仕事の邪魔にならないように外に出た。

外にはパパとママがいた。

「2人とも、これから先、クリスタル解放に行くんだって?僕たちは国に帰らなくてはならないから国に帰って光の神殿を守ることにするよ。」

「光の神殿は絶対に暴走させないわ。だから安心して他のクリスタルの解放に向かいなさい。」

パパとママはそう言って手を振りながら転移魔法を唱えて行ってしまった。

この後はどうしよう…

「マスター。言葉、教えて欲しい。」

苺が言った。
そう言えばこの頃は暇が無くて中々教えてあげられなかったしそうするか。
私達は2人に言葉を教える事にした。
明日になったら武器を貰って早速次の神殿に向かわなきゃ。
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