上 下
11 / 30
5,闇の属性魔晶石。

敵か味方か謎の男。

しおりを挟む
剣豪達3人を倒し、森を抜けると白い大理石の建物が見えた。
あれこそが闇のエレメントクリスタルを祭る神殿、闇の神殿だ。
あそこに…リーシャが…

と、突如地鳴りがした。
すると闇の神殿から紫色の光が上がった。

「おっと、間に合わなかったか。はぁ、闇の神殿…落ちたか。と言うことは次は火の神殿…かな。」

突如私の隣に歩いてきた男が言った。
黒いベストに白いYシャツに黒いネクタイ、黒いスーツのズボン、黒い革靴姿の身長175くらいでオールバックの黒髪の男。

「おっと、人が居たか。いやぁ、独り言、ゴメンね。僕、考え事するとどうしても周りが見えなくなっちゃってさ。」

そう言った男の人はにこやかにこちらを見た。

「僕はジン・ウィスッカ。【バーテンダー】のカードホルダーだよ。」

「ってめぇ!魅惑の支配人チャームマネージャーのジンしねぇか!こんなとこで何してんだよ!軍はどうした!?」

ルークが男の人に怒鳴った。
どうやら知り合いのようだ。

「ルークさん、この人は?」

「あ?あぁ、こいつは帝国軍第1主力部隊隊長、魅惑の支配人ジンと呼ばれる奴でな、魅惑系魔法の使い手で敵を味方に引き入れて戦う帝国1のやり手だ。」

えと…この人、どう見ても軍人じゃないよ?
見た目からしたらただのバーテンダーだけど…

「はは、そんなこと無いよ。僕はただ敵にお酒を振る舞っているだけさ。バーテンダーとしてお客は敵味方関係ないからね。」

「てめぇのそれが強ぇんだよ。敵味方対処法無しの魅惑魔法。防ぎようが無い。んなもん使われたら勝てるかっての。」

ルークさんが怒鳴る。
そんなに強いんだ。

「おや、神殿から誰か出てくるよ?あの女の子は…リーシャ姫の様だけど?」

ジンさんが指を指した方を見ると確かに、リーシャだ。
と言うことはやっぱり暴走しちゃったんだ。

「さてと、お仕事開始だね。僕はあいつらからリーシャ姫を奪うのが仕事でね。悪いけど仕事に戻るよ。」

そう言うとジンさんは相手に向かって歩み寄る。

「こんにちは、僕はバーテンダーのジン・ウィスッカ。この神殿、いきなり光の柱が上がったけどどうしたの?」

相手を見ると相手は攫った奴では無かった。
服装は赤い軍服だ。
ところどころに金色の装飾が施されている。
そして腰には細剣を持っている。

「そのお嬢さん、リーシャ姫だよね?悪いけど渡してくれる?」

ジンさんが言った。
って、直球すぎじゃない!?

「はぁ、あいつは直球すぎだろ…」

ルークさんも呆れていた。

「ふん、やるわけがないだろ?バカか?」

「だよねぇ。じゃ、チャーミング、ハイボール!召し上がれ!」

そう言うとコップとかき混ぜ棒が出てきてジンさんはそれをかき混ぜてからコップにキスをした。
そしてそれをあろうことか相手にぶっかけた。

「冷たっ!何しやがる!」

「ふふっ、美味しい美味しいハイボールのお味はいかがかな?
所でさ、お願いなんだけどリーシャ姫を渡してくれる?」

いや、だからそれで渡して貰えるわけがないじゃん…

「はい、どうぞ…」

なんと、その剣士は何のためらいも無くリーシャを渡した。

「ふふっ、ありがと。」

「チッ!否定する!」

突如空から声がした。
上を見るとなんと、あの男がいた。
リーシャを攫った奴だ。

「フェス、何をしている。リーシャを渡してどうする。」

「お、俺は…っ…何て事を!その嬢ちゃんは返して貰うぜ!」

剣士ははっと我に返って剣を抜いた。

「おっと、こうなると僕じゃどうにもならないかなぁ…はぁ、本当についてない。でも、少しは抗おうかな。カクテルメイク!スパイスクリュードライバー!」

そう言って出てきた銀色のシェイカーをふって中身を敵にかけた。
するとその中身はかかると共に溶け込んで消えた。

「私には効かない、否定する!」

「あっはは、だよねー。仕方ない。姫は連れてって良いよ。けど、絶対に連れ戻すから。」

そう言ってこちらに戻ってきた。
相手はリーシャを抱き寄せ転移した。

「さてと、仕事は終わった。スパイスクリュードライバーはかかった相手の居場所を表示するお酒でね。魔法でもなんでもないから否定は効かないんだよ。相手の転移先は…やっぱり、次の目的地は火の神殿のようだね。ここの暴走を鎮めたら行こうか。」

ジンさんはにこやかにそう言うと神殿へ向かった。
私たちも後について行く事にした。
いよいよ、初めてのエレメントクリスタルの解放だ。
上手く出来るかな…

相手の次の場所の手がかりも掴めたし、次こそ捕まえたいな…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした

仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」  夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。  結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。  それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。  結婚式は、お互いの親戚のみ。  なぜならお互い再婚だから。  そして、結婚式が終わり、新居へ……?  一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

転生おばさんは有能な侍女

吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀? 転生おばさんは忙しい そして、新しい恋の予感…… てへ 豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!

異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。

黒ハット
ファンタジー
 前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~

桜もふ
恋愛
家族を事故で亡くしたルルナ・エメルロ侯爵令嬢は男爵家である叔父家族に引き取られたが、何をするにも平手打ちやムチ打ち、物を投げつけられる暴力・暴言の【虐待】だ。衣服も与えて貰えず、食事は食べ残しの少ないスープと一欠片のパンだけだった。私の味方はお兄様の従魔であった女神様の眷属の【マロン】だけだが、そのマロンは私の従魔に。 そして5歳になり、スキル鑑定でゴミ以下のスキルだと判断された私は王宮の広間で大勢の貴族連中に笑われ罵倒の嵐の中、男爵家の叔父夫婦に【侯爵家】を乗っ取られ私は、縁切りされ平民へと堕とされた。 頭空っぽアホ第2王子には婚約破棄された挙句に、国王に【無一文】で国外追放を命じられ、放り出された後、頭を打った衝撃で前世(地球)の記憶が蘇り【賢者】【草集め】【特殊想像生成】のスキルを使い国境を目指すが、ある日たどり着いた街で、優しい人達に出会い。ギルマスの養女になり、私が3人組に誘拐された時に神獣のスオウに再開することに! そして、今日も周りのみんなから溺愛されながら、日銭を稼ぐ為に頑張ります! エメルロ一族には重大な秘密があり……。 そして、隣国の騎士団参謀(元ローバル国の第1王子)との甘々な恋愛は至福のひとときなのです。ギルマス(パパ)に邪魔されながら楽しい日々を過ごします。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

処理中です...