ほのぼの生きますか

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家族はのんびりと

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控え室は王子が煩いので、家族は今回は連れてきていない。

その代わりに、俺の試合や、他の試合を見れるように、モニターを家に作った。

解説者の声も拾える。

ビデオ機能を追加している。

電波で飛ばして、自由都市の自宅で見れる優れものだ。

別荘でも良かったが…電気機器の設備は、やっぱり屋敷の方がいい。

今朝、多くのバッテリーを充電してきたので、大丈夫だろう。

途中で見れなくなっても、録画しているので、夜でも見られる。

エルフの王子が、おとなしくなるまで、自由都市から、家族を出すのは賢明ではないだろう。

自由都市は、良くも悪くも中立だが…他国からの介入は出来ない土地なのだ。

その点では、一番安全な場所なのだろう。

「ゴメンなさいね。私のせいで…」と、ミュートさんが言っているが…特にミュートさんのせいなところはないです。全て、エルフの王子が悪い。

だから家族も、協力的だ。



俺についてきたのは、デュランドだけだ。

デュランドと家族へのお土産を買って帰る予定だ。

予選中は、俺は動けないので、良い見上げの物色を任せている。

また、控え室やその他の場所に獣人国王の許可のもと、ビデオを設置する役も頼んである。

獣人国王は、もうすでにエルフの王子がやらかしたことをエルフ国に伝えている。

国際問題扱いだが…エルフ国の対応は、とても遅いようだ。



今日も、エルフの王子が控え室に来ていた。

予選の進行も進まず、余程暇なのだろう。

「ミュートは何処だろうか?話がしたい、君では話にならん。弟は、本気で思っているのだ。その気持ちを無下には出来ない」

「ミュートさんの気持ちは無下にしているでしょう?俺の嫁だと言っているではないですか?なぜ、人のものに手を出すのですか?そんなに無理やりなのは何故です?ミュートさんは、女に進化したけれど…ハイエルフではないですよ?」

「ミュートの気持ちと弟の気持ちとどちらが優先かわかるだろう?ミュートは女になった。弟の思いの障害はない。邪魔をしているのは君ではないか?王族の求婚を断る理由はないはずだ。それも、エルフの国は民族の結束が優先だ。結婚も、国の許可を得ているのか?」

「ミュートさんは、国を出た人間ですよ?何故、他国でエルフ国の伝統を優先するのですか?本人の意思を無視して…元から、そんなことするから、権力が嫌で逃げられたのでは?」

寛容で冷静なフリをして、権力に物を言わせた自己中発言をする王子。

ちょっと、しつこいよ?ウザい。

「…お前に、直接言うつもりはなかったが……ミュートは、元々、叶わぬ思いをしてきた。それは、弟ではない。しかし、弟の近くにいる者だった。それが、私だ。私は、ミュートの思いは受け入れられない。だが…女になった思いは受け入れられる。そこまで、思っているのならば…弟の嫁として、側に置くのも認めよう。…そう言うことなのだ。現実を見ていないのはお前だ。ミュートは、エルフ国を追放になって、出て行った。…自らの意思ではない。理解していないのはお前だぞ?」

よくもまあ、でまかせが言えるものだ。

ミュートさんがエルフ国を出たのは、精霊の力を狙う王家に、嫌気がさしたからだ。

「すみません?エルフ国を追放になった者が、エルフ国の中枢と今でも親交があるのは、何故ですか?精霊が教えてくれました。貴方が、精霊の力を欲しがって、ミュートさんは…エルフ国をしぶしぶ出て行ったことを…ちなみに、俺も精霊の力を使えますよ?しかも、ミュートさんよりも力は強いです。会話できますし…俺の力の方が上位なので、ミュートさんの力を封印することも可能ですよ?そんなことよりも…嘘ついてまで、ミュートさんを欲しがるのは何故ですか?国際問題まで発展しようとしているのですよ?…俺が、獣人国王の来賓だって、理解していますか?」

「…貴様が、来賓な訳がないだろう?たかが、S級ランクになっただけで、貴族になった気分はやめて欲しいものだ。こんなに、誠意を込めて話しているのだ。王族の私をないがしろにして、何の利益があるのだ。もっとしっかり物事を見たらどうだ?」

「…まさか…嘘ですよね?この控室が、国王専用の来賓室だと…理解していますか?言っておきますが…他国の王族がどうこうできる次元ではない部屋ですよ?何度も、抗議が国王から届いているはずですよね?エルフ国には、何の恨みもないので、簡単に圧力は直接かけたくはない…身分を口外いたしませんが、何となく理解して頂けませんか?」

遠回しに、軽く脅してみます。腹芸が通用するとは、思えないですが…

奴隷の神になってから、違法奴隷のエルフをかなりの人数で、助けている。

エルフの中で、俺の信仰は、かなりの上がっている。

今、俺の力は、エルフ国内で…かなりのものだろう。

そんな打算も含めて、今朝は特に違法奴隷を助けたのだから…

「…今日はこれで…私は諦めた訳ではない。また、来る。その時は、ミュートを連れて来てもらおう」

ほんの少し、ヤバイと思い始めてくれたのか?

