ほのぼの生きますか

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精霊や聖霊との音楽会

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自由都市に着くと、大きな門が見えた。

出てくる人で溢れる門で、中に入ろうとすると、中から出てきた人に呼び止められた。

「あ!君!そこの少年!やめた方がいい!自由都市は今は危険だ!」

良い人なのだろう。

でも、俺には時間がないので、無視して門番に依頼書を見せる。

門番は、ビックリして何度も俺の顔を見たが…

「失礼しました!此方へどうぞ!」

中に案内してくれた。

「おいおい!ズルいぞ!こっちの手続きの方が先だろう!」

そう叫ぶ人たちを無視して中に入る。



門周辺は騒めきが凄かったが、門の中は静かで別世界だった。

「今、ギルドまで送ります。少々お待ちください」

門番が出て行くと、お茶が運ばれてきた。

「あのー…お気遣いなくお願いします」

忙しいだろうに…申し訳ないです。


そのまま少し待つと、イキナリ大男が中に入ってきた。

「君がマツリくんか?ドガから聞いているよ。自由都市のギルドマスターのイージスだ」

イージスさんに紹介状と依頼書を渡す。

「確かに…マツリくんだな。速かったな!嬉しい限りだ。これで、自由都市に平和がくる」

「あのー…俺は何をすればいいのですか?」

「居るだけでいいはずだが…なんか儀式でもするか?」

精霊に相談してみる。

「歌が歌いたい」
「歌おう」
「歌すき」

口々に歌いたいというので、フラーレン様の御社の場所を聞くと、なんと、初神殿でした。

俺はそこで、腕の楽器を奏で歌う。

フラーレン様に届けるつもりで、歌う。

儀式のつもりはない。

楽しく歌うだけだ。

聖霊も参加してくれたが、声はやっぱり聞こえない。

踊り子さんがいたら、踊ってくれただろう。

でも、楽しかったので、随分と長く歌っていた。



「素晴らしい!」

パチパチパチパチ


そんな声と拍手で、俺は歌を止めた。


拍手をしたのは、とても偉そうな神殿の人間でした。

とても嫌な感情が見える。

俺は、ギルドマスターの所へ行って、隠れた。

「どうした?マツリくん」

ギルドマスターのイージスさんは、困惑気味だ。

「マツリくんと言うのかね?紹介して頂けるかね?ギルドマスター」

「マツリくん、此方はこの神殿の司祭様だよ。悪い方ではない。怖がらずに…大丈夫だよ?」

イージスさんにそう言われても、相手の感情は、悪いものしかない。

子供のようにイヤイヤと首を振って、逃げ出す。

「マツリくん!待ってくれ!」

イージスさんに追いかけられて、入り口で捕まる。

「挨拶は大事だ!…話は後で聞くから、今は、行儀よくしてくれ?」

イージスさんは、すでに俺を子供扱いだ。

でも、それは気にならない。

気になるのは、司祭を名乗る男が…不穏な事を考えていそうな点だ。

「話は今ではダメですか?あの人は、なんか嫌な色をしている。関わりたくはないのです。どうか、理由をつけて、このまま外に行かせてください」

小さな声で、司祭に聞こえないように音を遮断して話す。

「済みません。司祭どの…マツリの調子が良くないようだ。また、今度紹介させてもらいます。…これにて、失礼します」

俺たちが立ち去ると…

「ッチ!」

と、舌打ちする音が聞こえた。

こえーよ!舌打ちする司祭なんて…考えられない。



気分が悪くなったので、小さい御社がないか、イージスさんに尋ねる。



やはり、ありましたよ。御社が。

俺は、そこでまた、精霊と歌を歌う。



すると、白い部屋にやってきました。


フラーレン様の他にも、何人かいる。

俺の聖霊の皆さんだ。

「マツリ、ありがとうございます。自由都市に平和が訪れるでしょう」

「フラーレン様?なぜ、迷宮の魔獣は溢れるのですか?精霊がなぜ抑えることができるのでしょうか?」

「その説明は我々からいたしましょう」

霊の属性のお爺さん聖霊が、話してくれた。

迷宮の作り主は、英雄に着いていた精霊だったらしい。

精霊は、力をつけて、聖霊となり…尽きぬ資源の確保の為に迷宮を英雄に提供した。

ところが、英雄には精霊は見えても聖霊は見えなかった。

英雄に見てもらえない悲しみから、100年に一度、迷宮は存在を示す為に暴走する。

その暴走を近くにいる同胞たちが止める。

悲しい連鎖だ。

「マツリくんが、新たな主従契約をしてくれると、暴走も防げるのに…嫌ですか?迷宮に入るのは?」

来た~!

やっぱりそうきますか?

「わかってましたよ。子供らがここに来たら、中に潜ります」

「子供たちは大丈夫よ。先ほど、無事に十代に成長したわ。マツリくんは、15です。年もそんなに変わらないのですから、奴隷契約をどうにかしたら、個人で動けるように言えばいいわ」

なんですっと??

成長した?

「子供たちは、大人の道を歩き始めました。協力をありがとうございました。きっと、踊り子さん達を後押ししながら、旅を続けて行くでしょう」

ええ~!いきなりだな!

まだ、一緒にいれると思ったのに…

「マツリさんのほのぼのペースは、みんなにとっては、ハードなので、ほとほとにお別れをしてあげてね?」

ほのぼのとは違うけど、確かにゆっくり、ゆったりと考えていましたが…

「社畜だった時とは違うのですよ?貴方なりのゆっくりは、みんなには、ハードですからね?進化がこんなに速い人たちも珍しいですよ?わかってますか?」

子供らは…進化したのか?

「子供達を待っても良いですが、迷宮には連れて行ってはダメですよ?いいですね?」

フラーレン様に説教されて、俺は戻された。



広場で、お祈りの姿をする俺。

歌い終わって祈りを捧げているらしい。


「ありがとうございます。イージスさん!」

「もう、いいのか?では、昼を食べに行こう。さっきの話をもっと聞きたいからな」


イージスさんに連れられて、とある食堂に着いた。


「隣は、宿屋だ。しばらく連れが来るまで、観光でもしてればいい」

「イージスさん、一ついいでしょうか?」

「なんだ?」

「迷宮に単独で入っていいでしょうか?」



俺の質問は、ありえないものだったようだ。

イージスさんが…固まっている。



「悪いとは言えないが…オススメはしない」


イージスさんに真面目に答えられました。


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