上 下
33 / 38

33話 荒れる貴族社会

しおりを挟む
「幻の水の都??」

本日の議題は、シンプルだが…問題だらけの重い議題でした。

私は、不安分子のサカエを異世界に送り返すのに成功して、皇太子に返り咲きました。
サカエには、私の魅力スキルが通じない。
それがわかると、内部分裂を測った。
簡単だったが、終わりは納得できない。
奴隷3人が、聖女の監視から消えた。
どうも、聖女は使えないものばかりだ。

しかも、やっとでサカエと無駄に強い奴隷を封じたのに…外交で問題が出てきた。

我が国が隣接する資源のない砂漠の大地に新たな国が出来たらしい。

本日は父王と宰相と共に各国の王家と砂漠の大地の国について話し合いをする。

「砂漠の大地に、資源はない。放っておいても勝手に滅びるだろう?」
「噂では、エルフ国より、ドワーフ国に似た技術が使われているらしい」
「こっちの噂では、エルフのような魔法で無尽蔵に水を生み出していると聞いたぞ?」
「奴隷が流れている。奴隷の中には、各国の最先端の技術を持っている者がいる。奴隷として国の役にたてていたが、そんなもの達の技術を駆使しているのだろう」
「奴隷が流れている!?何故止めない??」
「奴隷契約が、勝手に解除されている。命令が届かないのだ」
「奴隷契約の解除は、王族しか出来ないのではないのか?誰だ?裏切り者は??」
「奴隷が流れているだけではない。平民も流れている。労働力が少なくなって、社会が成立しないとお抱えの商人が言っていた」
「商人と言えば、小売店舗が減っているらしい」
「砂漠の大地から珍しい商品が流れているとか……薬剤は豊富で、薬を手にしたいが、貴族には売ってくれない。初めは小売店舗を利用していたが、貴族に関わると売ってくれないとかで、商人に逃げられた」

どうなっている??
各国が、荒れに荒れている。

「クラークよ、サカエは本当に異世界に帰したのか?」
王が、私を見て小声で確認する。

「あそこまで、ズタボロにしたのです。こちらに来たいとも、関わりたいとも思えない筈です。基本、甘い女でしたから、復讐にも来ないでしょう」

「……そうか」
納得していない顔で、父王は、各国の王家と向き直した。

どうも、風渡りが冷たく感じる。
不安分子は、取り除いた筈だ。
念には念を入れて、仕上げた。
間違えはない筈だ。
それだけを私は心で繰り返す。

もしも、幻の水の都が、サカエの手によるものであったならば……

背中を冷や汗が流れていく。
ゾクゾクとした寒気が通り過ぎた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

辺境騎士の夫婦の危機

世羅
恋愛
絶倫すぎる夫と愛らしい妻の話。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

巨根王宮騎士の妻となりまして

天災
恋愛
 巨根王宮騎士の妻となりまして

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

腹黒王子は、食べ頃を待っている

月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。

伯爵令嬢のユリアは時間停止の魔法で凌辱される。【完結】

ちゃむにい
恋愛
その時ユリアは、ただ教室で座っていただけのはずだった。 「……っ!!?」 気がついた時には制服の着衣は乱れ、股から白い粘液がこぼれ落ち、体の奥に鈍く感じる違和感があった。 ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

【R18】婚約破棄に失敗したら王子が夜這いにやってきました

ミチル
恋愛
婚約者である第一王子ルイスとの婚約破棄に晴れて失敗してしまったリリー。しばらく王宮で過ごすことになり夜眠っているリリーは、ふと違和感を覚えた。(なにかしら……何かふわふわしてて気持ちいい……) 次第に浮上する意識に、ベッドの中に誰かがいることに気づいて叫ぼうとしたけれど、口を塞がれてしまった。 リリーのベッドに忍び込んでいたのは婚約破棄しそこなったばかりのルイスだった。そしてルイスはとんでもないこと言い出す。『夜這いに来ただけさ』 R15で連載している『婚約破棄の条件は王子付きの騎士で側から離してもらえません』の【R18】番外になります。3~5話くらいで簡潔予定です。

砂糖漬けの日々~元侯爵令嬢は第二王子に溺愛されてます~

恋愛
魔界の第二王子ヨハンの妃となった侯爵令嬢エウフェミア。 母が死んですぐに後妻と異母妹を迎え入れた父から、異母妹最優先の生活を強いられる。父から冷遇され続け、肩身の狭い生活を過ごす事一年……。 魔王の息子の権力を最大限使用してヨハンがエウフェミアを侯爵家から引き剥がした。 母や使用人達にしか愛情を得られなかった令嬢が砂糖のように甘い愛を与えられる生活が始まって十年が過ぎた時のこと。 定期的に開かれる夜会に第二王子妃として出席すると――そこには元家族がいました。

処理中です...