魔眼の復讐者

山﨑キョウ

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33話

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洞窟の中は見える範囲で、2つに別れている。別れ目の所までいると片方から馬鹿騒ぎした声が聞こえる。

「こっちは誰もいないのか?」

ナイフを抜き、声のしない方へと進んでいく。
1分もしないうちに1つの部屋に辿り着いた。この部屋以外は何もない一本道だった。

「誰か居るのか?」

入り口に隠れて中の様子を見ると人影と布擦れ音が聞こえる。

「んー!んー!」

「まてまて声を出すな」

人影の側によると人影は手足と口を縛られた男だった。
口の布を解いて、アイテムボックスから水を出して男に渡す。

「ぷはぁ!…ありがとう」

「おう、俺は冒険者ギルドの冒険者だ。ここに居るのはお前だけか?」

「ああ、1人で馬車に荷物を積んでダーングラウト行くつもりだったんだ」

「分かった。動けるか?外に仲間が待機してる、行くぞ」

男が頷いたのを確認して肩を貸す。
バレることなく外に出れた。

「よし、ジンくん。この人は私達が預かる」

クルスさんに男を任せ俺はすぐに洞窟に戻る。
もう1回男がいた部屋に戻り男が持っていた荷物を回収する。

「あとは16人を殺るだけ」

この試験は人を殺せるかを確認させる為なんだろうけど、俺は人を殺すことはどうにも思わない。
時に人は魔物よりも無情になる時をこの半年間で見てきた。

盗賊の声がする部屋に着く。この道も部屋は1つだけだった。

「リーダー!今日の獲物は酒たんまり持ってましたね!!」

「おう!たまたま一人だった奴が商人だとは思わなかったぜ!」

「俺たちツイてるっスね!!」

16人全員が酒を飲んでベロンベロンに酔っている。
レッグポーチから煙玉を取り出し、火をつける。瞬く間に部屋が、洞窟内が煙に包まれる。
煙玉に火をつけた段階から俺は部屋に入り盗賊達の首を刎ねていく。

「て、敵しゅ!…」

「おい!どうし…」

1人、2人、3人と次々と殺していく。
盗賊団が壊滅するまで数分もかからなかった。

「カインさーん!終わりましたー!」

煙が消え、洞窟内を隅々まで確認し洞窟を出る。

「早いな!一応全員の死体を出してくれ」

カインさんに言われた通り16人の死体を並べていく。

「よし、閉まってくれ。早く終わったからすぐに帰るぞ!」

馬車に乗りダーングラウトに戻る。

「え!?カヴリルさんってリーリンローゼのキャラバンの人なんですか!?」

俺が助けた人はお世話になったハンスさんのキャラバンの人だった。


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