やっとで、引き下がってくれた。


「デュランド、大丈夫だと思うが…気をつけて歩けよ?」

「…気遣い有り難うございます。ご主人様の試合ももう直ぐです。エルフの王子のことは忘れて、試合に集中してください」

「わかった。それよりも…画像の調子はどうだ?上手くいきそうか?」

「会場のモニターとの接続も上手くいきました。あとは、ご主人様の試合を手動で撮らせて頂きます」

楽しそうなデュランドに安心して、家の家族へ連絡する。

モニターとの接続は、不安があったので、やりたくはなかったが…上手くデュランドがしたみたいなので、黙っておくことにする。

壊して、弁償にならないことを願う。







~ミュート視点~

家族で居間に大集合している。

ソファやカーペットに腰を下ろして、楽な体勢で食事をしながらモニターを見ている。

生で見れないですが…会場でも、試合舞台が大きくて、モニターを通して見ているので、変わりはない。

「モニターの調子も良いみたいね」

子供達は、動き回っていたが…マツリくんの試合が始まると、静かに魅入っている。

「マツリくん…凄いわね」

直ぐに試合が終わったが…興奮して解説者が語っているところも、子供達は聞いて頷いている。

「録画しているのですよね?さっきのシーンとか?スロウ再生してみませんか?」

ゼロさんの希望を聞いて、子供達が喜んだ。

各々、声を上げているが…もうそろそろ、言葉を話せそうだ。

誉くんなんかは、自分でデッキを操作している。

マツリくんが、誉くんが使い方がわかると言っていたが…本当に賢い子だ。

食い入るように、モニターを見ている子供達は、何かに気がつくたびに、「あ」とか、「うー」とか言いながら、指をさす。

母親たちも、解説に大変そうだ。

このまま、しばらくモニターから離れない子供達でしたが、体を動かしたくなったのだろう。

玄関でマツリくん帰りを待つ。

子供達の外のお散歩は、マツリくんの仕事だ。

子供達は、空を飛ぶし、恐ろしくハイハイが早い。

各々、どこかに行ってしまうので、我々では、手に負えない。

だから…マツリくんがいない時は、子供達は外出禁止してある。

子供達が自分の行動を理解して、責任持てるまでは、マツリくんの許可なしには外には出さない。

マツリくんがいない時は、お部屋で大人しくお勉強タイムなのだ。

でも、直ぐにでも家の外に出たいのだろう。

その姿は、普通の子供のようで、可愛らしい。

でも、待ちくたびれて、子供達は眠りに入った。


「遅れてしまったようだな」

マツリくんが、お土産を持って帰って来た時には、みんな、眠りに入ったところでした。

どうやら、マサ・サク・ミナに会って、踊り子たちに挨拶をして来たから、遅くなったらしいです。

子供達に見せたくて、踊り子たちの踊りも録画して来たみたいだ。

「マサの剣やサクの魔法、ミナの器用さは、子供達に刺激を与えるだろうから、今度、紹介するつもりだよ」

自由都市の屋敷の場所を教えたらしいです。

彼らには、マツリくんの教育が行き届いているので、心配はありません。

ただ、王子が何かしでかしてしまわないか?心配です。

「マサ達には、エルフの王子の揉め事を伝えてある。接触してきた時は、遠慮なくこの屋敷を教えていいと、伝えた。迷惑をかけることはないよ。ミュートさんは、心配しないでくださいね」

マツリくんは、私の気持ちを察してくれる。

「ここのセキュリティーも強化しています。精霊や聖霊も協力してくださいますから、大丈夫ですよ。それよりも…チョット心配ごとがあって、相談に乗ってください」

マツリくんの相談ごとは、違法奴隷の話しでした。

「エルフの違法奴隷は、私がエルフ国に連絡して、引き取ってもらうわ。獣人国は、任せるわね。その他は、イージスを頼ってみましょう。私達が動くよりも、打算的なお偉いさんも喜ぶわ」

「有り難うミュートさん。いつも助かるよ。…ハーフの子供や身寄りの無い子は、俺が密かにケアしてから、世間に出します。精神のおかしい大人は、魔法で身体を治して記憶を消して、対処してありますから、その点は注意しておきますね。家族には、お伝えしておくといいでしょう…辛いですが、リストを渡しますね」

リストには、帰る家の場所や連絡とるべき人物まで、指定してあった。

「…凄いわマツリくん。この子達は、マツリくんに助けられて、幸せね」

「…奴隷の神になったらしいです。でも、犯罪は無くなっていません。まだまだ、助けを求めた声は聞こえています。…気持ちが滅入る感じですよ。心の支えになってくださいね?」

私の助けなんて、いらないように思えるが、マツリくんは、私に甘えてくれます。

でも、心配です。幻獣の神に薬師、獣人、奴隷の神になった。

ドンドン規格外になっていくマツリくんに、私は、必要なのか?

負担にならないだろうか?

「…ミュートさん?逃がしはしませんよ?側にいてくださいね?」

どうやら、囚われているらしいです。

「ふふ、神様からは逃げられないわね~」

この優しい神様を優しいく撫で回す私。

本当に、出会った頃から…可愛らしいです。

本当は46歳らしいですけど…私にとっては、子供と変わりませんね。



ほのぼのとした時間が過ぎている。

でも、この可愛らしいマツリくんのために、少し働きますか?

外部交渉は、私の仕事だ。



こうして、今日も1日が過ぎていく。
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